Spiral Labyrinth……螺旋の迷宮
6
「多分、家族は心配で休めないだろうから……」
と、一旦状況を説明すると海音は、帰っていった。
集中治療室には入れない為、ガラス越しに高飛と蓮斗は見守る。
「リズ……リズ……」
高飛は悔やむ。
もう少し早くに迎えに来ていたら……リズは苦しまずにすんだのに……。
横で蓮斗も唇を噛む。
すると、看護師が声をかけてきた。
「志摩さん。谷崎さんと田村さんとおっしゃられる方が、お越しですが……」
「……谷崎って、敬太郎?兄さん。田中って?」
「田村香也さんのご家族だそうです」
その言葉に、思い出したのか蓮斗は顔をしかめ、高飛は冷たく言い放つ。
「妹を突き落とした子ですよね?この時間になって、来るなんて非常識でしょう?帰って貰って下さい!」
「それをお伝えしたのですが……入ってこようと……」
「警察を呼んで下さい。生死の境を彷徨う子供がいるのに無理に入ってこようとするなんて……何でしたら私が呼びます」
「それに、僕たちの弁護士に仲介にたって貰います。リズは国外で生まれたので国際弁護人も立てます。えっと……」
「あぁ、母さんの友人の息子で、大原嵯峨っていたなぁ?あいつ現役で弁護士だっけ?」
と言いながら電話を掛ける。
「もしもし?突然すみません。大原さんでしょうか?私は志摩高飛です」
『どわぁぁ!高飛さん!何ですか?急に丁寧になって!』
「あぁ、日本に戻ってるんだ。何時もなら、あのおちゃらけ双子と一緒に遊びたいんだが、こんな夜中に悪いが、仕事の依頼無理だろうか?」
『仕事?いえ、大丈夫です。どうしました?』
26才の若手の弁護士は、有能で知られているが、幼馴染みと事務所を立ち上げたばかり、まだ若いだけに仕事がない。
「……リズが、中学校の階段の上から突き落とされた。容疑者は二人。一人はリズの幼馴染みと、もう一人はクラスの子らしい。今、救急病院で集中治療室で人工呼吸器や器械に取り囲まれてる。出血も多くて全身打撲、骨折に、頭も打っていて危険だと……」
『あの、リズちゃんがですか?何てことを……』
6年前に母親が亡くなるまで、行き来をしていた嵯峨は、幼かったリズを知っている。
「おにーたん?」
と舌ったらずな可愛らしい声で、にこにこと笑ってくれた。
弟はいるので、妹がいたらこんなに可愛かったのかと思っていた。
『すぐ行きます!どちらですか?』
高飛は病院名を伝えると、
「突き落とした二人の家族が侵入しようとしてくるんだけど」
『住所と名前、電話番号を聞いて追い出して結構ですよ。リズちゃんの方が大事ですから。何なら警察を呼んで下さい』
「やっぱりそうか。ありがとう。じゃぁ、電話番号は皆変わってないから、兄貴にでも伝えてくれるか?母さんは相当参っているんだ」
『はい、悠紀子叔母さんも、本当に辛いでしょう……では、よろしくお願いいたします』
電話が切れた。
高飛は、外に出ていこうとしていた弟を引き戻し、出ていくと、
「被害者である妹は生死の境をさ迷っています、うるさいです、他の患者さんに迷惑です。帰って下さい」
「高飛さん!」
長兄と年のさほど変わらない敬太郎の父親が、頭を下げようとするが、
「弁護士に依頼しました。悪質きわまりない。事故じゃなくて、殺人のようなものです。お話は、弁護士を通じてさせて戴きます」
「謝罪……まずは、お見舞いだけでも……」
包みを差し出そうとするのを拒む。
「弁護士を通じてと申し上げた筈です。それに、私は両親の代わりにここにおり、代理ですので、貴殿方とお話しする立場ではありません。帰って下さい」
「志摩さん!」
田中と言う生徒の父親か、土下座しようとするのを、
