魔術がない世界で魔術を使って世界最強

海月13

フェーズⅡ


ドパン ドパン

二つの銃声が響くと同時二体の魔物が頭を爆発させ倒れる。するとその後ろから四体の鷲型の魔物が弥一に向かって急降下してくる。

弥一はレルバーホークを構えようとするが

「【炎蛇】!」

弥一がレルバーホークを構える前に頭上に炎の蛇が出現し鷲型魔物を絡め取り焼き尽くす。振り向くとそこには左手を突き出したセナがいた。

「大丈夫?弥一」

「あぁ、問題ない。助かった。」

そういうとセナは弥一に褒められてふふーんと嬉しそうにほほ笑む

こうして二人は次々と襲いかかる魔物を容赦なく蹂躙し廊下を血で赤く染めながら進んでいく。こうしてたどり着いたのは重々しい雰囲気を漂わせる巨大なドアだった。

「今までのボス部屋とは違うな。迷宮の中間の階層だからか?」

「たぶんそうだと思うよ。」

「よし。気を引き締めていくか。いくぞセナ!」

「わかった!」

そして二人でドアを開く。

ボス部屋は今までとは違い禍々しくどこか息苦しい感じの雰囲気だった。身構える二人の前には巨大な爬虫類を思わせる見た目は完全にティラノサウルスな魔物がいた。そしてティラノは二人を見ると大きな唸り声をあげた。するとティラノの体中に赤黒い模様が浮かび上がり、ティラノの魔力が膨れ上がった。

「なに!?フェーズⅡだと!?」

魔物にはフェーズⅠ、フェーズⅡ、フェーズⅢと段階がある。フェーズⅠは、生物が魔力を吸収し狂暴化したもので多くの魔物はこのフェーズⅠである。フェーズⅡは、体内の魔力が集まり魔石と呼ばれる器官できた魔物を指し、フェーズⅡはフェーズⅠにくらべ遥かに狂暴であり、体表に赤黒い魔力の線が現れるのが特徴でフェーズⅠからフェーズⅡに進化することはほとんどない。そして最後にフェーズⅢ。これはフェーズⅡの魔物が生物学的に全く異なる進化を遂げたもので地球では”神獣”と呼ばれる。五年前弥一たちが戦ったルバディアドラゴンもそのフェーズⅢの魔物である。
またフェーズⅡ以降の魔物は体から瘴気と呼ばれる毒素を発し、体内の魔力保有量にもよるが一定量瘴気を取り入れると死に至る。

そうしてティラノは口内に炎を作り出し炎を連続発射してくる。

「セナ!」

「【水盾】!!」

セナが水の盾を展開し、炎を防ぎその盾に隠れて弥一がレルバーホークでティラノに攻撃する。

プラズマを纏った弾丸がティラノに直撃、だがティラノの表面を少し焦がし傷つけるだけで貫くことはできなかった。

「なんて硬さだ!」

そうして弥一はレルバーホークをしまい、【蒼羽】を構える。

「セナ、俺が【蒼羽】で直接攻撃する。援護を頼む!」

「わかった。まかせて!」

そういって弥一は【加速魔術】でティラノに接近する。ティラノは弥一に向け炎を放つがそのすべてをセナが魔法で撃ち落とす。

炎が当たらないと判断したのかティラノはその巨大な尻尾で薙ぎ払う様に攻撃してくる。

「はぁあ!!」

迫りくる尻尾に向かって弥一は【蒼羽】を振り下ろす。疑似分解が発動し、そのまま尻尾を斬り飛ばす。

『グァアアアアアアアーーー!!!』

ティラノが尻尾を斬り飛ばされた痛みで暴れ出し辺りを手当たり次第に攻撃しだす。そんなティラノに弥一は右手をパチンと鳴らす。

するとティラノの周りで連鎖的に爆発が発生しその動きを封じる。

「いまだセナ!!」

弥一の合図と同時にセナが炎の弓を作り出し矢が装填されてない状態で弦を引き構える。構えた炎の弓に風が集まり圧縮された風の矢が生まれ矢に炎が絡まる。矢に集まる風と炎は尋常ではなくさしずめそれはミサイルといったところか。

「【風炎砲】!!」

ミサイルが風の加護によって加速しティラノに直撃。

ティラノの固い体表を貫き、貫いた孔からねじれ体内で炎が爆発しティラノを内側から燃やす。

その威力に弥一は息を呑む。セナは精霊との親和性が高く〔属性系魔術〕に大きなアドバンテージがあるとはいったがここまでのものとは思わなかった。

そうして内側からの爆発でティラノは沈み、絶命した。

「やったね弥一!」

「ああ、これで無事15層クリアだ!」

そういって弥一はセナの頭を撫でるとセナは嬉しそうに表情を輝かせ少し赤くなる。

「よし。魔石を回収するか。このサイズの魔物だから良質な魔石が取れるはずだ。」

そうしてティラノから魔石を剥ぎ取ってゆく。剥ぎ取った魔石は17センチくらいの大きさで魔力の循環もよく良質な魔石だった。

「さぁ、休憩して次の層に行くか。」

「うん!」

次の層に続く階段が出現し、少し休憩を取った弥一とセナは階段を下って行った。


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