そして僕は君を探す旅に出た~無力な僕の異世界放浪記~
そして僕の運命は変わった
「結婚してくださいっ!」
僕は今人生の分岐点に立っている。五年間一途に想って来た彼女にプロポーズを敢行していた。
今日は彼女である友加里の誕生日。デートも終盤に差し掛かって二人で夜景を見に来たタイミングで片膝を着いて婚約指輪を差し出している状況だ。
この山から一望出来る街の明かりが綺羅びやかな星となって夜空に浮かぶ星達と混ざり合う。その星達が僕のプロポーズの後押しをしてくれていると感じる。
「はい」
僕は震えが止まらなかった。友加里に断られたらどうしようとか、きちんと言えるのかとか。そんな緊張が朝から続いていた。でも、友加里は僕との結婚に了承してくれたんだ! 出会った時から運命のようなものも感じてきた。それはロマンチストすぎるか。
「ありがとう友加里。絶対に幸せにしてみせるから。死んでも変わらない。たとえ生まれ変わっても僕は友加里を幸せにするから! 約束する」
「私もなお君を支えられるように頑張るからね! 私もなお君を幸せにするから。愛してる」
僕と友加里はどちらからと言うわけでもなく自然と唇を重ね合わせた。軽く触れ合うような優しいキスだったけど、ここまで幸せなキスは始めてだった。
夜空を照らす星達や月、街の光でさえも僕と友加里を祝福してくれているように感じた。
長い時間語り合った僕達は夜も遅いと言う事で帰宅する為に車に乗り込む。助手席に座った友加里の左手の薬指には小さいけどキラキラと光り輝いているダイヤモンドがあしらわれた指輪がはめられているのを見て僕は自然とニヤけてしまった。
「どうしたの? そんなだらしない顔しちゃって」
「友加里が指輪をしてくれてるからついね」
軽口を叩き合いながら僕は車を発進させる。山道を下りながら僕と友加里は他愛の無い話で盛り上がっていた。付き合いはじめた頃の話や喧嘩した時の話。色々な思い出話が尽きないほどに出てくる。これから始まる幸せな時間を夢に見ながら。チラリと友加里を見た瞬間だった。突然僕と友加里は眩しい光に包まれた。
そして……唐突に僕の幸せな時間は終わりを告げた。
何が起こったのかだなんて分からなかった。僕が最期に見たのは友加里の笑顔と眩しい光。自分が死んだのか、友加里と過ごした日々が夢だったのかも分からない。僕はどうしてここにいるのだろうか。そもそも僕と言う存在は一体何なのだろうか。物質としての存在の無い僕にどうして意識があるの? それに、どうそて僕は物質が無いなんて認識できているの? 色んな疑問が僕の内側に入り込んでくる。
「ほうほう混乱しておるようじゃの」
僕以外の誰かが僕の中に入ってくる。でも、不思議と嫌な感じはしない。でも、僕はあなたの声がどうして僕の中に入って来るのかが分からない。
「そうか。そうじゃな。お主は今魂だけの状態なんじゃて。まぁお主の存在は今は不安定な状態じゃ。難しい話をしても理解が及ばんじゃろう」
そうかもしれない。でも……ひとつだけ。ひとつだけ知りたい事があるんだ。
「なんじゃ? 言うてみよ」
友加里はどうなった? 僕の隣にいたんだ。幸せな気持ちだったんだ……それが突然消えて……僕はっ!
「そうじゃな。お主とお主と連れ合っておった者は運命が捻じ曲げられ、肉体が滅びたのじゃ」
肉体が滅びる? 死んだと言うこと?
「正確に言えばまだ死んではおらぬ。本当の意味での死を迎えるならば肉体が滅びると共にその魂は宇宙へ向かいエーテルを通じて魂が浄化され新たな器に宿るのを待つんじゃ。稀に未練が強く残って宇宙へ向かわない魂もおるが、お主のそれはまた違うのじゃ」
友加里はここにはいないの?
「お主とはまた違う次元から世界線を超えてしもうたようじゃな。故にこの次元にはおらぬ」
そんな……
「安心せい。稀に魂の器としての役割を果たせぬままに産まれてくる子がおるんじゃ。お主の連れ合いの魂が向かった世界で定着させてやろう」
どうしてそこまでしてくれるの? あなたはいったい……
「ふはははは。子がワシの元へ迷い込んで来てしもうたからの。しかも運命を捻じ曲げられてじゃ。親として手助けするのが当然じゃ。そして、ワシは世界の意志……とでも言っておこうか。この言葉はお主らの世界の言葉を借りておるだけじゃからな。ワシはお主に合わせておるだけじゃ」
よく分からない。
「理解しようとせんでええんじゃ。ワシは何者でもない、ただの意志にすぎぬ」
「我は汝らの心に住む者」
「私はあなた達を見守る者」
「全ては一つ」
何なんだ。一体……色んな人が僕の中に入ってくる。ぐちゃぐちゃになる……
「哀れな人の子よ。お主の運命に幸があらんことを」
う――ぁぁぁぁあああああああああ!