「弁護士を通じてと繰り返している筈です。それにここは病院で、他の患者さんや職員の方に迷惑です。どうぞお帰り下さい。それに、私の呟きですが、一応敬太郎は来てますが、もう一人の子……香也さんでしたっけ?来られていませんね?」
「そ、それは……」
「謝罪の意思があるなら、駆けつけて当然じゃないでしょうか?謝罪にも誠意がない。お帰り下さい」
高飛は帰れと言うように促すが、突然香也の父親が掴みかかる。
「何だと?わざわざ来てやったのに!」
襟元を掴まれ、拳で殴られる。
よろめくことはないが左頬に衝撃と、口の中に錆びた味が広がる。
その様子に、敬太郎の父が必死に引き剥がそうとする。
「な、何をされてるんですか!誰か!志摩さんが殴られました!」
「どけ!このお高く止まった男を……」
「何をされてるんですか!志摩さん!お兄さん大丈夫ですか?すぐに治療を……」
「リズを見ていたいので、結構です」
「……解りました。この人を連れていって頂戴!治療の邪魔です!」
谷崎に引き剥がされた男は苦々しげに吐き捨てる。
「裁判で勝てると思うなよ!お前が脅したと言ってやる!こっちにだって有能な弁護士を見つけられるんだからな!たかだか子供の喧嘩に!」
「何いってるんです!田中さん!喧嘩じゃないでしょ!それに、志摩さんは……」
「志摩、志摩って何だよ!」
「私が、怪我をおった里鶴夢の父の志摩憲広ですが?何か?……って、高飛!どうしたんだ!」
リズを育てるようになってから、家族とも向き合い続けてきた憲広は、端正な息子の顔のアザに顔色を変える。
「この人に殴られた。母さんの友人の大原さんの息子に弁護をお願いしたから、自分はリズの傍にいたいから帰ってほしいと言ったんだ。一応、俺と蓮斗が決めただけで、父さんにも了承を得てないし、父さんに伝えてからの方が良いだろうと思って……いってぇ……!商売道具なのにっ!」
「手当てはお願いしたか?」
「リズの傍にいたいから断った」
「バカを言いなさい!リズが知ったら泣くだろう、手当てをして貰いなさい」
「はい、父さん」
傍にいた看護師に、手当てをお願いし、案内されていく。
憲広は、表面的には微笑みを浮かべる。
それは凄みを増している。
谷崎親子は顔をひきつらせるが、田中は、
「志摩さんよぉ?あんたの息子、たち悪いぜ?どういう育て方をしたんだよ。たかだか子供の喧嘩に弁護士だの帰れだの、図図しい!」
「うちの息子は立派な大人ですよ、自慢の。それに賢くきちんと立ち回れる。それに、貴方はお幾つです?」
「40だが?」
「……20も下のガキに、タメ口叩かれる筋合いはないんだが?私の長男とさほど変わらんガキが、年長者に、しかも被害者の父にたいしてその態度はなんだ!」
憲広の声が響き渡る。
「謝罪もできないのか?あぁ、そうだったね。敬太郎くんを騙して、螺旋階段の上から突き落とすような娘の父親だ、謝罪もできないと見える。こんな男と会話はしたくない。確か、嵯峨くんだったか?私からもお願いしておこうか。次男の高飛も殴った……高飛はジャズやクラシックと幅広く活動する音楽家だ。……確か……明日か明後日にもコンサートがあった筈……すみません」
「はい……えっ!えぇぇぇ!指揮者の志摩憲広さんですか?」
騒ぎがあったと言われ駆けつけてきたスタッフが、声をあげる。
「はい。ご存知でしたか、ありがとうございます」
「ふぁ、ファンなんです!本当に!奥さんやお子さんとのコラボコンサートにも行きました!小さい末のお嬢さんが本当に可愛らしいのにお上手で!」
「ありがとうございます!うちのリズちゃんは本当に可愛いんですよ」
