BLOOD HERO'S
episode5 #40「災難、再び」
 ---鬼吾郎は学校が終わると真っ直ぐに帰宅した。いつものように人気のない所まで行くとそこからバイクに乗って帰って行った。
 鬼吾郎は高校卒業を控え進路も大方決まっていた。高校卒業後は就職して家計を少しでも支えようと考えていた。鬼吾郎の鬼の血を引いたパワーがあれば肉体労働が望ましく鬼吾郎はその方向で検討していた。
 「♪~~」
 鼻歌を歌いながら悠々と帰路を走る鬼吾郎。
 「ん?」
 そんな中、前方に見慣れない光景が映った。
 「アレは…煙!?」
 視力の良い鬼吾郎は1キロ程先に煙がたっているのが見えた。その先には長い並木道と大小様々な山と…鬼吾郎達の住む家しかない。
 (山火事か?父ちゃん達は大丈夫なのか?なんにしろ急いだ方がいいな!)
 鬼吾郎は考えるのを一旦やめアクセルを開け更に加速させた。
 (急げ急げ急げ急げ!!)
 鬼吾郎は焦りを感じながら自宅に向かってバイクを走らせた。焦る鬼吾郎の手は汗でぐっしょりと濡れていた。
 あの家に鬼太郎達が住み始めて20年程になるが山火事は始めての事だった。
 ---「ハア…ハア…ハア…嘘だろ!?」
 家の方角に進めていくと更なる事実に気付かされた。煙がたっているのは山ではなく家の方からだった。
 家からは黒い煙が立ちこみ家の壁が崩壊しているのが見えてきた。ただならぬ事態に更に焦りが積もる鬼吾郎。
 ---「父ちゃん!母ちゃん!婆ちゃん!」
 鬼吾郎は家の手前でバイクを投げ捨てるように放棄し一目散に家に向かって叫びながら走った。
 「ハア…ハア…ハア…」
 走っているのと衝撃的な光景を目にしたせいか呼吸が乱れ内臓に苦痛を感じた。
 「ハア…ハア…みんな…大丈夫…」
 「ん?」
 鬼吾郎は苦痛に堪えながら壊れた壁から家の中に入った。そこでまた衝撃的な光景を目の当たりにする。
 家の中に居たのは鬼太郎でも鬼美恵でも鬼初でもなく白髪が目立つ黒髪のベージュのスーツを着た男が立っていた。
 鬼吾郎が知る限りではその人物に見覚えは無かった。
 男は鬼吾郎の存在に気がつくと視線を鬼吾郎の方に移した。黒縁の眼鏡にシワの入った童顔。鬼吾郎は男の顔を見て記憶を辿ってみるが思い出せなかった。
 「おや?君が弘彦君かい?イヤ、今は鬼吾郎君だったかな?」
 「!?なんで俺の事を…」
 男は微笑みながら鬼吾郎の名を口にし更に昔の名まで知っていた。鬼吾郎は名も知らぬ男を呆然と見つめた。何故自分の昔の名前まで知っているのか?その他にも疑問が山程浮かんだ。
 「初めまして…だったかな?私は多原 英一郎。よろしくね」
 そう言って多原はおぞましい程の笑顔を見せ自らの名を名乗ったのだった。
 鬼吾郎は高校卒業を控え進路も大方決まっていた。高校卒業後は就職して家計を少しでも支えようと考えていた。鬼吾郎の鬼の血を引いたパワーがあれば肉体労働が望ましく鬼吾郎はその方向で検討していた。
 「♪~~」
 鼻歌を歌いながら悠々と帰路を走る鬼吾郎。
 「ん?」
 そんな中、前方に見慣れない光景が映った。
 「アレは…煙!?」
 視力の良い鬼吾郎は1キロ程先に煙がたっているのが見えた。その先には長い並木道と大小様々な山と…鬼吾郎達の住む家しかない。
 (山火事か?父ちゃん達は大丈夫なのか?なんにしろ急いだ方がいいな!)
 鬼吾郎は考えるのを一旦やめアクセルを開け更に加速させた。
 (急げ急げ急げ急げ!!)
 鬼吾郎は焦りを感じながら自宅に向かってバイクを走らせた。焦る鬼吾郎の手は汗でぐっしょりと濡れていた。
 あの家に鬼太郎達が住み始めて20年程になるが山火事は始めての事だった。
 ---「ハア…ハア…ハア…嘘だろ!?」
 家の方角に進めていくと更なる事実に気付かされた。煙がたっているのは山ではなく家の方からだった。
 家からは黒い煙が立ちこみ家の壁が崩壊しているのが見えてきた。ただならぬ事態に更に焦りが積もる鬼吾郎。
 ---「父ちゃん!母ちゃん!婆ちゃん!」
 鬼吾郎は家の手前でバイクを投げ捨てるように放棄し一目散に家に向かって叫びながら走った。
 「ハア…ハア…ハア…」
 走っているのと衝撃的な光景を目にしたせいか呼吸が乱れ内臓に苦痛を感じた。
 「ハア…ハア…みんな…大丈夫…」
 「ん?」
 鬼吾郎は苦痛に堪えながら壊れた壁から家の中に入った。そこでまた衝撃的な光景を目の当たりにする。
 家の中に居たのは鬼太郎でも鬼美恵でも鬼初でもなく白髪が目立つ黒髪のベージュのスーツを着た男が立っていた。
 鬼吾郎が知る限りではその人物に見覚えは無かった。
 男は鬼吾郎の存在に気がつくと視線を鬼吾郎の方に移した。黒縁の眼鏡にシワの入った童顔。鬼吾郎は男の顔を見て記憶を辿ってみるが思い出せなかった。
 「おや?君が弘彦君かい?イヤ、今は鬼吾郎君だったかな?」
 「!?なんで俺の事を…」
 男は微笑みながら鬼吾郎の名を口にし更に昔の名まで知っていた。鬼吾郎は名も知らぬ男を呆然と見つめた。何故自分の昔の名前まで知っているのか?その他にも疑問が山程浮かんだ。
 「初めまして…だったかな?私は多原 英一郎。よろしくね」
 そう言って多原はおぞましい程の笑顔を見せ自らの名を名乗ったのだった。
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