僕と最強幼女と狂った世界

土佐 牛乳

ジャパニーズ剣道少女と俺と


  入学して初日であった昨日は休んでしまったため、この七花高校に入学して初めての登校と言うことになるのだが、見事なまでに入学初日というのに、僕のクラスの連中はちらほらと一つの塊であるグループを形成していたのであった。どうやら同じ中学で名前だけ知っている連中も僕とクラスが一緒の奴らも僕のクラスと一緒となった。中学では学年一の変わり者として三年間、誰にも相手をされなかったというダメ人間の特有の実績がある。僕自身人他人の気持ちがわからないというのもあるわけだが、どうしても、他人と関わるという一歩が踏み出せない臆病ものであったり、内心他人を見下しているガチもの屑であるため正直僕と関わるのはやめた方がいいと自分でも納得をして距離を取っている。
  時間をつぶすためにも、何かSF小説でも家から持ってこようか…… いいやどうせ戦闘が夜に始まるため、寝るのもいいのかなと考えている。

 ここで話は変わるのだが、敵の正体は、未知の道具を使いその存在そのものを生滅させるというチートじみた武器を持っている連中であった。さらに極めつけは、創作に出てくるようなバンパイヤの素質も兼ね備えているような連中である(だから戦闘が夜にしか始まらないのだ、朝の七時までは闘える連中らしい)。バランスを取るといいながら、自分たちですらバランスに沿っていない武器を使っているため、なんともまあ人間の世の中のようなブーメランを投げあっている連中のようだと考える。

 クラス内、要するに僕のクラスは、それと言って変わったようなことはなかったが、一人、僕のただ一人の知り合いであり、唯一中学で話していた御剣みつるぎ未来みらいという剣道女子とクラスが一緒と言うことだけが、なんともまあ腐れ縁はどこにいっても変わらないなと、一つの安心感が芽生えた。ここではっきりしておくが、この御剣自体に恋愛感情はない。

「またお前と同じクラスなのか、これで通算4年目になるのか?」

 俺の席の隣に座っていた彼女。性格とは裏腹に、優しく丸みを帯びて垂れた瞼、スリムな顔とそのパーツたち、スポーツッ女子特有の大胆なボーイッシュを感じさせるショートヘアー、どこにでもいるような剣道少女でありながら、中学でのその実力は圧倒的な強さで日本全国一位という、とんでもないところで、特に街中の大きな彼女の名前を書いたスローガンによって名が隣町、その隣の隣町まで知れ渡っている。そして近所では名の知れた結構な、お嬢様である。

「ふふ、それはどうだろうなあ…… っふふふ」

 彼女、軽く握った手で口を隠しながら、不敵な笑みを浮かべている。

「なにをわらってるんだよ。あ、そういえば今度、じぇじぇを貸してくれないか」

「じぇじぇかあ、いいだろう。今度私の自宅まできて借りに来たらいい」

 趣味が似ているということもあって、中学二年のころ彼女と話すようになった。

「お前剣道で忙しいんじゃない? 学校で手渡してもいいんだよ」

「大丈夫だあ、すぐ剣道部には入部しない、天野路、お前はなにか部活を始めないのか?」

「いいよ俺は、最近バイトを始めて忙しくなったんだ」

 何のバイトかなんてのは言えないが、確かに俺はこの人生でやらなければならないことが一つ増えたからだった。部活をしながらというのも、僕ににはそんな器用なことはできない。それは俺にしかできないことだと、スタフェリア・アブソリュータ・ウロボロウス、改めフェリアが言っていた。

「中学でバレーやってたのに、もったいねえ」

「まあ3年間、幽霊部員だったんですけどね!(ズゴーッ!)」

 地雷を踏みぬいて、さらには崩れるようにして椅子から転げ落ちるリアクションをした。クラスの何人かの視線が集まり、少しばかり冷や汗をかいてしまった。

「ふふふ、ふっふふふふ。ほんと天野路の芸って意味がわからないけど面白い」

「そりゃどうも」

 そう一言告げ、ひな壇芸人達が、いすを直すところまで忠実に再現して、また彼女と話す位置に付いた。

「そりゃーさー」

「ん? どうしたんだ?」

「今日って確か、身体測定だろ。天野路お前、体操服持ってきたのかよ」

「ああ大丈夫だよ。昨日先生と電話をしてしっかり持ってきてるぞ」

「昨日は天野路、お前に電話をするってことをすっかり、うっかり忘れてしまってなあ」

「いいよいいよ、いつもありがとな御剣」

 彼女は、例には及ばんと、さりげなくも、かっこよく返事を返した。僕が女の子だったら確実にこの方に惚れてしまっているなと思ってしまったが、そうなると百合百合の大事件になるかもしれない(ちょっと意味がわからない)ので、一つ咳払いをした。

「他の男子も更衣室に行ったし、そろそろ着替えてくるよ」

「ここで着替えてもいいんだぞ?」

「また白ゴボウって言われるだろ」

「言わない言わない、私が言うとでも、むしろお前の体を見たいくらいだ」

「こっちは見せたくない!」

 と、カバンから体操着を取り出した。

「天野路お前、体つき変わってんな、春休み一体お前は何をしてたんだ?」

「体つきが変わった?」

 朝起きたら妙に体がづしりと来ると思ったら…… 今気づいた筋肉が増えてやがる……
  それはいままでのような、あまり筋肉が無いような、筋トレを始める前の、自身が無いあの時の筋肉から、昨日一晩、彼女と契約をしてからのか?

「あぁ、す、すげえだろ?」

 ごくり…… と唾を勢い余って飲んでしまった。これで焦っているということがばれてしまったら…… なんていえばごまかせるんだろうか。

「ん、…… まあ今度触らせてくれ、どうせなら今からでもいい」

「着替えてくる!!」

 今度こそ俺は、着替えに行った。

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