デレッとなる父親に、後ろから、
「父さん。一人で先に行って、車を止めて荷物を持ってきた私を何だと?」
「海音。遅かったね」
「父さん。英玲奈や歌音、母さんが持っていけと言われたからと、山のように持ってこないで下さい」
「いや、リズちゃんに必要だろう?」
「ぬいぐるみばっかりじゃないですか」
呆れた口調の兄、海音は、別室から出てきた弟に気がつく。
「高飛?その傷はどうしたんだ!明日、お前、コンサートがあるだろう!」
「そいつに殴られた。口の中切ってて、縫う羽目になった……」
「……音楽家を殴った!しかも、縫う?」
海音は荷物を持ったまま田中に近づく。
「職人の腕や指を痛めたら、復帰するのにどれ位かかると思う!しかも、高飛のトランペットの音は、世界屈指の、高飛だけにしか生み出せないと言うのに!私たち演奏家を馬鹿にしているのか!」
「何だと?」
温厚そうでいて実は一番音楽に命を懸けている……為に現在も未婚……の海音は食って掛かる。
「裁判で、高飛のコンサートのキャンセル料も重ねて訴えてやる!帰ってくれ!こちらでは高飛の写真と診断書もつけて提出するからな!コンサートがどれだけ時間もお金もかかるか、思いしれ!」
その横で、駆けつけてきた警備員に、のんびりと、
「すみません。一旦自宅に怪我をした娘の荷物に、ショックを受ける家族を安心させようと、次男と三男に任せて帰っていたのですが、戻ってみると、この男に高飛が殴られ怪我をしたのです。高飛は演奏家で明日コンサートだったのですが、この怪我だと無理でしょう……この男を警察につきだしといて戴けますか?」
「あの……表に取材陣が……」
「解っています。高飛行けるかい?」
「あぁ……痛いけどな……」
「余り喋るな」
親子は去っていき、田中は別の方向に引きずられていったのだった。
と、一旦状況を説明すると海音は、帰っていった。
集中治療室には入れない為、ガラス越しに高飛と蓮斗は見守る。
「リズ……リズ……」
高飛は悔やむ。
もう少し早くに迎えに来ていたら……リズは苦しまずにすんだのに……。
横で蓮斗も唇を噛む。
すると、看護師が声をかけてきた。
「志摩さん。谷崎さんと田村さんとおっしゃられる方が、お越しですが……」
「……谷崎って、敬太郎?兄さん。田中って?」
「田村香也さんのご家族だそうです」
その言葉に、思い出したのか蓮斗は顔をしかめ、高飛は冷たく言い放つ。
「妹を突き落とした子ですよね?この時間になって、来るなんて非常識でしょう?帰って貰って下さい!」
「それをお伝えしたのですが……入ってこようと……」
「警察を呼んで下さい。生死の境を彷徨う子供がいるのに無理に入ってこようとするなんて……何でしたら私が呼びます」
「それに、僕たちの弁護士に仲介にたって貰います。リズは国外で生まれたので国際弁護人も立てます。えっと……」
「あぁ、母さんの友人の息子で、大原嵯峨っていたなぁ?あいつ現役で弁護士だっけ?」
と言いながら電話を掛ける。
「もしもし?突然すみません。大原さんでしょうか?私は志摩高飛です」
『どわぁぁ!高飛さん!何ですか?急に丁寧になって!』
「あぁ、日本に戻ってるんだ。何時もなら、あのおちゃらけ双子と一緒に遊びたいんだが、こんな夜中に悪いが、仕事の依頼無理だろうか?」
『仕事?いえ、大丈夫です。どうしました?』
26才の若手の弁護士は、有能で知られているが、幼馴染みと事務所を立ち上げたばかり、まだ若いだけに仕事がない。
「……リズが、中学校の階段の上から突き落とされた。容疑者は二人。一人はリズの幼馴染みと、もう一人はクラスの子らしい。今、救急病院で集中治療室で人工呼吸器や器械に取り囲まれてる。出血も多くて全身打撲、骨折に、頭も打っていて危険だと……」
