偽善な僕の明るい世界救済計画
8話 製造系チート山盛りで
現行のグラン軍の装備は、鉄製にほんの少しのミスリルを混ぜた物が主流だ。
個人の持ち物を持ち込むものも多かったが、一般的に上級品と呼ばれるものでもごく少量のミスリルが混ざっていれば御の字だった。
白銀や烈火石などの混じった合金装備を持っていれば一つの隊の隊長を任せられる。
魔法部隊は上質の木々を削り出し、そこに宝石を使用して精霊の加護を得るものが一般的だ。
これは各個人に合わせた調整が必要で、基本的には長い時間をかけて自分自身で作り上げないといけない。魔法部隊を簡単に増強できない原因にもなっている。
しかし、ラインハルトが持ち出した虹色石はその欠点を完璧に解決することが出来る汎用杖を作ることが可能になる。
ドッコはラインハルトの取り出した鉱石が本物かどうか食い入るように見つめている。
「鍛冶部門には潤沢な鉱石の供給を約束しよう、つぎに服飾部門にはこれらを大量に用意できる準備がある」
ふわりと卓上に美しい布が置かれる。幾つかの宝石もコロコロと転がっていく。
美しいエルフの女性の前に転がった宝石を、震える手で拾い上げる。
「プリズムクリスタル……? 嘘……こんな、こんな大きさのもの見たこと無い……
それにその布……まさか、月夜蝶の涙……?」
「獣人たちにはこれがいいだろう」
ゴトゴトと皮のような物が広げられる。これに食いついたのは銀狼の男だ。
「フェンリルの毛皮に、麒麟の鬣だと!!」
「馬鹿な、無限の奈落の最下層部のモンスター達の素材だと!?」
無限の奈落とは人族の国に存在するダンジョンで、名前の通り、深さ、広さが計り知れない。
このグランニーズの地下構成の3分の1を占めると言われているダンジョンだ。
その最下層には魔王軍をも軽くひねるような強力なモンスター達の楽園になっていると言われている。
議会は、話し合いにもならない状態になってしまった。
それぞれが喉から手が出るほど欲しがる素材を、まるでそこら辺に落ちている石を持ち出すようにラインハルトが取り出してみせる。
「し、しかしラインハルト殿! このような物、加工する技術や燃料、それに設備もすでに我々には……」
「そうだ……この10年における戦いで、設備はボロボロに……」
「それも準備してあります。ちょうどいいのでそちらの説明もしましょう。
バハムリッドさんが若返った理由もそこで説明いたします」
ラインハルトはさっそうとテーブルから立ち上がる。
もう議会はラインハルト主導で進んでいく。口を挟めるものなどいなかった。
バハムリッドとオリエンテスはすでに知っているが、ラインハルトが見せる物は、議会のメンバーを大いに驚かせる。
「な、なんですかこれは……こんなもの、それこそ昨日は無かったはずです!」
オーガの女性が驚きの声を上げる。名をリベリットと言う。
女性のオーガはなんというか、とてもグラマラスな体型をされていて、それでいて軽装を好むために男性は目のやり場に困ってしまう。
さらにこのオーガの女性は色っぽいタレ目に泣きぼくろ、厚くセクシーな唇。
オーガ界だけでなく多くのファンを持つアマゾネス。
いつも冷静でセクシーなリベリットの、素直な驚きに反応した議会の隠れファン達は心のフォルダーへ記憶した。
リベリットが驚いたのは、希望の壁の裏に作られた巨大な建造物群だ。
倉庫と工房が一体になったような作りになっている。
「取り敢えず、鍛冶練で説明しますね」
一番近くの真っ赤な建物に入っていく。
皆ラインハルトに付いて建物に入ると、絶句してしまう。
煌々と火の付いた釜と鍛冶台がずらりと並んでいる。
そしてドッコが何よりも驚いたのは……
「こ、これが火蔵だってのか!? これだけの釜に火が入っているのに全く熱くねぇ!」
「この空間は魔法で温度管理がされています。たとえ釜の隣に立っていても心地よい空間です。
