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第十二章 ドレスアップ!


 今日はルピーやフーキと少しでも差を縮める為に今までR不足で買えなかった装備を一新
新しいスキルの確認をして、少しでも遠くに行く為の下準備をすることにした

 「ここがあの女のハウスね」

そんな事を言いながら防具屋に到着した浮浪者アズ

ちなみに今の残金は50R、この前のヌレー河川に行く道中、散々ルピーが狩ったブルーラットとレッドラットから得た物とクエストの報酬金だ、戦ってないのにこんなにもらえないといった所メモで

[美味しいごはんを作ってくれるのも大切なお仕事です!]

と眩く光る笑顔で言ってくるルピーさん
ちなみにルピーの分のRはクエスト後の酒場の時にほぼ全部使い、小型バーナーも気前よく俺にくれた
あの子はへたな男より漢らしいかもしれない


西洋風な外観、少し小汚い防具屋に入る
カウンターでは丸坊主の目に傷がついたいかにもヤクザの用な人がいる

この人防具屋の店員だよね?どちらかというと武器屋な気がするが
特にこちらに関心は無いようで新聞を読みながらあくびをしている
害はなさそうなのでそのまま防具を見て回る

ここの店では一番高いのでドラゴンプレート5000R、低いものだと旅人の服10Rが売ってある
品揃えが豊富なのでどれにしようか悩んでいると店員が忠告してくる

「おいそこのガキ、見たところ後衛職だな?それなら軽装かクロースが良いぞ、後衛職が重いもん装備しても意味ないからな」

ふむ、見た目の割にまともなアドバイスをくれる
軽装コーナーを見て回ると防御は少ないが俊敏が高いものが多く売っており
クロースコーナーには知力が上がる装備が置いてある
一通り見て回っては装備を着たりして、値段を見て棚に戻す
軽装装備はクロースより値段が気持ち高く、安い物でも50Rの予算ギリギリだ
やはり財政を考えるとクロースか・・・と、見た目と値段で商品を物色

<魔法のローブ白 上下>30R
防御力+2 知力+3

能力は上下一体にしてはいまいちだが見た目が気に入ったのと予算の範囲内で十分なのでこれに決めた
白色を起点としたローブで袖やすそのあたりに赤い色の模様がついているものだ
浮浪者のような姿が一変、白魔導士のような出で立ちになる

ルンルン気分で防具屋を出たころでアリスからメッセージが届いていることに気づく

「あなたのおかげで彼とうまくいきそうよん、これはほんのお礼、可愛がってあげてぇん」

そう書いてありメッセージにプレゼントマークがついている
開けてみるとそこには昼間に姉と買ったサルのぬいぐるみがあった

「不思議な事もあるもんだ」

そう呟きながらアイテムストレージから出すとキキッという鳴き声と共に一匹のサルが肩に乗る

<名前を決めてください>カテゴリー(人形)耐久値(100%)
<Lv0
<HP0 力0+ 防御0 俊敏0+ 運0 
<スキル:無し
エルダー王国、巨人の宿に生息するアンロックモンキーに似せてつくられた人形

「前回のテディベアと良いこいつも実在するモンスターを似せてつくられたのか」

能力は名前を決めないと出ないんだろうな
アンロックモンキー・・・サル・・・この二つを反芻

「アル・・・かな」

瞬間アルが光りを帯びる
<Lv6
<HP15 力18 防御1 俊敏8 運1 
<スキル:無し

また随分と偏ったステータスになったな、てかジローと立ち位置変わらないんじゃあ…

「そういえば」

ぬいぐるみのカタールを取り出す
先日ジローに装備させた所、四足歩行を基本とするジローではカタールを装備させると歩けないという事が判明し、アイテムストレージにそのまま突っ込んだままだったのだ

