ただの世界最強の村人と双子の弟子
第36話 ティフィラの戦況
===ティフィラ視点========================
技姫といつ間にか離れてしまいましたね……。まあ、その方が良かったでしょう。あまり周りに気をつける余裕はありませんからね………。
「オラオラオラッ!!」
目の前の神は柄だけでも身の丈以上の長さがある鎌を振り回しています。刃も頭から太ももくらいはありそう……。
そんな巨大な鎌を自在に扱い、さっきから全方位からの私の精霊魔法が叩き落とされたり、斬られたりしています。……はっきり言って、隙を鎌を振り回す事で無理矢理無くしているから、どう攻撃するか考えないといけません…。
「数だけしか能が無いのかお前は!」
さっきから徐々に近づく神。……確かに、私は人より攻撃の数が圧倒的に多いから、それに甘えていたのかもしれません……。
『お前は1000年前に比べて対人戦闘が弱くなっているな』
以前、ユウキに言われた言葉。確かに私はユウキが去る前より圧倒的に弱くなってる……。ならっ!戦い方を工夫するまでです!
「オラオラオラッ!っ!?」
鎌を振り回していた神の動きが急に鈍くなります。それもそのはず……
「てめぇ……!何しやがった!?」
「……"グラビティゾーン"」
「……っ!………なるほどな」
"グラビティゾーン"、指定した範囲の重力を上げる魔法。魔力消費量が多いのがネックだけど、効果は絶大。すぐさま精霊で神を包囲し、一斉放射の準備を……
「ふっ、俺を止めて一斉放射って訳か………甘ぇな!」
神は持ち上げられない程重たくなっている筈の鎌を頭上に掲げ、
「刈り取れっ!『フェノーズ』!!」
神が鎌の名前と思われる言葉を口にし、鎌が紫色に光った瞬間、私の"グラビティゾーン"が消えた……。いや、霧散した?
私が訳も分からず戸惑っていると、わざわざ今の現象の説明をしてくれました。
「俺は『刈神』。あっ、家臣じゃねぇぞっ!……まあ、とにかく……俺の能力は事象の刈り取り。刈り取るだけだから無効化とも違うし、破壊した訳でもねぇ。ただ刈り取っただけ。現に少しは"グラビティゾーン"の影響を受けているんだせ?まあ、これくらいどうって事はねぇがな!!」
言い終わりと同時に、勢いよく接近してくる。速い……!けどっ……
(ピューーン)「ぐはっ!!」
『刈神』の体、心臓のある場所を一筋の光が貫き、血飛沫が舞う。
「"ライトレーザー"」
かつて、ユウキに撃ったレーザーはこれを収束させたものです。精霊魔法の1つで、太陽の光を取り入れる必要がありますが、貫通力はかなり高い魔法。そして、私の精霊の一人を森の木々に忍ばせ、予想すら出来ない所からの狙撃。……正直、神に心臓があるかどうかの賭けでしたが、上手くいきました!
「て、てめぇ……!卑怯な手……使いやがって………!」
「卑怯なのは、いきなりやってきたあなた方だと思いますが……」
「……これで終わりと思うなっ!『フェノーズ』!!」
また鎌が光ると、さっきまで血を流していた胸の穴が塞がりました……。
「ええ~~、あなたのその鎌、強すぎじゃありません?」
私の素直な感想を鼻で笑って一蹴し、
「別にこいつはそこまで万能じゃねぇ。現に今も傷こそ塞げたが、心臓は貫かれたままだ」
そう言って、胸の辺りを抑えながら喋る神。……確かに苦痛にこらえているからか、汗も出てるままですし……。
「という訳で、速攻で終わらせてもらうぜ!!『フェノーズ』!!」
急にスピードを上げた神に全く迎撃が出来ないと悟った私は150体ぐらいしか集められませんでしたが、精霊を周囲に展開し、これもユウキの攻撃を防いだ時の魔法。私の周りに半透明な六角形がいくつもの組み合わさった障壁が展開されていきます。
「"フェアリープロテクト"!」
「オラァッ!刈り取れっ!!」
(ガキィィィン!!)
私の城壁と神の鎌が当たった瞬間、金属音のような音が周りに響き渡り、私の障壁と神の鎌は膠着状態が少し続きましたが、それを破ったのは………
「オォォッラァァ!!」
「うっ!」
凄い力を込めた神が私の障壁を破り、私をすれ違いざまに斬りつけてきました。でも、私もただやられた訳ではありません。
(ドゴォーン!!)「ぐはぁっ!」
私を横切った神は私から少し離れた場所で爆発を起こし、苦痛の声をあげます。それもそのはず、斬りつけられた瞬間に体内に潜ませていた精霊の手を使い、彼の背中に"フレアブラスト"を設置させて、少し離れた所で起爆させました。
「くっ、なかなかやるじゃねぇか…」
「………あなたが急に速くなったのはその鎌で刈り取ったから?例えば"自分が出せる速度の限界"とか………」
「………………ふっ、てめぇは頭が切れるな……。てめぇの予測通りだが、それがどうした?」
「あなたの能力は"刈り取り"。それは刈り取っているだけで、無効化でも、破壊でも無いのなら、あなたの脚はいつか限界が来るじゃ……」
「………ほんと、頭の切れる奴は戦いづれぇな!」
再び急接近してくる神。鎌は相変わらず不気味な紫色に光っている。
「"フェアリープロテクト"!」
話している間に精霊を集めていたから、今度は全員集められ、さっきより強固な障壁が張れた。
(ガキィィィン!)「ぐっ!さっきより硬ぇ!!」
神は障壁との衝突で弾き返され、大きく態勢を崩され、隙だらけになる。それを見過ごす訳ない!
