ただの世界最強の村人と双子の弟子
第16.75話 ギルドマスターの心境
===魔神視点=====================
「あ、あの~~?」
妾が"ファイアバレット"を撃ち込んでから10分経ったがまだ職員もついでに見ていた他の人達も呆けて動かないでいた。
「あ~~~!の~~~~!」
「ひゃっ!ひゃいっ!!」
おかしな返事じゃが、やっと反応してくれた。
「この試験、合格ですか?」
合格しておるだろうが気になる。
「もっ!もちろんです!!きょっ、今日の試験はここまでです!結果発表は明日になりますので、明日張り出されている合格者一覧を見て合格しているようなら受付まで来てください!!」
「わかりました。では今日はここで失礼します」
結果発表は明日か……。受かっているといいのう!
妾は軽やかなステップをしながらいつの間にかオレンジ色に染まった街を通った。
===ギルドマスター(ボウ)視点========
今日の試験がそろそら終わる頃だな。
近頃魔物達の活動が活発化してきている今、強い冒険者や将来有望な冒険者を招き入れておきたい。
今回の試験に毎年恒例となりつつあるズーグらAランク冒険者監督の試験。
ズーグはいつもめんどくさがり屋で戦闘狂だが、相手を見る目、戦闘力に関してはSランクになってもおかしくない冒険者だ。
他の冒険者達も腕利き揃いだ。
そのズーグ達が見ているんだ。
強い冒険者や将来有望な冒険者を見逃すはずが無い。
早く試験内容が聞きたい。願わくば、強い新人を……。
(ドッタドッタドッタ!)
おっ、来たか。
(バァーン!)
「おいっ!今日の試験を受けに来た奴の中に化け物みたいな強い奴がいたぞ!!」
「今日の魔法試験を受けたエルフのお嬢さんを是非!うちの『連合国軍直属魔術師団』に加えさせて貰いたい!!」
ギルドマスター室の扉が壊れる勢いで入って来たのは2人。
1人目ははズーグだ。何やら信じられないような顔をしているが、何があったんだ?
2人目は『連合国軍直属魔術師団』"弾幕の魔法隊"と呼ばれる中級魔法のバレット系や上級魔法のキャノン系といった"銃"と呼ばれる『全能の大英雄』様が使っていた武器の弾を魔法にした魔法を得意とする魔法兵の副隊長であるバレが凄い形相で入って来た。
「はぁ~、はぁ~、はぁ~、お二人とも速すぎます」
チラッと扉に目を向けると、扉を背もたれにして息荒く立っていた受付嬢長のメルットが資料を胸に抱いていた事から資料を持って来てくれたのか。
「こちらが今日の採用試験者の資料です」
すぐに息を整えたようで私の机に100人の資料が置かれたがその資料の中に2つ付箋が貼られているものがあった。
「この付箋は?」
「付箋がついてある人は文句なしの合格者です。実力はAランク相当は確実と思ってください」
なんと……!今日の試験で2人もAランク相当の実力者が……!
「え~っとなになに、1人目は獣人族のグライか……。おおっ!!武術試験でAランクのアルスに完膚なきまでに勝ったと!素晴らしいな!」
アルスと言えば槍使いの上位者で、確かアルスの槍は間合いが変幻自在と言われるほど、槍の特性を理解して一方的な戦いに持ち込むのが得意なズーグに次ぐSランク冒険者に近いAランク冒険者だ。
「確かにそいつも実力者ですが、もっと凄い化け物が……」
ズーグがいつもの乱暴的な言葉遣いでは無くなるほどの実力者か……。
「次は~~、名前をモリー。エルフ族か。なにっ!ズーグを瞬殺出来る程の実力だとっ!」
ズーグは"俊足"と呼ばれるほど、ヘビー級みたいなルックスに反して途轍もなく速い。単純なスピードだけなら"神速"と"瞬神"に次ぐスピードで次のSランク昇進に最も近いと言われるズーグを……、瞬殺出来る……だと。
「それだけではありません」
メルットがズーグより強いモリーに唖然となっていた俺にトドメを刺すかのように魔法試験の欄を指差した。
「なにっ!?"ファイアバレット"を20発出現させただとっ!?確か最多数はバレの所の隊長のベレットの12発の筈!?それを上回ったなど確かにバレの奴が欲しがる訳だ…」