『あの、リズちゃんがですか?何てことを……』
6年前に母親が亡くなるまで、行き来をしていた嵯峨は、幼かったリズを知っている。
「おにーたん?」
と舌ったらずな可愛らしい声で、にこにこと笑ってくれた。
弟はいるので、妹がいたらこんなに可愛かったのかと思っていた。
『すぐ行きます!どちらですか?』
高飛は病院名を伝えると、
「突き落とした二人の家族が侵入しようとしてくるんだけど」
『住所と名前、電話番号を聞いて追い出して結構ですよ。リズちゃんの方が大事ですから。何なら警察を呼んで下さい』
「やっぱりそうか。ありがとう。じゃぁ、電話番号は皆変わってないから、兄貴にでも伝えてくれるか?母さんは相当参っているんだ」
『はい、悠紀子叔母さんも、本当に辛いでしょう……では、よろしくお願いいたします』
電話が切れた。
高飛は、外に出ていこうとしていた弟を引き戻し、出ていくと、
「被害者である妹は生死の境をさ迷っています、うるさいです、他の患者さんに迷惑です。帰って下さい」
「高飛さん!」
長兄と年のさほど変わらない敬太郎の父親が、頭を下げようとするが、
「弁護士に依頼しました。悪質きわまりない。事故じゃなくて、殺人のようなものです。お話は、弁護士を通じてさせて戴きます」
「謝罪……まずは、お見舞いだけでも……」
包みを差し出そうとするのを拒む。
「弁護士を通じてと申し上げた筈です。それに、私は両親の代わりにここにおり、代理ですので、貴殿方とお話しする立場ではありません。帰って下さい」
「志摩さん!」
田中と言う生徒の父親か、土下座しようとするのを、
「弁護士を通じてと繰り返している筈です。それにここは病院で、他の患者さんや職員の方に迷惑です。どうぞお帰り下さい。それに、私の呟きですが、一応敬太郎は来てますが、もう一人の子……香也さんでしたっけ?来られていませんね?」
「そ、それは……」
「謝罪の意思があるなら、駆けつけて当然じゃないでしょうか?謝罪にも誠意がない。お帰り下さい」
高飛は帰れと言うように促すが、突然香也の父親が掴みかかる。
「何だと?わざわざ来てやったのに!」
襟元を掴まれ、拳で殴られる。
よろめくことはないが左頬に衝撃と、口の中に錆びた味が広がる。
その様子に、敬太郎の父が必死に引き剥がそうとする。
「な、何をされてるんですか!誰か!志摩さんが殴られました!」
「どけ!このお高く止まった男を……」
「何をされてるんですか!志摩さん!お兄さん大丈夫ですか?すぐに治療を……」
「リズを見ていたいので、結構です」
「……解りました。この人を連れていって頂戴!治療の邪魔です!」
谷崎に引き剥がされた男は苦々しげに吐き捨てる。
「裁判で勝てると思うなよ!お前が脅したと言ってやる!こっちにだって有能な弁護士を見つけられるんだからな!たかだか子供の喧嘩に!」
「何いってるんです!田中さん!喧嘩じゃないでしょ!それに、志摩さんは……」
「志摩、志摩って何だよ!」
「私が、怪我をおった里鶴夢の父の志摩憲広ですが?何か?……って、高飛!どうしたんだ!」
リズを育てるようになってから、家族とも向き合い続けてきた憲広は、端正な息子の顔のアザに顔色を変える。
「この人に殴られた。母さんの友人の大原さんの息子に弁護をお願いしたから、自分はリズの傍にいたいから帰ってほしいと言ったんだ。一応、俺と蓮斗が決めただけで、父さんにも了承を得てないし、父さんに伝えてからの方が良いだろうと思って……いってぇ……!商売道具なのにっ!」
「手当てはお願いしたか?」
