偽善な僕の明るい世界救済計画

穴の空いた靴下

11話 仲間

「ヤハリ貴様カデゲンス、マタラインハルトニ喧嘩ヲ売リニ来タノカ?」

 騎士たちのリーダーであるガードラがいつの間にかラインハルトのもとに来ていた。

「やぁ!! カーラにマイレニア~! 久しぶりだね!」

 歌うように天使セリフまでも瞬間移動で現れる。

「おいおい、全く皆ほんとに自由だな……」

 カオスな状態になるラインハルト周囲。周りの人達はなにがなんだかわからない。

「ああ、済まない。古き友人たちが、助力を申し出てくれた。
 共に戦ってくれるし、強いよ、彼らは」

 相変わらず美女カーラはラインハルトに腕を回してくっついている。
 マイレニアは嬉しそうにラインハルトの裾を掴んでいる。
 コレが真の強者か、と男性陣は思い知らされる。

「さぁ、みんな。再会を祝うのは魔王を倒した後だ。
 今はこの戦いを終わらせてこの世界を彼らの手に取り戻すことが先だ!」

 久しぶりに揃うラインハルトの友人たちは悪態を付きながらも楽しそうだ。
 勇者ラインハルトと肩を並べて戦うことが出来る稀代の英雄たちが集合した。

「皆さん相変わらずですが、敵の一団が近づいてきていますので対処お願いします」

 バセットから通信が入る。

「バセットの声は聞こえたな、それじゃぁ、久々に共に戦おう!」

 ラインハルトの掲げる剣に皆がそれぞれの武器を添えて高々と掲げる。
 周囲の戦士たちもそれに習いオーーーー!! と歓声が沸き上がる。

 ちょうど敵も接近したようでドドドドと地響きが感じられるようになる。

「マイレニアが周囲は固めてくれている。思いっきりやってもいいぞ」

「おおお! 久々に派手な喧嘩だ! 暴れてやるよ!」

 デゲンスはぐっと踏み込むと一気に土煙を上げながら接近してくる一団に突撃していく、ビリビリと空気を震わすほどの速度で集団を食い破っていく。

「全ク、団体行動ノ取レンヤツダ……」

 ガードラも大剣を構えると一気に敵右翼に突っ込んでいく。

「まったく、人のこと言えんだろ。グラン軍の戦士たちよ!
 戦線を維持し、今まで通り包囲し戦線を押し上げてくれ!
 我らは友軍として前で暴れてくる!」

 ラインハルトも両手に長剣を構え一気に敵軍に突入していく。

「皆の戦いに祝福を~~♪」

 セリフが歌い出すとグラン軍全軍も含めラインハルト達も強力な力を手に入れる。

「ああん、もうラインハルト様ったらぁ……早く終わらせてゆっくり楽しまないと……」

 カーラが両手を天にかざすと、巨大な乳房が寄せられ、ではなくて、無数の弓が中空に現れる。

「撃ち抜け、無限の矢雨よ!」

 魔法で作られた矢が一斉に弓から放たれる。
 物理法則を無視して億千万の矢が敵軍に降り注ぐ。
 ラインハルト達には当たらずに何万体という敵の魔石を寸分の狂いなく撃ち抜いていく。

「ぼ、僕も……」

「マイレニアちゃん? 軽いのにしてね、ラインハルト様が大変になるわよ?」

「わ、わかった! エイッ!」

 杖を振り下ろすと、カーラの打ち出した矢の雨にまぎれて光の胞子が戦場に降り注いだ。
 その胞子が魔物に触れると、半径10m程の光の球体に変化する。
 その光の球体が消えると、その範囲内にいた魔物が、消えていた。

「え、エグいわね……」

 カーラも少し引いている。
 戦場全土に雪のように降り落ちる胞子に触れると10m範囲で敵が消えていく。
 恐ろしい絵面だ。

「見方には暖かい位だから平気……」

 そのつぶやきを聞いて前線で戦っていた3人は胸をなでおろしたのは内緒だ。

 わずか10分ほどで敵の先行部隊は消え失せていた。
 強力な個体は近接3人組が討ち果たし、一般兵的な魔物はカーラとマイレニアの攻撃に為す術無く滅ぼされている。
 グラン軍の戦士たちはほとんど何もする必要がない、まさに蹂躙であった。

「相変わらず出鱈目ですね皆さん。さぁ、進軍しましょう!」

 バセットの号令がなければぼけーっと暫く立つ羽目になってしまっただろう。
 ラインハルトの仲間たちは圧倒的な力で敵軍を引き裂いていく。
 敵の本拠地でもあり敵軍の量も質も飛躍的に上がっているが、そんなものを関係ないほどにラインハルトの友たちは強かった。
 半年もすると、マシリナムの国土の半分まで進軍が達していた。

「ラインハルト! おかしいぞ、前方に敵が『布陣』している……」

 そんな一方的な戦局に変化があったのはそんな時だった。
 今までただただ炎に飛び込む虫のように突撃だけの魔物たちの行動に、一定の戦術とも見て取れる行動が現れ始めたのだ。
 さらに、同時期から一般のグラン軍パーティで手強いと感じる個体が散見されるようになってきた。

「さすがに、このまま魔王を打ち取れるわけはないか……
 より一層に慎重に進軍していこう!」

 進軍速度は低下してしまったが、それでも軍師の計略、個々の戦士たちの奮闘によって確実に戦線は魔王の喉元へと近づいて行く。

 ガキン!!

「おおー!! やっと俺と打ち合うやつが出てきたか!!
 楽しくなってきたぜ!! オラァ!!」

「デゲンス! ソロソロアマリ突出シスギンヨウニナ!」

「……ああ、わかった。俺らだけじゃねーからな!」

 振り回していた刀が、鋭さを増し、一合打ち合えた敵に太刀筋すら見せずにバラバラにする。
 デゲンスも喧嘩を遊ぶのを止めたのもこの頃だった。

 さらに年数が流れ、緩やかではあるが、確実に魔王の本拠地に接近しているラインハルト達の眼前に、巨大な建造物が現れた。
 魔王軍が自分たちの危機を知り作り上げた、魔物で出来た城、魔王城だった。


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