ファンタジー作品に使えるかもしれないふわっとした中世ネタ

パクリ田盗作@カクヨムコン3参戦中

かまどとパンとパン職人って?



中世の領主は限られた領土からできるだけ収益を得るため様々な税やバナリテを行って収益を上げていました。
パンを焼く竈を指定し税を徴収したこともそうした工夫の一つでした。


古来パンは家庭の主婦が焼くもので、家庭用の竈もごく小さい粘土型が主流でした。
スラヴなど中東圏のサウナや寝床としても使える大型の竈が普及するにつれ、竈の設置や所持は個人では困難となってきました。
領主はその大型の竈に目をつけ、村に幾つか設置し、パン焼き用、鍛冶用と言った用途を決めました。
更にパン焼き用の竈を使えるのはパン職人のみと決めたので農民はパンを得るのにいちいち領主に雇われたパン職人にパンを作る依頼をしなくてはなりませんでした。


パンを焼くにも幾つかの工程があったそうです。
農民がパン職人から酵母とコネ桶を借りてこねてパン種にしてから焼いて貰う場合と粉だけを渡してパンを焼いて貰う場合がありました。
更に燃料代も別途料金となっており、パン職人への報酬は焼いたパンから所定数をわたすことになっていました。
このため農民はパン職人がパンを小さく作ったり、報酬分のパンを不自然に大きく作ったりしないように監視しなければならず、その間農作業が止まるので不満に思っていたそうです。
また隠れてパンを焼く農民もいてパン職人が密告したりして更に農民との溝が深まったそうです。


逆に都市部のパン職人はギルドに所属する商業的職人のため市当局に管理され金銭で一定品質のパンを供給するプライドの高い職人で、農村部のパン職人を軽蔑していたようです。


都市部ではガルドと呼ばれるパンの監視官がいました。
品質など抜き打ちでチェックし、違反していると罰金、悪質の場合は見せしめ刑を行ったと言われています。
パンの価格決定はガルドの立ち会いのもと、実際に粉の吟味、パンの試作、小麦代や人件費など勘案して決定した。
都会のパン屋は休日もパンを提供しないといけないため、キリスト教の教えである休息日を免除されたり土曜日の夜から日曜日の朝までの間はセーフと言ったルールが合ったそうです。
小麦取引も制限されておりパン屋は小麦を買う量、時間、場所が決められており、市民とパン屋が同じ小麦粉を購入しようとした場合は市民に譲らないといけないそうです。


衛生管理の悪いイメージの中世ですが、肉やパンを扱う市場周辺では排泄の禁止、衛生的に汚い仕事をしている人はパンの購入の制限があったそうです。
生地をこねる際の水は川や泉の新鮮な水であること、竈の側で汚れた衣服を置いて乾かさないなどがありました。


都市部のパン屋も農村のパン屋と同じように都市民から嫌われていたようです。
違反したパン屋の刑罰として吊るした鳥かごのような檻に受刑者を入れて放置し、飢えや渇きに耐えかねて飛び降りると下には肥溜めが待っているという刑。
クソまみれになったパン屋を見て市民は嘲笑し喝采していた刑がありました。


トランショワールという取り皿用のパンというのがあり、古くなって固くなったパンを取り皿代わりに使っていたそうです。
資料によってはナイフでもスライスするのが苦労なほど固くなったパンを使ったという記述もあれば、取り皿にする為にわざと放置したという記述もありました。
スライスしたりそのままパンの上に料理を置いたりしましたが、基本トランショワールを食べることはありませんでした。
使用後に貧民に施しとして渡したり、細かく砕いて家畜の餌にしていたようです。


パン作成時にできるふすまを家畜の餌や染物師に売ってパン屋は副収入をえたりしていたそうです。

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