竈の火は悠久の落日を使用しているので燃料は必要ありませんし、金剛石だろうが混合鉄だろうが調節すれば加工できます。
鍛冶台、ハンマーを始めとした道具は全てオリハルコン製だから摩耗することもないので皆の負担も軽く済むはずです。
あとは技術ですが、ドッコさん協力していただいていいですか?」
「あ、ああ……」
もう頭がついていっていないドッコは言われるがままに一つの火事場に腰掛ける。
まるで長年使用している愛用の仕事場のようにしっくり来る。
ハンマーを握るだけでオリハルコンの力が注ぎ込まれるような錯覚さえする。
「では、行きますよ」
ラインハルトが手をかざすと、バハムリッド達と同じように光がドッコを包み込む。
「ううううおおおおおお!!! なんじゃこりゃー!! 滾る!! 滾るぞォォ!!」
ミキミキと音を立てるようにドッコの筋肉が隆起して、曲がった背がまっすぐとなっていく。
往年の最盛期のドッコの姿がそこに現れる。
「何だこれは!? 知識が、技術が流れ込んでくる!!」
「これが私の能力の一つです。『勇者の友』。私の工房であるこの場、外の建物全てですが、その中に居て、私の認めた人は私と同じ技術を使用することが可能です。
ついでに『勇者の友』にはその方の持つ最高の状態になって、さらに私の能力の加護を得ることが出来るので、このような姿になってしまいます。
もし、ご不満があれば、体格変化は抑えられますので言ってくださいね。
これを鍛冶師やその他、加工部門の方全てに適応してもらいます」
驚きすぎると、人は声さえ上げることができなくなる。
上層部の人間全てが一様に口を開いてぽかーーーんとしか反応のしようがなかった。
ドッコだけは無心で剣をうち続けていた。
「あ、ついでにそこの箱は全ての作業所に付いていますが、各種素材の取り出し、武具の納品が異次元で連結されて可能なので、いちいち素材を取りに行ったりも全てこの場で完結します」
至れりつくせりであった。
個人の持ち物を持ち込むものも多かったが、一般的に上級品と呼ばれるものでもごく少量のミスリルが混ざっていれば御の字だった。
白銀や烈火石などの混じった合金装備を持っていれば一つの隊の隊長を任せられる。
魔法部隊は上質の木々を削り出し、そこに宝石を使用して精霊の加護を得るものが一般的だ。
これは各個人に合わせた調整が必要で、基本的には長い時間をかけて自分自身で作り上げないといけない。魔法部隊を簡単に増強できない原因にもなっている。
しかし、ラインハルトが持ち出した虹色石はその欠点を完璧に解決することが出来る汎用杖を作ることが可能になる。
ドッコはラインハルトの取り出した鉱石が本物かどうか食い入るように見つめている。
「鍛冶部門には潤沢な鉱石の供給を約束しよう、つぎに服飾部門にはこれらを大量に用意できる準備がある」
ふわりと卓上に美しい布が置かれる。幾つかの宝石もコロコロと転がっていく。
美しいエルフの女性の前に転がった宝石を、震える手で拾い上げる。
「プリズムクリスタル……? 嘘……こんな、こんな大きさのもの見たこと無い……
それにその布……まさか、月夜蝶の涙……?」
「獣人たちにはこれがいいだろう」
ゴトゴトと皮のような物が広げられる。これに食いついたのは銀狼の男だ。
「フェンリルの毛皮に、麒麟の鬣だと!!」
「馬鹿な、無限の奈落の最下層部のモンスター達の素材だと!?」
無限の奈落とは人族の国に存在するダンジョンで、名前の通り、深さ、広さが計り知れない。
このグランニーズの地下構成の3分の1を占めると言われているダンジョンだ。
その最下層には魔王軍をも軽くひねるような強力なモンスター達の楽園になっていると言われている。
議会は、話し合いにもならない状態になってしまった。
それぞれが喉から手が出るほど欲しがる素材を、まるでそこら辺に落ちている石を持ち出すようにラインハルトが取り出してみせる。
