二面性男子の鏡
詰みゲー
「お前、どうやって死にたい?」
気絶しているテスラとレトを横目に男がコータローの方へ歩いてくる。
 会って1日しか経っていないが、あの2人の実力はコータローも確認している。
 それでもあの男には手も足も出なかった。
恐らく、というより確実にコータローでは相手にならない。
ティドは恐らく暫くは帰って来ない、しかし男は見つけるまで暴れる、テスラとレトは負けた、コータローでは相手にならない。
「……これは詰みゲーというやつでは?」
「そのツミゲーとやらが何かは知らないけど、俺の質問に答えてくれないと、一番酷い殺し方するよ?」
という男の手には20本程の五寸釘の様なもの、
1本ずつ刺されるという地獄のような想像を全力で振り払い、コータローはこの状況を脱する策をフル回転の頭脳で考える─
  
「遅いなぁ、人間決断が大事だよ?ほら、あと10秒だけ待ってあげるからさ。」
ことすらこの男は許してくれない。飛んできた1本の五寸釘がコータローの頬を掠める。
やはり男との実力差は歴然、真正面から勝つことは無理だ。
そうなれば───
「俺は死ぬのはごめんだね。」
ティドが帰ってくるまで時間を稼いでやろう。
大の漢が決心するにはいささか弱気だが、今のコータローにはそれが精一杯。
ドラゴンはいざとなると強いとレトが言っていた。ティドが帰って来ればどうにかなるかもしれない。
そうとなれば全力で逃げるのみ
男はそろそろ痺れを切らして攻撃してくる頃だろう。どんな殺し方、という言葉から武器はあの五寸釘だけではないと考えるのが妥当。というより本当に何でも持っているのだろう。
出来るか、攻撃パターンも分からない、魔法なのか近距離なのか遠距離なのかすらも分からない。
しかし、
やらないと殺られる。
その思考がコータローの腹を括った。
「もういいや、お前もう殺すね?」
予想通り、男は五寸釘を投げ捨てコータローとの距離を一気に詰めてくる。
「な!?」
端から逃げる気満々だったコータローに衝撃が走る。
一瞬だった。コータローの懐に男が入り込むとそこから鳩尾目掛け拳が一直線。次の瞬間には男はコータローの手が届かない所にまで距離をとっていた。
どさり、と床に倒れ込むコータロー。何とか顔をあげると男がつまらなさそうにこちらを見ていた。
「もう終わり?もっと面白くなると思ったんだけどな。」
ああ、死ぬのか。日本ならこんなにすぐ死ぬこともなかったのだろうか、折角異世界にきて2日で死亡かよ。
コータローの頬を熱い筋が通る。
「ま、いいやユーアーデッド!お疲れちゃん!」
コータローは全身が燃えるような感覚に包まれるのを感じながら意識を失っていった。
気絶しているテスラとレトを横目に男がコータローの方へ歩いてくる。
 会って1日しか経っていないが、あの2人の実力はコータローも確認している。
 それでもあの男には手も足も出なかった。
恐らく、というより確実にコータローでは相手にならない。
ティドは恐らく暫くは帰って来ない、しかし男は見つけるまで暴れる、テスラとレトは負けた、コータローでは相手にならない。
「……これは詰みゲーというやつでは?」
「そのツミゲーとやらが何かは知らないけど、俺の質問に答えてくれないと、一番酷い殺し方するよ?」
という男の手には20本程の五寸釘の様なもの、
1本ずつ刺されるという地獄のような想像を全力で振り払い、コータローはこの状況を脱する策をフル回転の頭脳で考える─
  
「遅いなぁ、人間決断が大事だよ?ほら、あと10秒だけ待ってあげるからさ。」
ことすらこの男は許してくれない。飛んできた1本の五寸釘がコータローの頬を掠める。
やはり男との実力差は歴然、真正面から勝つことは無理だ。
そうなれば───
「俺は死ぬのはごめんだね。」
ティドが帰ってくるまで時間を稼いでやろう。
大の漢が決心するにはいささか弱気だが、今のコータローにはそれが精一杯。
ドラゴンはいざとなると強いとレトが言っていた。ティドが帰って来ればどうにかなるかもしれない。
そうとなれば全力で逃げるのみ
男はそろそろ痺れを切らして攻撃してくる頃だろう。どんな殺し方、という言葉から武器はあの五寸釘だけではないと考えるのが妥当。というより本当に何でも持っているのだろう。
出来るか、攻撃パターンも分からない、魔法なのか近距離なのか遠距離なのかすらも分からない。
しかし、
やらないと殺られる。
その思考がコータローの腹を括った。
「もういいや、お前もう殺すね?」
予想通り、男は五寸釘を投げ捨てコータローとの距離を一気に詰めてくる。
「な!?」
端から逃げる気満々だったコータローに衝撃が走る。
一瞬だった。コータローの懐に男が入り込むとそこから鳩尾目掛け拳が一直線。次の瞬間には男はコータローの手が届かない所にまで距離をとっていた。
どさり、と床に倒れ込むコータロー。何とか顔をあげると男がつまらなさそうにこちらを見ていた。
「もう終わり?もっと面白くなると思ったんだけどな。」
ああ、死ぬのか。日本ならこんなにすぐ死ぬこともなかったのだろうか、折角異世界にきて2日で死亡かよ。
コータローの頬を熱い筋が通る。
「ま、いいやユーアーデッド!お疲れちゃん!」
コータローは全身が燃えるような感覚に包まれるのを感じながら意識を失っていった。
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