僕と最強幼女と狂った世界

土佐 牛乳

努力の天秤



 ちょうどアニメのEDがこの居間で流れている。
  その愉快な音楽をBGMにして、僕とスタフェリアは、作戦会議へと移行した。

「相手は、相当の手練れ、それは俺も直接会っているからわかるぞ」

「なら話は早いのう、しかしそんな相手とどう戦うのじゃ」

「なんで闘うという・・・・・前提なんだ? スタフェリア」

「な、なんじゃと……!? いったい、どんな策を思い付いたんじゃ!?」

「ふふふっ。知りたいか?」

「教えて…… 早く言わんか」

「ふぅふぅふぅ」

「えーい、何を勿体ぶっておるのじゃ!!」

「ひぇひぇひぇ」

「ぐぎぎぎぎ……」

「ひょひょひょ」

 彼女の鉄拳が飛んできた。

「いてててて…… 酒を泥酔するまで飲ませるんだよ。そして圧倒的に勝って地中深くに埋める」

「んにゃ! アニメのようなことができると思っておるのか!!」

「っひい!」

 具体的な策は、できていた。しかし考えてみれば彼女に言うことはできない。それは彼女をにがすためのものであり、僕を囮にすることによって、彼女の生存に一役買ってみるのも枠くはないとその時の僕はそう思っていた。勝てないのなら囮になるただそれだけのこと。

「スタフェリア、僕はね……」

「大丈夫じゃ、わしに任せい」

「いや俺が招いてしまったことだよ、じぶんで自分の尻をぬぐうのは当たり前のことだ」

「何を言っておる、大丈夫だと判断していた余の判断ミスじゃ」

「……このまま責任の取り合いをしていてもさして意味はない」

「ああ、わかっておるわい」

「でも案外やってみないとわからないものだぞ」

「……何事も挑戦とはいうものの、得意不得意もある」

「俺はやってみるね」

「余はやらん」

「交渉決裂だ、僕は自分勝手に生きていくよ」

「……。いいじゃろう、すぐにたれ死んでも…… 知らないからな!」

 彼女は、叫んだあと、ドシドシと地を踏みしめるようにしてこの家の玄関の方へと歩いて行った。



(さてと…… いまは何時かなっと)
 あいつを倒す方法なんてのは、ないのかもしれない。しかしすこしまで、この時間を使って悪あがきをするのは悪くないことだと、僕はそう考えた。
 むかし親父が買い占めていた、格闘技の本や合気道のコツといった、本を、今は亡き親父の書庫から取り出して、ぺらぺらと眺めて、頭の中に入れていく。
  おまけに野球の本すらもあったわけである。野球ボールを投げる動作、バットのスイングを頭に入れた。こんなもの使うのか? といったものが案外使えたりすることは、よくあったりするわけなので、僕はぺらぺらと知識として蓄えておくことにした。
 
 しかし僕は、こうも努力をしたのは僕の今まで生きてきた人生の中で、あまりこのような場面はなかった。中学は受験すらないような地域であったし、高校に限って言えば、努力せずとも合格できるような見事な、Fラン高校に入学したのだ。学費が安かったというのもあるわけだけれども、それでもこの努力をしない人生を送ってきた僕に、彼を倒すことなんてできるのだろうかと、僕は頭の片隅でそう考えながらも、必死に押し殺して、ひたすらにページをめくってどんどんと頭に入れていった。フェンシングの本があった。

  やれるだけやってみて、ダメもとでもやってみるしかない。今はそういう場面であった。努力は報われるというような、男根世代の思考は僕は持ち合わせてはいない。だけれでも、やれるげきことはこの際はやっておくべきだ。

  数時間して、頭が疲れてしまったので、軽く体を動かして、実践することにした。ますはボクシングからだった。シャドウボクシングは、よくやっていたので、プロのように俊敏な動きはできないものの、そこそこ形になっていると自分でもわかっている。
  次に柔道であったが、これは相手が今はいないため、ここはノー練習、実戦で使うことにする。脳内再生はかなりきれいなものとなっている。
  る儀にフェンシングであったが、これも、鉄の剣がないので、これもまた実戦でやるしかないわであるが…… ほんとうに使えるんだろうか無駄だったかな……

  他にもいろいろと知識だけは入れていたので、動きだけでもやって。あとは、格闘技の録画データを擦り切れるまで見ておくかと、考えなからもしあったら、ということを想定していた。それはスタフェリアが乱入、または試合を止めることであり、もしくは、彼女が先に戦闘を行っているという…… く、くそ早くやりかねないから彼女のもとへと早く向かうべきだ。

 すぐさま家を飛び出して、あの公園。おととい激闘を広げた公園へと走り去った。









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