「し、しかしラインハルト殿! このような物、加工する技術や燃料、それに設備もすでに我々には……」
「そうだ……この10年における戦いで、設備はボロボロに……」
「それも準備してあります。ちょうどいいのでそちらの説明もしましょう。
バハムリッドさんが若返った理由もそこで説明いたします」
ラインハルトはさっそうとテーブルから立ち上がる。
もう議会はラインハルト主導で進んでいく。口を挟めるものなどいなかった。
バハムリッドとオリエンテスはすでに知っているが、ラインハルトが見せる物は、議会のメンバーを大いに驚かせる。
「な、なんですかこれは……こんなもの、それこそ昨日は無かったはずです!」
オーガの女性が驚きの声を上げる。名をリベリットと言う。
女性のオーガはなんというか、とてもグラマラスな体型をされていて、それでいて軽装を好むために男性は目のやり場に困ってしまう。
さらにこのオーガの女性は色っぽいタレ目に泣きぼくろ、厚くセクシーな唇。
オーガ界だけでなく多くのファンを持つアマゾネス。
いつも冷静でセクシーなリベリットの、素直な驚きに反応した議会の隠れファン達は心のフォルダーへ記憶した。
リベリットが驚いたのは、希望の壁の裏に作られた巨大な建造物群だ。
倉庫と工房が一体になったような作りになっている。
「取り敢えず、鍛冶練で説明しますね」
一番近くの真っ赤な建物に入っていく。
皆ラインハルトに付いて建物に入ると、絶句してしまう。
煌々と火の付いた釜と鍛冶台がずらりと並んでいる。
そしてドッコが何よりも驚いたのは……
「こ、これが火蔵だってのか!? これだけの釜に火が入っているのに全く熱くねぇ!」
「この空間は魔法で温度管理がされています。たとえ釜の隣に立っていても心地よい空間です。
竈の火は悠久の落日を使用しているので燃料は必要ありませんし、金剛石だろうが混合鉄だろうが調節すれば加工できます。
鍛冶台、ハンマーを始めとした道具は全てオリハルコン製だから摩耗することもないので皆の負担も軽く済むはずです。
あとは技術ですが、ドッコさん協力していただいていいですか?」
「あ、ああ……」
もう頭がついていっていないドッコは言われるがままに一つの火事場に腰掛ける。
まるで長年使用している愛用の仕事場のようにしっくり来る。
ハンマーを握るだけでオリハルコンの力が注ぎ込まれるような錯覚さえする。
「では、行きますよ」
ラインハルトが手をかざすと、バハムリッド達と同じように光がドッコを包み込む。
「ううううおおおおおお!!! なんじゃこりゃー!! 滾る!! 滾るぞォォ!!」
ミキミキと音を立てるようにドッコの筋肉が隆起して、曲がった背がまっすぐとなっていく。
往年の最盛期のドッコの姿がそこに現れる。
「何だこれは!? 知識が、技術が流れ込んでくる!!」
「これが私の能力の一つです。『勇者の友』。私の工房であるこの場、外の建物全てですが、その中に居て、私の認めた人は私と同じ技術を使用することが可能です。
ついでに『勇者の友』にはその方の持つ最高の状態になって、さらに私の能力の加護を得ることが出来るので、このような姿になってしまいます。
もし、ご不満があれば、体格変化は抑えられますので言ってくださいね。
これを鍛冶師やその他、加工部門の方全てに適応してもらいます」
驚きすぎると、人は声さえ上げることができなくなる。
上層部の人間全てが一様に口を開いてぽかーーーんとしか反応のしようがなかった。
ドッコだけは無心で剣をうち続けていた。
「あ、ついでにそこの箱は全ての作業所に付いていますが、各種素材の取り出し、武具の納品が異次元で連結されて可能なので、いちいち素材を取りに行ったりも全てこの場で完結します」
至れりつくせりであった。
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