ヘタレ魔法学生の俺に、四人も美少女が寄ってくるなんてあり得ない!

神楽旭

学園祭の出し物は定番ネタで攻めるべき

十月三日。一年三組ホームルーム。
「……何も出ないってどういう事?」
委員長はご立腹の様だ。まあ、元々数学の授業だったのを潰して学園祭の出し物決めにしたんだ。 それなのに一つも出ないとかあり得ないしな。
「(……バンド組んでライブは却下されたし、ダンスもなあ……)」
何か良い案無いかな……。
「じゃあ、喫茶店は?わりとメジャーだから人集まるだろうし、それで利益も挙げられるかも」
この案。クリハラさん。……紅茶とか出すのかな。
「なるほど。喫茶店ね」
黒板に『喫茶』と書かれる。これに反応したのは男子数名。
「メイド喫茶やろうぜ!なあお前ら!」
ちなみにこれ井藤な。そして意外にも近藤が乗り気だ。アイツジョーク好きだけどこっちには入ってない気がしてたんだが……。
「メイド喫茶って……。どこからメイド服集めるの?」
「そりゃ、手作りだよ。女子の」
「はい却下」
メイド喫茶、ボツネタ入り。メイドが良いなら秋葉原にでも行ってくれ。
「エマさん。メニューとか決まってる?」
「うん。だいたいは。と言っても、まだ構想段階だけどね」
ちなみにクリハラさんの呼び方は三通りある。
大半の女子が使う『エマさん』
一部の女子が使う『エマ』
男子全員の『クリハラさん』
だってさ、何か抵抗あるじゃん。会って日が経ってない人を呼び捨てにするのって。
「具体的にはどんな?」
「こういうのかな」
スマホを取りだし、委員長に見せるクリハラさん。
「コーヒー、紅茶、カフェラテ、ショートケーキ、パンケーキ、アップルパイ……スコーン?」
「うん。スコーン」
「スコーンって何?」
「イギリスのパンかな。色々味があるから、それもメニューに入れたいんだけど」
へえ。と洩らす委員長。構想段階と言いつつほぼ完成してるんですが。
「他に案がある人ー?」
問いかけるが、誰も手をあげない。これ決定だな。
「じゃ、喫茶で決定ね」
『喫茶』に大きく丸をつける委員長。よっしゃ出し物決まった!
「備品とかは学校側に手配してもらうから、皆は調理方法とか調べてきてね。エマさん。スコーンの方はよろしく」
「分かった!」


「喫茶店かあ」
ぽつりと呟く姉さん。
「どしたの?喫茶店嫌だった?」
「嫌じゃないよ。むしろこっちからやりたいくらい」
何かそれっぽく聞こえないんだが。
「いやいや。何かねー」
「何かねー?」
「食中毒とか心配かな」
すげえリアルな事引っ張ってきたな。あれ?スイーツに食中毒ってあるの?
「しょ、食中毒は心配無いと思うよ。業者の方で確認するだろうしさ」
万が一あったら皆でごめんなさいしないといけないね。
「じゃあ杞憂だったかな?」
そうである事を願いたいよほんとに!

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