「その通り!!是非っ!私達の隊員にっ!」
狙ったかのようにバレが喚きだした!確かに気持ちは分かるか……、
「それはモリー自身が決める事だ。明日の結果発表の時に受付に来る筈だ。受付に来たらすぐここに連れてこい。そこでバレは勧誘でもすればいい。断って冒険者になると言うのならランクをAランクにしよう」
「なりませんっ!規則では採用試験ではBランクまでしか上げることはできません!」
メルットがまくしたてるが、
「それはモリーに負けたズーグをも過小評価する事になるぞ」
そう、Sランクに最も近いズーグに勝ったモリーがBランクだとズーグの立場が無くなってしまう。ギルドマスターとして、それは黙認するわけにはいかない。
「すまねぇ、ボウ」
「なに、元同僚として当然の事をやったまでさ。他の人も見ないとな。悪いが、もうお開きにさせて貰ってもいいか?徹夜はあまりしたくないんでね」
「ああ、すまねぇ」
「了解しました、今日のところはここで」
「失礼します、ギルドマスター」
みんなが出ていくのを確認してから自身の『ソウルウェポン』を顕現させる。手元に見慣れた《世界樹》のような強度の強い木製の弓が現れる。ただし、弦は切れ、反ってある木はボロボロで使える代物では無い状態だが。
自身と『ソウルウェポン』は表裏一体。幸いなことに自身が傷ついても『ソウルウェポン』は傷つかないが、『ソウルウェポン』が傷つくと自身の力の衰退を表す。
思い出すのは俺の『ソウルウェポン』を傷つけた《バハムート》。通常は時間の経過と共に『ソウルウェポン』は修復されるが、《バハムート》の攻撃では修復しない。故にその《バハムート》は"破壊龍"と呼ばれている。
「俺が強い冒険者を求めているのは、もしかして誰かに自分の代わりに復讐して欲しいからかもな…」
俺の独り言は虚しく散り、俺は淡々と資料に目を通した……。
==============================
あれ?いつの間にかギルドマスターメインの話になってしまいました。
ところで気づいた人もいるでしょうが魔神編を消して、通常章と同じところに投稿しようと思います。またところどころ変更したりする事もありますが、今は手探りで投稿している状態なのでお付き合い頂けますと助かります。
「あ、あの~~?」
妾が"ファイアバレット"を撃ち込んでから10分経ったがまだ職員もついでに見ていた他の人達も呆けて動かないでいた。
「あ~~~!の~~~~!」
「ひゃっ!ひゃいっ!!」
おかしな返事じゃが、やっと反応してくれた。
「この試験、合格ですか?」
合格しておるだろうが気になる。
「もっ!もちろんです!!きょっ、今日の試験はここまでです!結果発表は明日になりますので、明日張り出されている合格者一覧を見て合格しているようなら受付まで来てください!!」
「わかりました。では今日はここで失礼します」
結果発表は明日か……。受かっているといいのう!
妾は軽やかなステップをしながらいつの間にかオレンジ色に染まった街を通った。
===ギルドマスター(ボウ)視点========
今日の試験がそろそら終わる頃だな。
近頃魔物達の活動が活発化してきている今、強い冒険者や将来有望な冒険者を招き入れておきたい。
今回の試験に毎年恒例となりつつあるズーグらAランク冒険者監督の試験。
ズーグはいつもめんどくさがり屋で戦闘狂だが、相手を見る目、戦闘力に関してはSランクになってもおかしくない冒険者だ。
他の冒険者達も腕利き揃いだ。
そのズーグ達が見ているんだ。
強い冒険者や将来有望な冒険者を見逃すはずが無い。
早く試験内容が聞きたい。願わくば、強い新人を……。
(ドッタドッタドッタ!)
おっ、来たか。
(バァーン!)
「おいっ!今日の試験を受けに来た奴の中に化け物みたいな強い奴がいたぞ!!」
「今日の魔法試験を受けたエルフのお嬢さんを是非!うちの『連合国軍直属魔術師団』に加えさせて貰いたい!!」
ギルドマスター室の扉が壊れる勢いで入って来たのは2人。
1人目ははズーグだ。何やら信じられないような顔をしているが、何があったんだ?
