BLOOD HERO'S

ノベルバユーザー177222

episode6 #8「4人の記録」

 この社会では能力者は本来、保護対象として扱われている。保護された能力者達は監察署と呼ばれる施設へと送られる。

 監察署は刑務所に比べればある程度の自由な生活を保障(風呂場や食堂、トイレetc…)されるが『安寧ウェルビングルーム』と呼ばれる部屋で生活を強いられる。

 しかし安寧とは名ばかりの監視カメラで監視された部屋に入れられる( 能力を故意で使用し脱走しようとしたり無自覚で能力を使用した者に早急に対処出来るようにする為である)。

 もし能力が使用された場合は催涙ガスで眠らせるという対処をとるが稀にガスが効かない能力を持っている者がいる場合、事前に特別な個室へと連れて行かれその能力に対処出来る部屋に入れられる。

 それほどの事を可能にする理由が署長を務めている長居ながい 閉次へいじの能力『無限インフィニット牢獄・プリズン』による能力者を封じ込められる能力を持っているからである。

 長居 閉次は齢70を超えてもなお自らの能力で創り上げた監察署を40年以上守り続けている。だが、身を危険に晒さないようあまり表に出て来ることはない。監察署で働く職員の中には署長の顔を見た事がないという人がほとんどだ。

 そんな彼の創り上げた牢獄を脱獄した者は40年以上経つ今でも1人としていない。だがここから出られる方法が2つある。

 1つは国家機関のような国を守る職務に務めること。警察やSSIU等がその対象に該当する(一応、スフィアもその中に該当しているが志村は一度も使ったことはない)。

 そしてもう1つの方法とは、

 ---「金か…」

 「…そうかもね」

 細谷がぼそりと呟くと志村はそれに頷き応える。細谷の言う通りもう1つの方法とは賄賂という非合法的な方法であった。

 この時代では金銭のやり取りはカードが殆どの為、簡単に受け取りが出来るようになってしまい年々増え続けていた。

 「保護歴がついているという事は監察署に履歴が残っている筈だが…」

 細谷は志村の方に視線を移し問いかけてみると志村は「うむ…」と短く応えると急に目の前のパソコンを弄り始めた。少し弄ると画面には文字が羅列されたページに目を止めた後、視線を細谷に向けた。

 「彼の事を少し調べてみたけど、10年程前に保護されていたようだが、ここ5、6年の記録が残っていない」

 「何?」

 志村が丁寧に応えるが細谷は眉を寄せパソコン画面に視線を移した。画面には監察署に残された保護した能力者達のプロフィールや健康状態、能力による症状・変化等が月一間隔で記録されていた。

 白凪の記録を閲覧してみると保護されたのが聖歴2490(光元32)年10月25日。そこから月の初めから逐一記録が書き記されていた。

 しかし2495(光元37)年4月からの記録が途絶えていたのだ。

 「それからここ5、6年で記録が無くなっているのを調べてみたんだけど…」

 細谷が白凪の記録に目を通したのを確認すると志村は再びパソコンを弄り出し今度は3人の記録を写し出した。

 「!?これは…?」

 そこには『音宮 渚』、『透斎 佐助』、『重堂 力也』の3人の記録が写し出されていた。

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