BLOOD HERO'S
episode4 #19「2人の面影」
 エニグマが死に手下達はからっきし動きを見せなくなった。そのお陰で悪くなってきていた治安を徐々に回復していった。そして時はあれから1ヶ月程経っていた。
 事件終結後、松岡の葬儀が行われ松岡の遺体は火葬し埋葬され今は彼の姿を見る事は出来なかった。
 一方の志村は昏睡状態で2週間程、生死を彷徨い続け今は身体を動かせるまで回復した。どうやら志村は致命的な大きな傷は無かったものの小さな傷が数十箇所出来ておりそこから出血多量に陥ったらしい。
 フィリナは回復した志村からあの時の状況を細かく聞き出した。志村も自分の見た事をありのままに話した。そんな志村は涙が流れるのを必死に堪えていた。
 「…全く、アイツときたら押し付けがましいのよ!」
 「え?」
 フィリナはいつも通り冷たい一言を放った。一生懸命話している志村はその言い方に困った顔をする。
 「まあ遺言を残されたからには仕方ないわ。いい、蔵之介!?私があなたにアイツが教えられなかった分まで全てを教えてあげる。だからあなたは強くなりなさい!同じ悲劇を起こさないぐらい強く!」
 そう言うとフィリナは志村の両肩をしっかりと掴んだ。そして真っ直ぐな目で志村の顔を見る。
 「いい!?」
 「う、うん…」
 あまりのフィリナの熱量に気圧された志村は困惑しながらも小さく頷いた。
 ---それからフィリナは死んだ松岡に代わり師匠となり志村を鍛え始めた。毎日剣を振らせ走らせ筋トレも欠かさずにやらせた。
 志村は最初逃げ出す程嫌がっていたが松岡に「俺の自慢の息子」という言葉を思い返しフィリナの厳しい修行についていった。
 そしてフィリナはふとある時に気がついてしまった。それは志村が時折見せる目である。一筋に獲物を見る獣の目。
 だがフィリナには初めてのことでは決してなかった。先代の松岡もまさしく同じ目をしていたことがあったのだ。
 ---それから時は流れ少なくとも20年ぐらいは見ていなかっただろうか?
 (間違いない。アイツ等と同じ目だわ)
 炎美の目を見てフィリナはそう感じた。フィリナの目には少年時代の志村と今の炎美の2人が映っていた。
 「?」
 (どう…したんだ?何もしてこないぞ!?)
 しかし炎美には棒立ちでコッチを見つめている風にしか見えていなかった。
 「もう戦わねーのか?」
 暫く経っても動かないフィリナに炎美は贄を切らし自ら口を開いた。
 「…全くどうしてなのかしら?」
 「?何の話だよ?」
 「あなたには関係ないかしら」
 「??」
 炎美は話が全く噛み合わず首を傾げた。そんなフィリナは炎美の方へゆっくりと歩いて来た。しかし判怒羅を引っ込め戦闘の意思が見られなかった。そして炎美の横を素通りして行った。
 「強くなりたいのなら精々死に急ぎだけはしないことね」
 「え?」
 フィリナは通り過ぎる際にぼそりと呟いた。炎美は聞き返そうとしたがフィリナはそのまま立ち去って行った。
 「…ふう」
 炎美はスッと体の力が抜けそのまま倒れ込んだ。
 「…イケるかと思ったんだけどな。やっぱ一筋縄じゃいかねーのか」
 炎美は天井を見上げながら独り反省をしていた。
 「…もっと強くなんなきゃダメなのか?」
 炎美は反省すると同時に自信を喪失していた。たった1、2ヶ月でかなり強くなっている自覚はあった。だがそれでもまだ上には上がいる。自分の弱さを実感し悔しさが込み上げてくる炎美。
 「…チクショー」
 とうとう炎美の目から涙が溢れてきた。炎美は暫く仰向けになりながら涙を流し続けていたのだった。
 事件終結後、松岡の葬儀が行われ松岡の遺体は火葬し埋葬され今は彼の姿を見る事は出来なかった。
 一方の志村は昏睡状態で2週間程、生死を彷徨い続け今は身体を動かせるまで回復した。どうやら志村は致命的な大きな傷は無かったものの小さな傷が数十箇所出来ておりそこから出血多量に陥ったらしい。
 フィリナは回復した志村からあの時の状況を細かく聞き出した。志村も自分の見た事をありのままに話した。そんな志村は涙が流れるのを必死に堪えていた。
 「…全く、アイツときたら押し付けがましいのよ!」
 「え?」
 フィリナはいつも通り冷たい一言を放った。一生懸命話している志村はその言い方に困った顔をする。
 「まあ遺言を残されたからには仕方ないわ。いい、蔵之介!?私があなたにアイツが教えられなかった分まで全てを教えてあげる。だからあなたは強くなりなさい!同じ悲劇を起こさないぐらい強く!」
 そう言うとフィリナは志村の両肩をしっかりと掴んだ。そして真っ直ぐな目で志村の顔を見る。
 「いい!?」
 「う、うん…」
 あまりのフィリナの熱量に気圧された志村は困惑しながらも小さく頷いた。
 ---それからフィリナは死んだ松岡に代わり師匠となり志村を鍛え始めた。毎日剣を振らせ走らせ筋トレも欠かさずにやらせた。
 志村は最初逃げ出す程嫌がっていたが松岡に「俺の自慢の息子」という言葉を思い返しフィリナの厳しい修行についていった。
 そしてフィリナはふとある時に気がついてしまった。それは志村が時折見せる目である。一筋に獲物を見る獣の目。
 だがフィリナには初めてのことでは決してなかった。先代の松岡もまさしく同じ目をしていたことがあったのだ。
 ---それから時は流れ少なくとも20年ぐらいは見ていなかっただろうか?
 (間違いない。アイツ等と同じ目だわ)
 炎美の目を見てフィリナはそう感じた。フィリナの目には少年時代の志村と今の炎美の2人が映っていた。
 「?」
 (どう…したんだ?何もしてこないぞ!?)
 しかし炎美には棒立ちでコッチを見つめている風にしか見えていなかった。
 「もう戦わねーのか?」
 暫く経っても動かないフィリナに炎美は贄を切らし自ら口を開いた。
 「…全くどうしてなのかしら?」
 「?何の話だよ?」
 「あなたには関係ないかしら」
 「??」
 炎美は話が全く噛み合わず首を傾げた。そんなフィリナは炎美の方へゆっくりと歩いて来た。しかし判怒羅を引っ込め戦闘の意思が見られなかった。そして炎美の横を素通りして行った。
 「強くなりたいのなら精々死に急ぎだけはしないことね」
 「え?」
 フィリナは通り過ぎる際にぼそりと呟いた。炎美は聞き返そうとしたがフィリナはそのまま立ち去って行った。
 「…ふう」
 炎美はスッと体の力が抜けそのまま倒れ込んだ。
 「…イケるかと思ったんだけどな。やっぱ一筋縄じゃいかねーのか」
 炎美は天井を見上げながら独り反省をしていた。
 「…もっと強くなんなきゃダメなのか?」
 炎美は反省すると同時に自信を喪失していた。たった1、2ヶ月でかなり強くなっている自覚はあった。だがそれでもまだ上には上がいる。自分の弱さを実感し悔しさが込み上げてくる炎美。
 「…チクショー」
 とうとう炎美の目から涙が溢れてきた。炎美は暫く仰向けになりながら涙を流し続けていたのだった。
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