BLOOD HERO'S

ノベルバユーザー177222

episode5 #30「脱出」

 ---「ハア…ハア…ハア…」

 それぞれの息切れする声があちこちから聞こえてくる。突破口を開き走り続けてもう30分以上は経っていた。補正もされていない草木に覆われた獣道を走っている為、思いの外進めずにいるのだ。

 そのうえ所々ぬかるんでいる悪道に阻まれ体力を余分に消費してしまっている。しかしそれは相手も同じである為、距離はある程度離れた位置でキープしたままだった。

 (相手も足を取られてる。これだけ走ったということはもう麓まで来ている筈だ。そうすれば人間達の作った舗装道路が見えてくる。このままの距離を保てればイケる、イケるぞ!)

 鬼太郎は苦しそうな顔をしながらも心の中では狂喜乱舞していた。

 鬼である彼等はこの通り人間とは友好的になれない連中がほとんどである。その為に厳しくしきたりを作った。

 その中で『人間との結婚』に次ぎ犯してはいけない事は『人間との共存』である。彼等にとって人間が住む領地に踏み入れる事は『村からの追放』を意味している。一度踏み入れれば2度と戻る事は許されない。

 しかし鬼太郎達は『結婚』という大罪を片棒に担いでいる。彼等にとってはこれは最大の希望でもあった。

 人間達が作った道路まで出れば逃げ切る事が出来る。いくら反対派でも人間達が創作した物に足を踏み入れてしまったが最後、戻る事は許されない。だから彼等がこれ以上追いかけるのは不可能なのだ。

 「おい!道が拓けてきたぞ!もう少しだ!!」

 「良し!お二人さん!もうちょっとだ!」

 「は、はいー!」

 すると鬼太郎の前にいた義彦は妻の美鬼におぶられながら気弱な声を出していた。尻に敷かれるよりも背中におぶられている姿が鬼太郎には滑稽に見えた。

 義彦はごく普通のサラリーマン。趣味の山登りをしている時に偶然、山菜狩りをしていた美鬼と出会った。山菜にも精通している義彦と美鬼は意気投合しそこから2人の関係は始まった。

 いつもひ弱そうな義彦に対し姉御肌の美鬼は性格こそ対象的ではあったが不思議にも相性が良かった。

 だが美鬼は自分が鬼の一族である事は隠し密かな交際が始まった。よくデートでは村から少し離れた山で山菜狩りをし自分達の知る絶景ポイントを教え合ったり楽しい時を過ごした。

 そしていつも弱気な義彦からプロポーズを受けた時、ようやく美鬼は逃げられる覚悟で本当の事を話した。

 しかし義彦から『そんなの関係無いよ!僕はありのままの美鬼ちゃんが好きなんだ!』と言った。それが結婚に至るキッカケとなった。だがその結果、命を狙われ妻におぶられるという情け無い姿を晒す羽目になってしまった。

 「よーし!ここまで来れば俺達の勝ちだー!」

 そんな中、道が拓けてくるのを見てテンションが上がる男達。そして等々、彼等は人間達の領地に足を踏み入れたのだった。

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