「"ライトレーザー・フル出力"!!」
すぐに障壁が消し、今度は高密度で人の体ぐらい簡単に飲み込めるほどの太さのレーザーを放ちます。
「ぐっ!があぁぁぁぁぁ…………!!!」
最初こそ苦痛の声を荒げる事が出来ましたが、次第にあらゆるものが燃えるというより溶けるという感じで体が無くなり始めたら、声も出せなくなったようで、レーザーが終息した時には、体は跡形も無く、辛うじて原型を留め、焦げたように黒くなった鎌だけが残りました……。
「よしっ!大勝利!!……だけど、疲れた~~」
神に勝てましたけど、流石に疲れましたね………。少し休んだら、技姫の助けに行きましょうか……。ユウキは……大丈夫でしょ!
===ユウキ視点========================
「はぁ、はぁ、くっそ……」
俺は今、森の中で木に背もたれながら、息を整えていた。
(あの神は強すぎですね………)
(ああ、王がここまで疲れされるとは……)
で、あいつとどう戦おっか?
(やはり、"身体強化"をフルにして戦うしかないかと……)
(いや、アレを使うのはどうだ?)
うーん、使ってもいいんだけど……
(……?何か問題でも?)
あいつ、絶対まだ本気を出しちゃいねぇ……。俺が本気で戦うのを待っていやがる……。
(アレで本気じゃないとなると……アレを使っても勝てるとは思えなくなってきましたね……)
ああ、だから、他の奴と合流してから使った方が良いんじゃねぇかな?
(まあ、それを決めるのは王だ)
うーん、どうしよ?
「考え事か?」
「……っ!!」
声のする方を見ると、木々の間から、赤い光を纏った神がこっちに近づいて来ていた。
「早く本気を出せ。さもなくば……死ぬぞ」
「………っ!!」
一瞬で消えたと思いきや、声が背後から聞こえ、それを認識した時には胸を手刀で貫かれていた…………。
===========================
魔神に引き続き、今度は違う神に胸を貫かれたユウキ。……よく貫かれますね……。
技姫といつ間にか離れてしまいましたね……。まあ、その方が良かったでしょう。あまり周りに気をつける余裕はありませんからね………。
「オラオラオラッ!!」
目の前の神は柄だけでも身の丈以上の長さがある鎌を振り回しています。刃も頭から太ももくらいはありそう……。
そんな巨大な鎌を自在に扱い、さっきから全方位からの私の精霊魔法が叩き落とされたり、斬られたりしています。……はっきり言って、隙を鎌を振り回す事で無理矢理無くしているから、どう攻撃するか考えないといけません…。
「数だけしか能が無いのかお前は!」
さっきから徐々に近づく神。……確かに、私は人より攻撃の数が圧倒的に多いから、それに甘えていたのかもしれません……。
『お前は1000年前に比べて対人戦闘が弱くなっているな』
以前、ユウキに言われた言葉。確かに私はユウキが去る前より圧倒的に弱くなってる……。ならっ!戦い方を工夫するまでです!
「オラオラオラッ!っ!?」
鎌を振り回していた神の動きが急に鈍くなります。それもそのはず……
「てめぇ……!何しやがった!?」
「……"グラビティゾーン"」
「……っ!………なるほどな」
"グラビティゾーン"、指定した範囲の重力を上げる魔法。魔力消費量が多いのがネックだけど、効果は絶大。すぐさま精霊で神を包囲し、一斉放射の準備を……
「ふっ、俺を止めて一斉放射って訳か………甘ぇな!」
神は持ち上げられない程重たくなっている筈の鎌を頭上に掲げ、
「刈り取れっ!『フェノーズ』!!」
神が鎌の名前と思われる言葉を口にし、鎌が紫色に光った瞬間、私の"グラビティゾーン"が消えた……。いや、霧散した?
私が訳も分からず戸惑っていると、わざわざ今の現象の説明をしてくれました。
「俺は『刈神』。あっ、家臣じゃねぇぞっ!……まあ、とにかく……俺の能力は事象の刈り取り。刈り取るだけだから無効化とも違うし、破壊した訳でもねぇ。ただ刈り取っただけ。現に少しは"グラビティゾーン"の影響を受けているんだせ?まあ、これくらいどうって事はねぇがな!!」
言い終わりと同時に、勢いよく接近してくる。速い……!けどっ……
(ピューーン)「ぐはっ!!」
『刈神』の体、心臓のある場所を一筋の光が貫き、血飛沫が舞う。
「"ライトレーザー"」
かつて、ユウキに撃ったレーザーはこれを収束させたものです。精霊魔法の1つで、太陽の光を取り入れる必要がありますが、貫通力はかなり高い魔法。そして、私の精霊の一人を森の木々に忍ばせ、予想すら出来ない所からの狙撃。……正直、神に心臓があるかどうかの賭けでしたが、上手くいきました!