2人目は『連合国軍直属魔術師団』"弾幕の魔法隊"と呼ばれる中級魔法のバレット系や上級魔法のキャノン系といった"銃"と呼ばれる『全能の大英雄』様が使っていた武器の弾を魔法にした魔法を得意とする魔法兵の副隊長であるバレが凄い形相で入って来た。
「はぁ~、はぁ~、はぁ~、お二人とも速すぎます」
チラッと扉に目を向けると、扉を背もたれにして息荒く立っていた受付嬢長のメルットが資料を胸に抱いていた事から資料を持って来てくれたのか。
「こちらが今日の採用試験者の資料です」
すぐに息を整えたようで私の机に100人の資料が置かれたがその資料の中に2つ付箋が貼られているものがあった。
「この付箋は?」
「付箋がついてある人は文句なしの合格者です。実力はAランク相当は確実と思ってください」
なんと……!今日の試験で2人もAランク相当の実力者が……!
「え~っとなになに、1人目は獣人族のグライか……。おおっ!!武術試験でAランクのアルスに完膚なきまでに勝ったと!素晴らしいな!」
アルスと言えば槍使いの上位者で、確かアルスの槍は間合いが変幻自在と言われるほど、槍の特性を理解して一方的な戦いに持ち込むのが得意なズーグに次ぐSランク冒険者に近いAランク冒険者だ。
「確かにそいつも実力者ですが、もっと凄い化け物が……」
ズーグがいつもの乱暴的な言葉遣いでは無くなるほどの実力者か……。
「次は~~、名前をモリー。エルフ族か。なにっ!ズーグを瞬殺出来る程の実力だとっ!」
ズーグは"俊足"と呼ばれるほど、ヘビー級みたいなルックスに反して途轍もなく速い。単純なスピードだけなら"神速"と"瞬神"に次ぐスピードで次のSランク昇進に最も近いと言われるズーグを……、瞬殺出来る……だと。
「それだけではありません」
メルットがズーグより強いモリーに唖然となっていた俺にトドメを刺すかのように魔法試験の欄を指差した。
「なにっ!?"ファイアバレット"を20発出現させただとっ!?確か最多数はバレの所の隊長のベレットの12発の筈!?それを上回ったなど確かにバレの奴が欲しがる訳だ…」
「その通り!!是非っ!私達の隊員にっ!」
狙ったかのようにバレが喚きだした!確かに気持ちは分かるか……、
「それはモリー自身が決める事だ。明日の結果発表の時に受付に来る筈だ。受付に来たらすぐここに連れてこい。そこでバレは勧誘でもすればいい。断って冒険者になると言うのならランクをAランクにしよう」
「なりませんっ!規則では採用試験ではBランクまでしか上げることはできません!」
メルットがまくしたてるが、
「それはモリーに負けたズーグをも過小評価する事になるぞ」
そう、Sランクに最も近いズーグに勝ったモリーがBランクだとズーグの立場が無くなってしまう。ギルドマスターとして、それは黙認するわけにはいかない。
「すまねぇ、ボウ」
「なに、元同僚として当然の事をやったまでさ。他の人も見ないとな。悪いが、もうお開きにさせて貰ってもいいか?徹夜はあまりしたくないんでね」
「ああ、すまねぇ」
「了解しました、今日のところはここで」
「失礼します、ギルドマスター」
みんなが出ていくのを確認してから自身の『ソウルウェポン』を顕現させる。手元に見慣れた《世界樹》のような強度の強い木製の弓が現れる。ただし、弦は切れ、反ってある木はボロボロで使える代物では無い状態だが。
自身と『ソウルウェポン』は表裏一体。幸いなことに自身が傷ついても『ソウルウェポン』は傷つかないが、『ソウルウェポン』が傷つくと自身の力の衰退を表す。
思い出すのは俺の『ソウルウェポン』を傷つけた《バハムート》。通常は時間の経過と共に『ソウルウェポン』は修復されるが、《バハムート》の攻撃では修復しない。故にその《バハムート》は"破壊龍"と呼ばれている。
「俺が強い冒険者を求めているのは、もしかして誰かに自分の代わりに復讐して欲しいからかもな…」
俺の独り言は虚しく散り、俺は淡々と資料に目を通した……。
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あれ?いつの間にかギルドマスターメインの話になってしまいました。
ところで気づいた人もいるでしょうが魔神編を消して、通常章と同じところに投稿しようと思います。またところどころ変更したりする事もありますが、今は手探りで投稿している状態なのでお付き合い頂けますと助かります。
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