僕は今人生の分岐点に立っている。五年間一途に想って来た彼女にプロポーズを敢行していた。
今日は彼女である友加里の誕生日。デートも終盤に差し掛かって二人で夜景を見に来たタイミングで片膝を着いて婚約指輪を差し出している状況だ。
この山から一望出来る街の明かりが綺羅びやかな星となって夜空に浮かぶ星達と混ざり合う。その星達が僕のプロポーズの後押しをしてくれていると感じる。
「はい」
僕は震えが止まらなかった。友加里に断られたらどうしようとか、きちんと言えるのかとか。そんな緊張が朝から続いていた。でも、友加里は僕との結婚に了承してくれたんだ! 出会った時から運命のようなものも感じてきた。それはロマンチストすぎるか。
「ありがとう友加里。絶対に幸せにしてみせるから。死んでも変わらない。たとえ生まれ変わっても僕は友加里を幸せにするから! 約束する」
「私もなお君を支えられるように頑張るからね! 私もなお君を幸せにするから。愛してる」
僕と友加里はどちらからと言うわけでもなく自然と唇を重ね合わせた。軽く触れ合うような優しいキスだったけど、ここまで幸せなキスは始めてだった。
夜空を照らす星達や月、街の光でさえも僕と友加里を祝福してくれているように感じた。
長い時間語り合った僕達は夜も遅いと言う事で帰宅する為に車に乗り込む。助手席に座った友加里の左手の薬指には小さいけどキラキラと光り輝いているダイヤモンドがあしらわれた指輪がはめられているのを見て僕は自然とニヤけてしまった。
「どうしたの? そんなだらしない顔しちゃって」
「友加里が指輪をしてくれてるからついね」
軽口を叩き合いながら僕は車を発進させる。山道を下りながら僕と友加里は他愛の無い話で盛り上がっていた。付き合いはじめた頃の話や喧嘩した時の話。色々な思い出話が尽きないほどに出てくる。これから始まる幸せな時間を夢に見ながら。チラリと友加里を見た瞬間だった。突然僕と友加里は眩しい光に包まれた。
そして……唐突に僕の幸せな時間は終わりを告げた。
何が起こったのかだなんて分からなかった。僕が最期に見たのは友加里の笑顔と眩しい光。自分が死んだのか、友加里と過ごした日々が夢だったのかも分からない。僕はどうしてここにいるのだろうか。そもそも僕と言う存在は一体何なのだろうか。物質としての存在の無い僕にどうして意識があるの? それに、どうそて僕は物質が無いなんて認識できているの? 色んな疑問が僕の内側に入り込んでくる。
「ほうほう混乱しておるようじゃの」
僕以外の誰かが僕の中に入ってくる。でも、不思議と嫌な感じはしない。でも、僕はあなたの声がどうして僕の中に入って来るのかが分からない。
「そうか。そうじゃな。お主は今魂だけの状態なんじゃて。まぁお主の存在は今は不安定な状態じゃ。難しい話をしても理解が及ばんじゃろう」
そうかもしれない。でも……ひとつだけ。ひとつだけ知りたい事があるんだ。
「なんじゃ? 言うてみよ」
友加里はどうなった? 僕の隣にいたんだ。幸せな気持ちだったんだ……それが突然消えて……僕はっ!
「そうじゃな。お主とお主と連れ合っておった者は運命が捻じ曲げられ、肉体が滅びたのじゃ」
肉体が滅びる? 死んだと言うこと?
「正確に言えばまだ死んではおらぬ。本当の意味での死を迎えるならば肉体が滅びると共にその魂は宇宙へ向かいエーテルを通じて魂が浄化され新たな器に宿るのを待つんじゃ。稀に未練が強く残って宇宙へ向かわない魂もおるが、お主のそれはまた違うのじゃ」
友加里はここにはいないの?
「お主とはまた違う次元から世界線を超えてしもうたようじゃな。故にこの次元にはおらぬ」
そんな……
「安心せい。稀に魂の器としての役割を果たせぬままに産まれてくる子がおるんじゃ。お主の連れ合いの魂が向かった世界で定着させてやろう」
どうしてそこまでしてくれるの? あなたはいったい……
「ふはははは。子がワシの元へ迷い込んで来てしもうたからの。しかも運命を捻じ曲げられてじゃ。親として手助けするのが当然じゃ。そして、ワシは世界の意志……とでも言っておこうか。この言葉はお主らの世界の言葉を借りておるだけじゃからな。ワシはお主に合わせておるだけじゃ」
よく分からない。
「理解しようとせんでええんじゃ。ワシは何者でもない、ただの意志にすぎぬ」
「我は汝らの心に住む者」
「私はあなた達を見守る者」
「全ては一つ」
何なんだ。一体……色んな人が僕の中に入ってくる。ぐちゃぐちゃになる……
「哀れな人の子よ。お主の運命に幸があらんことを」
う――ぁぁぁぁあああああああああ!
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