取り出したカタールをアルに装備させたところ器用に腕を振り回し・・・肩の上で振り回すな!危ない!ちょっとHP減ったぞおい!
急いでアルをアイテムストレージに戻す

とりあえずカタールが使えるのは判明、ジローが囮なら遊撃用のぬいぐるみだろう
二体とも力と俊敏特化なのが傷だが、一人と二匹で戦えば相手を翻弄できるかもしれない

気を取り直して次は武器屋に向かう

西洋風な外観少し小汚い武器屋だ・・・ん?防具屋と見た目似てるな
中に入るとカウンターに丸坊主の目に傷がある・・・ってさっきの店員じゃないか!?
顔を凝視していると店員から話しかけられる

「おう!なんじゃいわれ?わしの顔になんかついとんか?」
「あ・・・いや・・・さっき防具屋で会いませんでしたっけ?」

というか若干喋り方が怖いなこの人

「そいつぁわしの兄弟じゃ、ほれ目の傷が反対じゃろ?それが目印じゃけん」

そう言いながら目を閉じ傷をトントンと軽く叩く
わかるかぁ!そこまで見てないわ!というか運営の手抜きだろ!
等と邪推しながらも誤り武器を見ていく

買える武器は一つしかなかった
<樫の杖> 15R 
知力+1

棚に置いてあるガイアの杖やイフリートの杖を物欲しそうに見ながら樫の杖を購入
精霊術で見たらあれすごいんですよ、杖自体から精霊が湧き出てるんです
ちなみにお値段5万R

「ぐぬぬ・・・いつかあんな武器を手に入れてやる…」

そんな台詞を言いながら店を後にし、食料をほどほどに
スキルの確認をするため街を出る

グラフ草原東に位置する岩陰に到着したアズ
今度は自然界の盟友がどんなスキルかを確認するのだ
今の所街中でスキルをセットしただけでは特に何もなかった

精霊術で周りの精霊を視る、ここには地精霊が多く存在し、時たま風精霊が視える

「特に変わりはなし」

どうしたもの考えていると、岩の隙間からブルーラットが飛び出て牙を剥く
冷静に杖で殴るとブルーラットが宙を舞い着地
俺は迎撃すべく樫の杖を構える

「お・・・?これは・・・?」

構えた瞬間、周りにいた精霊が自分の周りを旋回し始める
今までは精霊の近くに行き手で直接触れた上で念じないとスキルは発動しなかった

「これはスキルの効果か・・・杖を装備したからか?」

ブルーラットが牙を剥き出しにしながら突進してくる
近くに居た風精霊を杖に当てて念じると精霊は小さい竜巻を起こしながらブルーラットを吹き飛ばす
吹き飛んだ瞬間を見図りながらねそべる

なるほど、今までのように精霊に近づく必要も無く、かつ杖で触れればスキルは発動するのか
今までより遥かに効率が良くなったスキルに胸を躍らせながらアルを出現させる
目標を見失ったブルーラットが警戒しながらアルと対立する
アルに反対側に行くように目で促すと、我が意を得たりとばかりにアルはブルーラットに突進していく

「違う!そうじゃない!」

思わずさけぶとブルーラットがこちらに気づきアルの攻撃を避けこちらに突進してくる

「あと・・・いい加減お前の動きは見慣れた・・・ていうかワンパターンなんだよ!」

樫の杖を上段から振り下ろしブルーラットを地面に叩きつける
ひるんだブルーラットをアルがカタールで切り刻み、勝利の雄たけびを上げるアル

ぬいぐるみによる行動パターンの違いに気づけたのも今回の収穫だろう
そう思いジローもアイテムストレージから出す
その瞬間アルが白い光を発しながら消えた
ジローがこちらの顔をつぶらな瞳で見ている

・・・もしかして一匹づつしか出せない仕様ですか?

新たな可能性と悲しい仕様に打ちひしがれていると、岩陰から新しい視線を感じ杖を構える
岩陰から怪しい男がポーズを決めながら近寄って来る

「おお!我が同胞にして我が血」

容赦なく地精霊をぶつけ気絶させるのであった

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