BLOOD HERO'S

ノベルバユーザー177222

episode5 #35「厳しい現実」

 ---それから鬼太郎はこの事を他の連中にも話し2人の子供の行方を探す事になった。

 管理人の話では3、4ヶ月程前に子供が産まれたそうだが何故か誰にも報告はしていなかったそうだ。

 それだけでなくそれよりも前から2人の姿を見た者はいないとの事だった。しかし鬼太郎は2人が亡くなる前まで普通に手紙でやり取りをしていた。

 だが手紙の内容はごくごく普通の近況報告だけであり出産の報告等は書いていなかった。

 「なぜ隠す必要があるんだ?」

 鬼太郎の頭の中は疑問だけが残っていた。子供を隠す理由、連絡が途絶えた理由、本当に事故だったのかさえ疑問に思えてきた。

 「とりあえず子供を探す事を優先して動くか」

 管理人の情報提供の元、安生夫婦の子供を捜索する事になった。しかし事は思いの外早く動いた。安生宅から少し離れた場所に児童養護施設がありそこで保護されているとの情報が入った。

 すぐに鬼太郎はその養護施設に赴いた。事情を説明するとその子供と初めて面会する事が出来た。

 「君が弘彦君かな?」

 職員の腕に抱かれ鬼太郎の目の前に現れた赤ん坊。くりっとした愛らしい二重にジャガイモのような丸顔。指をしゃぶりながら見つめる弘彦の頭を優しく撫でる鬼太郎。

 「それで弘彦君をそちらでお引き取りしたいという事でよろしかったでしょうか?」

 頭を撫で可愛がっていると弘彦を抱えている職員の人が鬼太郎に再度確認を取った。鬼太郎は里親として弘彦を引き取ろうとしていたのだ。

 「それがですね鬼平さん。引き取って貰うにはいくつか問題があるんです」

 しかし現実は思い通りにはいかず鬼太郎は初めて里親になるのがどれほど大変なのかを職員の人に聞かされた。

 よく考えてみれば素性の知れない者が急に里親になると言って早々に引き渡せる訳が無かった。

 「とにかく里親登録は必須なので先ずはそこからお願いして頂いて貰ってもよろしいでしょうか?」

 「そう…ですか。分かりました」

 折角見つけたというのにその前に立ち塞がる試練に鬼太郎は肩を落とした。そして人間の社会がどれたけ厳しいのかを痛感させられた。

 しかし鬼太郎は諦めず里親登録から入り弘彦のいる養護施設にボランティアで働くことにした。

 人間の社会に慣れていない上引き取る為に色々な試練を超えなければいけなく何倍、何十倍も苦労をした。

 そしてそんな生活を続けて3年の月日が流れた。

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