妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

125:三種の神器

 あれから数時間たち、今は巫女の里でフロンたちの到着を待っているところ。
 ティナは里の各家へ王都からのお土産を渡していた。そしてムラクモとヨリヒメは実体化してユウの両側から腕に抱き着いていた。クロノスとの対面が終わり、一番変化があったのは間違いなくこの二人だろう。

「ボクがこういうことするの珍しいんだから許してよ」
「久しぶりのユウ。離さない」

 全く離れる気がない二人を無視して、二人の変化について整理することにした。エルを介して視影ノ瞳ミカゲを発動させ、まずはムラクモのステータスを視る。

『妖神刀 ムラクモ 女
 年齢 :??
 種族 :刀神種
 属性 :闇 光
 武器ランク:Unknown
 練度 :∞
 状態 :妖刀化 神刀化
 スキル:神刀術 神剣術 短剣術 体術 魔法剣 光魔法 闇魔法 妖術 意思疎通 気配察知 魔力察知 殺気 人化 
 ユニーク:伸縮自在 三種統括
 耐性 :幻惑耐性 斬耐性 魔法耐性 精神耐性 状態異常無効』

 見てわかる通り追加されたスキルが多すぎる。妖刀化はそのままで神刀に戻ったようだ。それに伴い光魔法を覚えたようだ。そして触れるべきはもう一つユニークが増えていることだ。

(エル。三種統括ってなんだ)
《アクセス権限がありません。本人に聞くのが一番かと》

 エルにアクセス権限がない? 初めて聞くが、どこぞの神のせいだということだけはわかった。ユウは右腕にくっついているムラクモにユニークスキルに関して尋ねてみた。

「ユウは私の生い立ちについてはどれくらい知ってる?」
「まぁ実家にあった刀だし、ある程度は」

 ムラクモは天叢雲剣と呼ばれる神刀だ。言い伝えだとスサノオがヤマタノオロチを倒したときにその尾から出てきたという。確か日本では三種の神器の一つとされていたはずだ。

「そう。私は三種の神器が一つ天叢雲剣。三種の神器を取りまとめる存在……らしい」
「らしいってなんだよ。でも、今になってそれを主張するユニークスキルが現れたってことは?」
「八尺瓊勾玉と八咫鏡も神によってこちらの世界に飛ばされているってクロノスが言ってた。ね、ヨリヒメ?」

 ムラクモはそのまま反対側で俺の腕にしがみついているヨリヒメへと視線を向ける。視線を向けられたヨリヒメはそっと目を背ける。俺もムラクモと一緒に視線の圧をヨリヒメに送り続けた。するとようやくこちらを向き話を始めた。

「ねぇユウちゃん。この世界に来て、ボクと初めてあった場所のこと覚えてる?」

 この世界にきてヨリヒメと始めた合ったのは夢の中だ。赤い空、黒い雲、ごつごつした地面に大きな岩がたくさんあった奇妙な場所だ。

「お父さんがあの後いろいろ教えてくれたんだけど。あの場所の奥にはね、高天原への入り口があるんだ、その入り口を守ってきたのがボク達、魂鬼なんだって」

 ヨリヒメは父親から聞いた話を続ける。

「ある日、お父さんが高天原から八咫鏡の管理を任されたんだ。八咫鏡は所有者を見定め、力を与える代わりに過酷な道へ身を投じさせる困った神器だったらしいよ。そして八咫鏡はボクへ興味を向けた。それを察したお父さんが現世で未練を持つボクを遠くへ追いやった」

 話している途中でヨリヒメは腕で目元を拭った。自分は本当の意味で捨てられていなかったことを知ったのだ。ユウ自由を得た左手でヨリヒメの頭を優しくなでる。

「じゃあヨリヒメから八咫鏡の反応があるのはそのせいなんだね」

 ムラクモが視線を向けた理由がそれだった。ユウは視影ノ瞳を発動させ改めてヨリヒメを視る。

『ヨリヒメ 女
 年齢 :??
 種族 :魂鬼こんき
 属性 :闇・火
 状態 :憑依
 スキル:体術 闘拳術 闇魔法 火魔法 身体強化 精神化 実体化 意思疎通 剛力 覇気 無詠唱 憑依 反射
 ユニーク:黒鬼ノ衣コッキノコロモ 装魔黒鬼ソウマコッキ 八咫鏡ヤタノカガミ
 耐性 :精神耐性 魔法耐性 物理耐性 幻術無効』

八咫鏡:
鏡を実体化させ映った魔法などを取り込み、威力を倍にし反射する。

《手に持つ必要がなく、取り出し自由、大きさ自由の遠距離専用の万能防御スキルといった感じでしょうか。工夫次第で様々な使い方ができそうです》

 エルの解説もあり、汎用性の高いユニークスキルであることはわかった。だがこれをヨリヒメが持っているということは、八咫鏡の所有者になったということだ。それはつまり……

「ユウちゃん私はね、今度は絶対に負けたくないの。もうユウちゃんにあんな顔はさせないって決めたのだから大丈夫。この先どんな過酷な未来が待っていたとしてもユウちゃん達がいてくれたら私は乗り越えられる」

 そう見つめるヨリヒメとユウの間にムラクモが割って入る。そしてない胸を張り、宣言する。

「ユウは心配しなくていい。私がそんなことはさせない。私は統括、ちゃんと管理する」
「そうだな頼んだぞ、ムラクモ。ヨリヒメもな」

 ユウは二人の頭に手を置き、二人の決意を決して裏切らないようにと心に決めた。

コメント

  • ノベルバユーザー601714

    ランキング2位でしたので拝見しました。妖刀使いは斬新な設定で面白いと感じました。

    0
  • ヘンゼルとグレテル

    ランキングで紹介されてたので拝見しました。
    世界観が好きです!
    続きが楽しみです!

    0
  • ノベルバユーザー582729

    とても面白くて最新話まで一気読みしてしまいました!!

    いつかこの話の続きが読めることを楽しみにしております!

    0
  • カラスの白昼夢

    まだ連載が続いていたのですね!
    色々な神話や言い伝えとも繋がっている深い世界観に魅了されました。
    以前読ませていただいたときにはムラクモちゃんが光ったところまでだったので、続きがとても気になっていました。
    ご無理をなさらず、続けていただけると嬉しいです。

    1
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品