BLOOD HERO'S
episode5 #5「悪夢、再び」
 「ごちそうさまでした!」
 出発してから10分程で柑菜の手作り弁当を完食した炎美。炎美の顔には満足気な顔が映っていた。
 両手を合わせ合掌を済ませた炎美は空になったタッパーを風呂敷に包み、そのまま鞄の中に入れた。
 「ふう」
 炎美はお腹を撫りながら一息つくと自分が座っているシートを斜め後ろに傾け出した。
 (着くまでまだまだ時間がありそうだな。少し仮眠でもとっておくか)
 炎美は自分の背中をゆっくりと傾けたシートにくっつけた。そしてゆっくりと目蓋を閉じていった。少しでも体力を温存させる為、仮眠をとることにしたのだった。
 小刻みに揺れる車内が思いの外居心地良く炎美はものの数分で深い眠りへとついた。
 「--美、炎美!」
 (誰だ?………やっぱり思い出せない)
 ここ最近見なくなっていた夢を久しぶりに見ている炎美。何度思い返そうとしても思い出せない。姿も薄っすらとした人影だけしか見えない。ひょっとすると記憶を失う以前に会っているのかもしれない。
 「炎美、炎美!」
 炎美の名前を繰り返し呼び続ける彼女に返事を返そうとしてみるが声が出せない。
 夢の中とはいえ彼女が何者なのかだけでも知りたかった。きっと記憶を取り戻す鍵になるはずだと炎美は直感的にそう思った。
 しかし水面に波紋が浮かぶように彼女の姿が波打つように消えていく。
 (頼む!待ってくれ!!)
 炎美は精一杯手を伸ばしてみるが彼女の姿以外何も見えない。まるで深淵の闇に包み込まれているかのようだった。そのせいで自分の手が伸びているのかも分からない。
 「ッ!?」
 すると彼女の姿が真っ暗闇の中に消えた瞬間だった。一瞬にして景色が変わりだしたのだ。
 さっきまでの自身の身体さえ見えない程の暗闇と打って変わって燃え盛るような紅色の空が炎美の目に飛び込んできた。
 上空は星空が輝き出しているのにも関わらず空はとても明るかった。その理由は明らかだった。
 地上を見ると燃え盛る炎が引っ張られているかのように上へ上へと上がっていた。その周りには黒煙があちらこちらに上がっていた。
 (この景色、どこかで見たことあるぞ!)
 炎美はその光景を見てそう感じた。夢だというのに肌に突き刺さる熱気や煙の匂いが妙にリアルに感じていたからだ。まるで過去にあったかのようなリアルさだった。
 (!?あそこに誰かいるぞ!?)
 炎美の視線は燃え盛る炎を見ていた。すると炎の中から誰かが出てくるのが見えた。
 (誰なんだあれは?)
 炎美はその人影をジッと見続けていた。だが遠すぎるせいか黒い影だけしか見えなかった。しかし黒い影は少しずつ炎美の方に近づいてきていた。そして一瞬の出来事だった。
 『全ては貴様が引き起こしたこと。だが感謝するぞ炎美』
 (!?)
 気づいた時にはもう遅かった。遠くに見えていた影は姿を消したかと思うと後ろの方から男の声がした。声が聞こえたのとほぼ同時に炎美の身体は黒い細剣のようなもので貫かれていた。それまでにかかった時間は瞬き1回分程の速さだった。
 『もう貴様は用済みだ!ゆっくりと常しえの闇に眠るがいい』
 炎美は叫ぶことも抵抗することもなく倒れたのだった。
 出発してから10分程で柑菜の手作り弁当を完食した炎美。炎美の顔には満足気な顔が映っていた。
 両手を合わせ合掌を済ませた炎美は空になったタッパーを風呂敷に包み、そのまま鞄の中に入れた。
 「ふう」
 炎美はお腹を撫りながら一息つくと自分が座っているシートを斜め後ろに傾け出した。
 (着くまでまだまだ時間がありそうだな。少し仮眠でもとっておくか)
 炎美は自分の背中をゆっくりと傾けたシートにくっつけた。そしてゆっくりと目蓋を閉じていった。少しでも体力を温存させる為、仮眠をとることにしたのだった。
 小刻みに揺れる車内が思いの外居心地良く炎美はものの数分で深い眠りへとついた。
 「--美、炎美!」
 (誰だ?………やっぱり思い出せない)
 ここ最近見なくなっていた夢を久しぶりに見ている炎美。何度思い返そうとしても思い出せない。姿も薄っすらとした人影だけしか見えない。ひょっとすると記憶を失う以前に会っているのかもしれない。
 「炎美、炎美!」
 炎美の名前を繰り返し呼び続ける彼女に返事を返そうとしてみるが声が出せない。
 夢の中とはいえ彼女が何者なのかだけでも知りたかった。きっと記憶を取り戻す鍵になるはずだと炎美は直感的にそう思った。
 しかし水面に波紋が浮かぶように彼女の姿が波打つように消えていく。
 (頼む!待ってくれ!!)
 炎美は精一杯手を伸ばしてみるが彼女の姿以外何も見えない。まるで深淵の闇に包み込まれているかのようだった。そのせいで自分の手が伸びているのかも分からない。
 「ッ!?」
 すると彼女の姿が真っ暗闇の中に消えた瞬間だった。一瞬にして景色が変わりだしたのだ。
 さっきまでの自身の身体さえ見えない程の暗闇と打って変わって燃え盛るような紅色の空が炎美の目に飛び込んできた。
 上空は星空が輝き出しているのにも関わらず空はとても明るかった。その理由は明らかだった。
 地上を見ると燃え盛る炎が引っ張られているかのように上へ上へと上がっていた。その周りには黒煙があちらこちらに上がっていた。
 (この景色、どこかで見たことあるぞ!)
 炎美はその光景を見てそう感じた。夢だというのに肌に突き刺さる熱気や煙の匂いが妙にリアルに感じていたからだ。まるで過去にあったかのようなリアルさだった。
 (!?あそこに誰かいるぞ!?)
 炎美の視線は燃え盛る炎を見ていた。すると炎の中から誰かが出てくるのが見えた。
 (誰なんだあれは?)
 炎美はその人影をジッと見続けていた。だが遠すぎるせいか黒い影だけしか見えなかった。しかし黒い影は少しずつ炎美の方に近づいてきていた。そして一瞬の出来事だった。
 『全ては貴様が引き起こしたこと。だが感謝するぞ炎美』
 (!?)
 気づいた時にはもう遅かった。遠くに見えていた影は姿を消したかと思うと後ろの方から男の声がした。声が聞こえたのとほぼ同時に炎美の身体は黒い細剣のようなもので貫かれていた。それまでにかかった時間は瞬き1回分程の速さだった。
 『もう貴様は用済みだ!ゆっくりと常しえの闇に眠るがいい』
 炎美は叫ぶことも抵抗することもなく倒れたのだった。
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