Spiral Labyrinth……螺旋の迷宮

ノベルバユーザー173744

蓮斗れんと和真かずまと共に病院に到着すると、無駄にキラキラとした6人が手術室の前に集まっていた。
特に女性陣は泣き崩れ、慰めている父の憲広のりひろにしがみつき涙を流すのは、母、悠紀子ゆきこ

「何で……あぁぁ。私が、傍についていれば!」
「悠紀子……」
「誰が、私たちのリズちゃんに!」
「許せないわ!」

泣きながらも、美貌を失わない英玲奈えれな歌音かのんを慰める、長兄、海音かいと
手術室のランプを見つめ続けるのは次男の高飛たかと
そして、和真を連れてきた蓮斗もそれぞれ美貌の持ち主である。

「蓮斗?その子は?」
「えっと、和真……」
守谷和真もりやかずまです。ちょうど俺、事故の現場を見たので、リズちゃん……志摩さんが心配になって無理をいって着いてきました。同じ学年で、敬太郎けいたろうとクラスが一緒です」
「敬太郎?」

高飛は険しい顔をする。

「あいつは!リズを傷つけた!」
「えぇ。でも、一応お伝えしたいと思ったんですが……あれ?」

扉が開き、医師の一人が声をかける。

「申し訳ありません!お嬢さんの出血がかなりあり、こちらで保管している血液では足りません。緊急に連絡を取っていますが、ご家族のみなさん、血液型が一致する方は?」

和真の前で、家族は凍りつく。

「す、すみません……それが、一致……」
「あの~?蓮斗さん。俺、携帯取り上げられてるので、貸してください。それと、志摩さんの血液型は?」
「……AB型RH-」

受け取ったスマホを操作しつつ、呟く。

「あっちゃ~。珍しい血液型ですね。……もしもし~、俺~」
『詐欺は家には関係ありません』
「待って~、主李かずい~!兄ちゃん!和真だよ!話聞いて?」
『金貸せとかなしな?中学生で、小学校の俺からもう5万借りてるだろ?いい加減返せよ!バカ兄!』

小学生の弟から、金を借りる兄……。
顔をひきつらせる。

「今度返すって。それよりもさぁ、そこに、小学校と中学校の電話番号あるだろ?教えて」
『何で?』
「実はさぁ、俺、今、病院にいるんだよ。学校で事故があって、大怪我した子がいるんだけど、ひどい出血で、血液が足りないんだって」
『えぇぇ!血液型は?』
「ABRH-。家族も、提供してるけど足りないみたいなんだ。だから、学校の電話教えてくれないか?」

海音が差し出したメモに電話番号を記す。

『兄貴、小学校には俺が連絡してみる。それと、母さんと、特別に父さんに電話して、知り合い当たって貰ってみるよ。救急病院?』
「そう。主李は偉いなぁ……」
『そんなことを言う間に、連絡しやがれ、バカ兄!じゃぁな。……先輩が助かること祈ってる』

電話が切れる。

「……あーあ、弟可愛くない~。昔は兄ちゃん、兄ちゃん、言ってたのに……」

ぼやきながら弟に教わった番号に電話をする。

「もしもし。2年の守谷和真です~。今、志摩さんの運ばれた救急病院にいるんですけど、出血量がひどすぎて、血液が足りないそうなんです……えぇ。志摩さんの血液型が、ABRH-です。なので、緊急に連絡網を回してください!本当に足りないそうです。……はぁ?俺、いつもはチャラけてますけど、病院で冗談は言えませんよ!早く!急いでください!弟の小学校と俺の両親の知り合いには当たってもらってます。お願いします!じゃぁ!」

電話を切る。
そして、あっけにとられている志摩家の面々に、にっと笑う。

「大丈夫ですよ。俺のお袋、結構情報網広いんですよ。それに、親父もでかいとこに勤めてるんで」
「わ、私も知り合いに……駄目だ……」

憲広は頭を抱える。

「海外には友人は多いけれど、こちらには……」
「俺、学生時代の友人たちにかけてみるわ」

高飛がかける。
他の兄弟は、躊躇う。
その様子に、からかうように、

「志摩の兄ちゃんたちって、志摩に似て、音楽に没頭してたんだ~?」
「まぁ……そうなんだ」
「まぁ、それでいいんじゃない?俺はバカだけど、弟は野球に熱中してるけど、勉強とかも成績良くて、学級委員してたりしてるけどさ、楽しそうだし。それよりも、志摩が助かるといいなぁ……」

