「ここが変だよ異世界トリップ」

パクリ田盗作@カクヨムコン3参戦中

ここが変だよ異世界トリップ 学園編



今回は学園についてツッコミ。


テンプレ異世界トリップ物には学園が出てきたりしますが私には違和感があります。


学園とは教育のための建物、または幼児・児童・生徒・学生その他に対して教育が行われる場所です。


このような学校が整備されるようになったのは、そもそも近代に入ってからです。
理由はフランス革命からの人民主体の政治形態が勃興したことにあります。


さて、学園が存在する理由は以下の3つの条件が必要だと思っています。


条件1:人間社会の生産力が向上し、社会経済や人口に余裕ができたこと。
条件2:平民の知識を制限するような特権階級や法律がないこと。
条件3:高貴な身分ではない平民が、学を身につけることが許され、学を身につけることが必要になったこと。


これらの条件があって初めて、誰にでも門戸を開いた学院という制度が出来たのです。
この点を理解していれば、学園を登場させる大きなデメリットが理解していただけるかと思います。


つまり、学園が存在するという事自体が、そのファンタジー小説のその国の、その都市の文明レベルをある程度制限してしまうのです。


具体的には以下のデメリットが有ります。


デメリット1:学園が存在するのであれば、その国家は学園を営むことが出来る程度には裕福であり、平和である。
(すべての子供を労働力や兵力にせずとも、社会が回っている)


デメリット2:その国家の王or指導者は、学園の存在意義を理解していなければならない。
(教育というすぐに効果が現れない事業を、長い目で見て利益だと考えることが出来る。また領民が知恵をつけるメリットデメリットをちゃんと把握する)


デメリット3:学園が存在するのであれば、ある程度身分に寛容な社会でなければならない。
(身分の低いものが栄達する手段として、学園が利用されるはず)


デメリット4:上の項目と相反するが、王族・貴族、騎士、大商人などの高い身分のみの学園という設定なのであれば、設定上出会う人物の範囲が制限される。
また、(騎士階級以外の)儀礼以上の戦闘教練は不必要なので描写出来ない。


デメリット5:王都等にある学園に地方出身の貴族階級が在籍しているのであれば、ある程度交通は発達していなければならない。(道中に危険な土地などはあってはならない)
また貴族の親が地方に残っているのであれば、その貴族の親は王や、都の治安を信用していなければならない。(子息が人質になりうるので)


デメリット6:主人公が学園に縛られる。
主人公は学園へ通い、勉強して、休みの時期には家に帰らなければなりません。
勝手に外国にいったりすることは出来ません。
理由もなく勝手に退学することは出来ません。
どれだけチート性能な主人公でも、学園にいる限りそういうお約束を守ることになります。



作品に学園を出すとしても作品の政治体制が王政なら、貴族専用の学校と一般市民専用の学校とわけないといけないかもしれません。



さて、デメリットだけ語って終わるとただの難癖になってしまいそうなので考えられるメリット。


メリット1:学園生活をさせたい。


テンプレ異世界トリップ物で学園を出す人はこれが一番の理由ではないでしょうか?


学園モノは、主人公に同年代の少年少女と触れ合ったり、学んだり、学外活動をしたりする機会を与えます。
ファンタジー独特の点としては、魔法を学んだり、モンスターを討伐したりとかもありますね。


学園という環境は読者の理解が追いつくイベントを簡単に起こせるというのが最大の利点です。
オリジナル設定をいちいち一から作らなくとも、学園で起こるイベントは現実でのそれの延長なので、読者が「あぁ、文化祭ね」と理解してくれます。
その他にも、友人を作るとか、恋人を作るとか、身分の違いを肌で感じるとか、座学の点数を他人と競い合うとか、授業として世界設定を語れることでしょうか。


ファンタジー的なお約束としては魔法を暴発させてしまったとか、野外訓練でゴブリンを倒すとかですかね。


主人公を精神的に成長させるためにはこれ以上無い便利な環境だと言えます。


メリット2:人間関係を作りたい


1と関連するのですが、1は学生時代のイベントと人間関係を作ることに対し、
こちらは「成人後のストーリーの展開のために」必要なキャラクターを登場させるという意味です。


学園設定であれば、同年代の友人・ライバル・ヒロイン等、さまざまな人間関係を作成することが非常に容易です。
なにせ全員が同年代の少年少女ですからね。たとえ10人20人と登場させても全く不自然ではないです。


しかも、他国の貴族・王子・貴族の子供・平民の子供など、様々な身分の人間を登場させることが出来ます。
とくに主人公が平民などの身分が低い設定の場合、学園という環境なしで、貴族や王子といったレベルの高貴な身分にある名家の子息と友誼を結ぶのは非常に難しいでしょう。


全員が同年代の少年少女であることを利用して、読者に「誰が重要なキャラか」を隠すことが出来るという点もあります。
実はちょい役だった彼は王族の隠し子だったとか、ヒロインAとヒロインBのどちらと結ばれるのか?
そういう設定を、読者の反応を見てから後出しで作ることが出来ます。


後出しでキャラクターを増やすことも簡単です。
メインキャラの友達のようなモブキャラを昇格させるとか、合同授業とか、保健室など、ちょっと違う状況で新しく出逢いを作ればいいのですから。


もし学園がなければ、周りは当然大人の比率が高くなります。


メリット3.主人公を成長させたい


これも2と同様、「成人後のストーリーの展開のために」必要な実力を身につけるという意味です。
よくある主人公のチート能力を更に開花させたり、新しい魔法や体術を覚えたりする、いわゆる下積み時代です。
また、パーティーメンバーが出来た場合、主人公のチートの恩恵を分け与える行為をすることが多いです。


もし学園がなければ、主人公は自力で師匠のような人物を見つけなければいけません。
子供という行動が不自由な状況下で師匠を見つける設定を考えるのは大変です。


また、信頼できるパーティーメンバー(チートレベルを打ち明けられるぐらい)を何人も作るのはなかなか難しいでしょう。
なぜなら他人を信頼するためには、普通はある程度長い期間その人物と関係する時間を送り、その人となりを知る必要があります。
学園設定なしで、家族以外の人物と「ある程度長い期間その人物と関係する時間」を作れるような設定を考えるのはなかなか面倒です。



メリットデメリットを考慮してみてはどうでしょうか?

          

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