僕と最強幼女と狂った世界
激戦一線
僕は、神社の門前に青々と生えに生えている草、若木たちをかき分け、ありったけの力を使って、前へ前へと進んでいった。体感では、とても長い長い草木の迷路に入っているように思える。手の傷が多くなってきたところで、僕は叫んだ。
「スタフェリア! 待ってろよ!!」
返事はない。鳥居の上から神社までの距離を見てはいたが、ここまで長いとは思ってもみなかった。それほどまでに、草木は、石細工の地面の合間を縫って、森のようにその行く手を阻んでいる。畜生。腹の中で、いらいらと、自身の眉間の狭さに嫌気が存分に指しながらも一歩ずつ前へ前へと、進んでいく。
(畜生、畜生、畜生、畜生、畜生、畜生、畜生、畜生、畜生、畜生)
いらだちを目の前に木たちにぶつけながら、やっと石敷居のところにまで来た。わずか5メートルの距離だというのに、100メートルの草木の中を進んでいるようなそんな錯覚に襲われながらも、それでも進んだ。災厄の事態になってしまったがゆえに。
  そして森林の闇に一筋の光が、僕の顔に当たり、まさに希望の光りであった。それをつかみ取るようにして、僕は、その手を伸ばし、深淵なる暗闇を抜け出した。
「スタフェリア!!」
叫んだ。顔は足を見て、そしてすぐに顔をあげる。
スタフェリア、竜登大司は、向かい合うようして並んでいた。それぞれから、どちらかが動けば、殺されるという緊張感が、ここら一帯に広がっていたのである。
「狂言鬼か」
竜登大司は、意識をこちらに向けると一言、そして、次に体を目一杯後ろに倒した。
「何をよそ見をしておるッ!!」
見えなかったのは、彼女のスタフェリアの攻撃速度があまりにも早すぎたからであった。かれは、彼女が攻撃したと同時に避けていた。俺に反応すると同時に避けていたのである。どこまでもこの現状をしっかりととらえているその男には、並々ならぬ人を超越した何かを感じた。それは言葉には表すことは僕にはできない。
「助っ人、いいだろう二人まとめて相手をしてやろう」
瞬間、奴は俺の手の届く範疇までその体は、接近していた。一度抜いていた剣をあの状態からもういちど抜きなおすように、つまりは抜刀をしながら戦うタイプであった。柄から凄まじい剣撃が俺の腹をかっさばこうと、その剣筋をゼロコンマ何秒なのからは僕にはわからない、だけれどこの0.01は、とても遅くはないと、僕は認識していた。
剣筋は奴の腰辺りから飛び立つと、横一線でそれは、名が仕切るようにして動いていく。
そう、その剣撃を避けることは僕に出来たのだった。僕は、奴の剣劇をしゃがむこむようにして、避け左手で奴の顔の目を潰さんがごとく構えた。それを分かったのか彼は、寸前のところで、バックステップをするようにして後ろに体制を立て直した。
「ほう…… 筋は悪くない」
「お前、戦闘ばっかりしてるんだから俺ぐらい切って見せろよ」
そして彼はニヤリと口揚り、後ろから来るスタフェリアの攻撃を寸分で避けた。奴と俺の間に風が巻き起こる。
  その光景を見ていた僕は、思わず鼻で笑ってしまうほどに彼は、それは反応ではなく、感覚でさばいているということに笑ってしまったのだ。むちゃくちゃなその究極的な感覚に、何をやっているのだと理解を半分、できないでいるのも半分で、俺はついに動き出した。
「おらあ!!」
僕は、雄たけびを上げるようにして叫び奴に殴り掛かった。
「甘い、甘いぞ」先ほどの回避で剣を閉まっていた男は、もう一度剣を抜いて「この俺に戦闘で勝ったことのあるやつなどそうそうはおらんぞ」たとえ何人がかりでもなと彼はそう言った。
「よくもまあ余裕を見せてくれるわ」
スタフェリアはそう言うと、突撃するようにして鋭いキックをガンガン決めていくが、ことごとくが、奴はスラリすらりと、まるで風に揺られる柳のように躱している。そして、くるりと向いた奴の反撃が、彼女の首元へと向かった。それはまさに光の速度のような剣裁きでもあった。
すかさず待っていたといわんばかりに、スタフェリアは、
『逆転する事象』
の発動をする。『輪廻する世界』の能力の一つ、『逆転する事象』は事象そのものを反転させる力がある。この際発動したのは、”剣先が彼女の首元に当たる”をはじき返して、”彼の首元に剣先が当たる”に事象返還をしたのであった。そのため、奴の持っていた剣は、奴の首を切ろうと、そのまま、手首だけを軸にして、彼の首先へと向かっていく。
「フッ、かかったなバケモノめ……」
奴は寸前で、剣を手から離し、豪拳をスタフェリアの腹へと当てようと動いた。意識がスタフェリア一点へと動いたその時を見計らっていた僕は、奴へとまた殴りかかった。
  3人は寸前のところで同時に固まるような時間と止まり、いや誰もの体が動いていないという何とも不思議な一瞬がこの三人の中で共通意識として芽生える。
僕も、このような体が止まったような時間が停止している感覚は初めてであった。体だけが動かなくなっており、まるで静止画像のように、その空間は、時間が止まっていたのであるからだ。はっちゃかめっちゃかな非日常は昨日のこともあり、突拍子もない非日常には、慣れているつもりであったがしかしながら、この現状はまったくと異質であるため、驚きが隠せない。
「豚どもよ、散れいッ!」
バァアん! 、とその爆音に、三人は急に時が動き出したように、時間が再生された。飛び散るようにして、三人は、三時方向に衝撃波で飛ばされ、それぞれは、体のあちこちを強打させ地面へと転がった。
  各々は、声の主へとその神社の屋根の上、頂点に立っている一人のずーつ姿の男性と、後ろの五人は、星形の一定間隔で並んでいた。それは、どうも、僕には誰なのか、そしてスタフェリアも誰なのか知っていた。いいや分かったのだ。
「神祖六人衆ここに見参、往時はよくも私たちの模造品を破壊してくれた。スタフェリア・アブソリュータ・ウロボロウス、そして天野路夜久よ」
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