BLOOD HERO'S
episode5 #47「2人の会話」
 ---「イヤー、またお力をお借りしてすいません。おかげさまで私の愛する故郷も安寧の日々を過ごせそうです」
 「それはお力添えを貸した甲斐がありますよ。また何かあったらお力お貸ししますよ」
 地下深い場所で多原は志村と電話越しで会話していた。多原は志村と何度か面識がありお互い連作先を知る程の仲だった。
 「ありがとうございます。なら是非今度こちらに来た時奢らせて下さい。またゆっくりお話ししたいですし」
 「ええ是非。それでウチの新入り君の仕事ぶりはどうでした?私的には良い人材だと思うんですけど」
 お互い社交辞令を済ませると志村から話を切り替えてきた。
  「そうですねー、仕事ぶりの方は見れませんでしたけど見た感じで言うなら好青年という印象をとても強く感じています。さぞ職場ではチヤホヤされてるんじゃないですか?」
 「そりゃあもうウチの期待の新入りですから。その言いぶりだと貴方もさぞや気に入ったでしょう?」
 「ええ。恥ずかしながらすっかり彼の魅力にハマってしまいましたよ」
 お互い電話越しで笑みを浮かべながら楽しそうに会話を弾ませているが実際は全て心にもない発言ばかりだった。それは当然お互い気づいていた。
 しかしそれがさも当たり前のように続けていた。連絡先を知る程の中とはあくまで上辺的なもので実際はお互い情報源として利用しようとしているのだった。
 適当な会話を弾ませながらボロを出すのをひたすら待っているのだ。だが2人とも口八丁な男であった。心にも思っていないフレーズが次々と出てきていた。
 「そういえば彼を監察署に送らしたの貴方だって聞いてますけど?」
 「………」
 しかし志村の次の質問は相手の虚をつくかのように核心に迫るものだった。流石の多原も不意打ちを喰らったかのように黙り込み出した。
 「…ええ。確かに彼のやった事は到底許される事ではありません。だからこそ彼には今一度贖罪の機会を与えてやるのが妥当だと私は考えています。まだ歳も若い。殺すにはまだ惜しい存在です!」
 少しの沈黙の後、多原は熱弁するかのように理由を語った。無論虚言である。志村はその事に気づいているが一切問い詰めようとは思わなかった。単純に事実かどうか確かめたかっただけだったようだ。
 「確かに。彼もまだ若いですし実力ならウチに欲しいくらいです。まあそれだけに惜しい事をしたと思いますけど」
 多原とは違い志村は本音で返してきた。実際戦闘員が少数しかいないスフィアにとって戦力になりそうな人材は喉から手が出る程欲していた。鬼吾郎こそまさにそれに該当していた。
 「おっといけない。少々長話になってしまいましたね。こちらからお電話差し上げたのにすいません。この後予定が入っているのでこれで」
 「そうですか。ならここまでにしましょう。あ、あと一つだけ宜しいですか?」
 「??」
 そして多原が通話を切ろうと話を終わらそうとすると志村は最後に引き止めてきた。思わず電話越しにも関わらず首を傾げる多原。
 「この後の予定というのは具体的に何の用事ですか?」
 「ああ、お世話になった方々と会食ですけどそれが何か?」
 しかし志村の問いに対し多原は即答で返した。その回答が本当なのか嘘なのかは分からなかったが志村はあっさりと納得した。
 「いえ特に何も。それでは失礼します」
 そしてこれまたあっさりと会話を終わらせ通話を切る志村。通話を切った後も尚彼の表情は崩れる事なく微笑を浮かべたままだった。
 「それはお力添えを貸した甲斐がありますよ。また何かあったらお力お貸ししますよ」
 地下深い場所で多原は志村と電話越しで会話していた。多原は志村と何度か面識がありお互い連作先を知る程の仲だった。
 「ありがとうございます。なら是非今度こちらに来た時奢らせて下さい。またゆっくりお話ししたいですし」
 「ええ是非。それでウチの新入り君の仕事ぶりはどうでした?私的には良い人材だと思うんですけど」
 お互い社交辞令を済ませると志村から話を切り替えてきた。
  「そうですねー、仕事ぶりの方は見れませんでしたけど見た感じで言うなら好青年という印象をとても強く感じています。さぞ職場ではチヤホヤされてるんじゃないですか?」
 「そりゃあもうウチの期待の新入りですから。その言いぶりだと貴方もさぞや気に入ったでしょう?」
 「ええ。恥ずかしながらすっかり彼の魅力にハマってしまいましたよ」
 お互い電話越しで笑みを浮かべながら楽しそうに会話を弾ませているが実際は全て心にもない発言ばかりだった。それは当然お互い気づいていた。
 しかしそれがさも当たり前のように続けていた。連絡先を知る程の中とはあくまで上辺的なもので実際はお互い情報源として利用しようとしているのだった。
 適当な会話を弾ませながらボロを出すのをひたすら待っているのだ。だが2人とも口八丁な男であった。心にも思っていないフレーズが次々と出てきていた。
 「そういえば彼を監察署に送らしたの貴方だって聞いてますけど?」
 「………」
 しかし志村の次の質問は相手の虚をつくかのように核心に迫るものだった。流石の多原も不意打ちを喰らったかのように黙り込み出した。
 「…ええ。確かに彼のやった事は到底許される事ではありません。だからこそ彼には今一度贖罪の機会を与えてやるのが妥当だと私は考えています。まだ歳も若い。殺すにはまだ惜しい存在です!」
 少しの沈黙の後、多原は熱弁するかのように理由を語った。無論虚言である。志村はその事に気づいているが一切問い詰めようとは思わなかった。単純に事実かどうか確かめたかっただけだったようだ。
 「確かに。彼もまだ若いですし実力ならウチに欲しいくらいです。まあそれだけに惜しい事をしたと思いますけど」
 多原とは違い志村は本音で返してきた。実際戦闘員が少数しかいないスフィアにとって戦力になりそうな人材は喉から手が出る程欲していた。鬼吾郎こそまさにそれに該当していた。
 「おっといけない。少々長話になってしまいましたね。こちらからお電話差し上げたのにすいません。この後予定が入っているのでこれで」
 「そうですか。ならここまでにしましょう。あ、あと一つだけ宜しいですか?」
 「??」
 そして多原が通話を切ろうと話を終わらそうとすると志村は最後に引き止めてきた。思わず電話越しにも関わらず首を傾げる多原。
 「この後の予定というのは具体的に何の用事ですか?」
 「ああ、お世話になった方々と会食ですけどそれが何か?」
 しかし志村の問いに対し多原は即答で返した。その回答が本当なのか嘘なのかは分からなかったが志村はあっさりと納得した。
 「いえ特に何も。それでは失礼します」
 そしてこれまたあっさりと会話を終わらせ通話を切る志村。通話を切った後も尚彼の表情は崩れる事なく微笑を浮かべたままだった。
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