「て、てめぇ……!卑怯な手……使いやがって………!」
「卑怯なのは、いきなりやってきたあなた方だと思いますが……」
「……これで終わりと思うなっ!『フェノーズ』!!」
また鎌が光ると、さっきまで血を流していた胸の穴が塞がりました……。
「ええ~~、あなたのその鎌、強すぎじゃありません?」
私の素直な感想を鼻で笑って一蹴し、
「別にこいつはそこまで万能じゃねぇ。現に今も傷こそ塞げたが、心臓は貫かれたままだ」
そう言って、胸の辺りを抑えながら喋る神。……確かに苦痛にこらえているからか、汗も出てるままですし……。
「という訳で、速攻で終わらせてもらうぜ!!『フェノーズ』!!」
急にスピードを上げた神に全く迎撃が出来ないと悟った私は150体ぐらいしか集められませんでしたが、精霊を周囲に展開し、これもユウキの攻撃を防いだ時の魔法。私の周りに半透明な六角形がいくつもの組み合わさった障壁が展開されていきます。
「"フェアリープロテクト"!」
「オラァッ!刈り取れっ!!」
(ガキィィィン!!)
私の城壁と神の鎌が当たった瞬間、金属音のような音が周りに響き渡り、私の障壁と神の鎌は膠着状態が少し続きましたが、それを破ったのは………
「オォォッラァァ!!」
「うっ!」
凄い力を込めた神が私の障壁を破り、私をすれ違いざまに斬りつけてきました。でも、私もただやられた訳ではありません。
(ドゴォーン!!)「ぐはぁっ!」
私を横切った神は私から少し離れた場所で爆発を起こし、苦痛の声をあげます。それもそのはず、斬りつけられた瞬間に体内に潜ませていた精霊の手を使い、彼の背中に"フレアブラスト"を設置させて、少し離れた所で起爆させました。
「くっ、なかなかやるじゃねぇか…」
「………あなたが急に速くなったのはその鎌で刈り取ったから?例えば"自分が出せる速度の限界"とか………」
「………………ふっ、てめぇは頭が切れるな……。てめぇの予測通りだが、それがどうした?」
「あなたの能力は"刈り取り"。それは刈り取っているだけで、無効化でも、破壊でも無いのなら、あなたの脚はいつか限界が来るじゃ……」
「………ほんと、頭の切れる奴は戦いづれぇな!」
再び急接近してくる神。鎌は相変わらず不気味な紫色に光っている。
「"フェアリープロテクト"!」
話している間に精霊を集めていたから、今度は全員集められ、さっきより強固な障壁が張れた。
(ガキィィィン!)「ぐっ!さっきより硬ぇ!!」
神は障壁との衝突で弾き返され、大きく態勢を崩され、隙だらけになる。それを見過ごす訳ない!
「"ライトレーザー・フル出力"!!」
すぐに障壁が消し、今度は高密度で人の体ぐらい簡単に飲み込めるほどの太さのレーザーを放ちます。
「ぐっ!があぁぁぁぁぁ…………!!!」
最初こそ苦痛の声を荒げる事が出来ましたが、次第にあらゆるものが燃えるというより溶けるという感じで体が無くなり始めたら、声も出せなくなったようで、レーザーが終息した時には、体は跡形も無く、辛うじて原型を留め、焦げたように黒くなった鎌だけが残りました……。
「よしっ!大勝利!!……だけど、疲れた~~」
神に勝てましたけど、流石に疲れましたね………。少し休んだら、技姫の助けに行きましょうか……。ユウキは……大丈夫でしょ!
===ユウキ視点========================
「はぁ、はぁ、くっそ……」
俺は今、森の中で木に背もたれながら、息を整えていた。
(あの神は強すぎですね………)
(ああ、王がここまで疲れされるとは……)
で、あいつとどう戦おっか?
(やはり、"身体強化"をフルにして戦うしかないかと……)
(いや、アレを使うのはどうだ?)
うーん、使ってもいいんだけど……
(……?何か問題でも?)
あいつ、絶対まだ本気を出しちゃいねぇ……。俺が本気で戦うのを待っていやがる……。
(アレで本気じゃないとなると……アレを使っても勝てるとは思えなくなってきましたね……)
ああ、だから、他の奴と合流してから使った方が良いんじゃねぇかな?
(まあ、それを決めるのは王だ)
うーん、どうしよ?
「考え事か?」
「……っ!!」
声のする方を見ると、木々の間から、赤い光を纏った神がこっちに近づいて来ていた。
「早く本気を出せ。さもなくば……死ぬぞ」
「………っ!!」
一瞬で消えたと思いきや、声が背後から聞こえ、それを認識した時には胸を手刀で貫かれていた…………。
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