「リズの傍にいたいから断った」
「バカを言いなさい!リズが知ったら泣くだろう、手当てをして貰いなさい」
「はい、父さん」
傍にいた看護師に、手当てをお願いし、案内されていく。
憲広は、表面的には微笑みを浮かべる。
それは凄みを増している。
谷崎親子は顔をひきつらせるが、田中は、
「志摩さんよぉ?あんたの息子、たち悪いぜ?どういう育て方をしたんだよ。たかだか子供の喧嘩に弁護士だの帰れだの、図図しい!」
「うちの息子は立派な大人ですよ、自慢の。それに賢くきちんと立ち回れる。それに、貴方はお幾つです?」
「40だが?」
「……20も下のガキに、タメ口叩かれる筋合いはないんだが?私の長男とさほど変わらんガキが、年長者に、しかも被害者の父にたいしてその態度はなんだ!」
憲広の声が響き渡る。
「謝罪もできないのか?あぁ、そうだったね。敬太郎くんを騙して、螺旋階段の上から突き落とすような娘の父親だ、謝罪もできないと見える。こんな男と会話はしたくない。確か、嵯峨くんだったか?私からもお願いしておこうか。次男の高飛も殴った……高飛はジャズやクラシックと幅広く活動する音楽家だ。……確か……明日か明後日にもコンサートがあった筈……すみません」
「はい……えっ!えぇぇぇ!指揮者の志摩憲広さんですか?」
騒ぎがあったと言われ駆けつけてきたスタッフが、声をあげる。
「はい。ご存知でしたか、ありがとうございます」
「ふぁ、ファンなんです!本当に!奥さんやお子さんとのコラボコンサートにも行きました!小さい末のお嬢さんが本当に可愛らしいのにお上手で!」
「ありがとうございます!うちのリズちゃんは本当に可愛いんですよ」
デレッとなる父親に、後ろから、
「父さん。一人で先に行って、車を止めて荷物を持ってきた私を何だと?」
「海音。遅かったね」
「父さん。英玲奈や歌音、母さんが持っていけと言われたからと、山のように持ってこないで下さい」
「いや、リズちゃんに必要だろう?」
「ぬいぐるみばっかりじゃないですか」
呆れた口調の兄、海音は、別室から出てきた弟に気がつく。
「高飛?その傷はどうしたんだ!明日、お前、コンサートがあるだろう!」
「そいつに殴られた。口の中切ってて、縫う羽目になった……」
「……音楽家を殴った!しかも、縫う?」
海音は荷物を持ったまま田中に近づく。
「職人の腕や指を痛めたら、復帰するのにどれ位かかると思う!しかも、高飛のトランペットの音は、世界屈指の、高飛だけにしか生み出せないと言うのに!私たち演奏家を馬鹿にしているのか!」
「何だと?」
温厚そうでいて実は一番音楽に命を懸けている……為に現在も未婚……の海音は食って掛かる。
「裁判で、高飛のコンサートのキャンセル料も重ねて訴えてやる!帰ってくれ!こちらでは高飛の写真と診断書もつけて提出するからな!コンサートがどれだけ時間もお金もかかるか、思いしれ!」
その横で、駆けつけてきた警備員に、のんびりと、
「すみません。一旦自宅に怪我をした娘の荷物に、ショックを受ける家族を安心させようと、次男と三男に任せて帰っていたのですが、戻ってみると、この男に高飛が殴られ怪我をしたのです。高飛は演奏家で明日コンサートだったのですが、この怪我だと無理でしょう……この男を警察につきだしといて戴けますか?」
「あの……表に取材陣が……」
「解っています。高飛行けるかい?」
「あぁ……痛いけどな……」
「余り喋るな」
親子は去っていき、田中は別の方向に引きずられていったのだった。
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