和真の声は冷たい白い床に跳ね返り、家族の心にほんのりと温もりを与えてくれたのだった。



しばらくして、病院に、

「何か、事故で血液が足りないと聞いたのですが……」

と言い、血液の提供を申し出る列ができたのだった。
それを聞いた志摩家は、感謝に涙したのだった。

ついでに、

「こらぁぁ!和真ぁぁ!」
「げっ!お袋!それに主李まで!」

ラフな格好の女性と、きりっとした眉の、チャラい兄とは逆に正統派美少年が現れる。

「こんばんは。守谷主李です。母さん。病院で騒がない。それに兄貴。何でここにいるの?警察から電話があったよ?話途中でいなくなったって大騒ぎしてるって」
「あんた、何したの~!このバカ息子!」

ゴーン!

拳の一撃が和真の頭上に降り下ろされ、

「イテテテ……!今回は、俺は目撃者だよ~!」
「事故の話は一応聞いたわよ。あんたは私と父さんの子だから、卑怯なことはしないだろうと、その辺りは信用してるわ」
「そんなら何で~?」
「主李に借金したそうね?前回は20万、今回は5万!主李にこの間渡したのは、野球チームで必要な道具代よ!何考えてんの!」

母親の問いかけに、へらりと笑い、

「あーうん。彼女に……」
「って、貢ぎまくって振られてるバカが言うもんじゃありません!主李を見なさい!」
「主李だって、好きな子いるよな?」
「えっ?」

兄の言葉に主李は頬をうっすら赤くして、視線をさ迷わせる。

「い、いないよ!」
「又々~?兄ちゃんは知っている」
「いないって言ってるだろ!それよりも、先輩って、志摩先輩って本当?」
「あれ?お前、リズちゃん知ってるの?」
「バカ兄!志摩先輩は小学校の時の器楽合奏クラブの先輩だよ!俺は音楽下手で曽我部と二人、わざわざ家に招いてくれて、練習してくれたんだ」
「あ、あの時の子か~!」

高飛が声をかける。

「トランペット必死に吹いてた。うん、木琴の方がましだったな」
「す、すみません……僕、才能はないみたいです……」
「いやいや、俺たちも最初はあんなもんだったぞ。それより、一緒にいた子は、音感は慣れていないけれど、めちゃくちゃ高音の綺麗な声してたな。英玲奈姉さんに聞かせたかったくらいだ。クラリネットも結構様になってたな」
「あ、きっと曽我部も志摩さん……高飛さんに言われたと伝えると喜びます」

ほんのりと頬を赤くする主李に、

「やっぱりじゃん……って、あててて……お母様~!」
「主李の恋愛話よりも、あんたの金銭感覚を何とかしなさい!中学生で、弟から25万取り上げる兄がいますか!」
「ここに!」
「威張るな!バカ息子!……申し訳ございません。騒々しくて……この子を連れて行きますので、失礼いたします」
「先輩が元気になるように、お祈りしてます。落ち着いたら、お見舞いに来てもいいでしょうか?」

主李の真剣な表情に、憲広は、

「ありがとう。是非、リズも喜びます。来てくださってありがとうございました」
「ありがとうございました」

志摩家の面々は丁寧に頭を下げる。

「後日、お礼にお伺いいたしますわ……和真さんや守谷さん、主李くんには本当に……感謝しても……」

悠紀子は何度も頭を下げる。

「いいえ。このバカ息子でも、今のお嬢さんのように大怪我をしてしまったら……私たちもどうして良いか……解りません。お嬢さんがお元気になりますように……」
「では、また……兄ちゃん!ちゃんと挨拶!」
「じゃぁ、また今度来ます」

と元気な家族が帰っていったのだった。

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