二面性男子の鏡

山本慎之介

二人目

レロ・ブア

風を操るブアの上位互換であり、習得には何年もの鍛練が必要である上級魔法、レロ魔法の一つ。


そんな魔法が目の前でテスラを斬る。コータローには魔法の知識など皆無、レロ魔法の凄さなど知らない。

 それでもこれだけは解った。

────これを喰らえばひとたまりもない。



 実際、2人がかりとはいえチンピラを一撃で倒したテスラがこうしてやられた。非力な自分がこの攻撃に晒されてしまえば間違いなく死ぬ。

「て、テスラ!」

レトはテスラが負けるとは思っていなかったようでパニックに陥っている。

「おっと、これはまずいな。関係者は全員消しておかないとな。」
男はニヤリと笑うとあろうことかコータロー達の方を向いてきた。

「これ、ヤバイんじゃね!?」
狼狽えるコータローと何も言わずただ男を睨みつけるレト。

一歩ずつ歩み寄る男に先に動いたのはレトだった。
「メア!」
余裕のある男目掛け炎魔法であるメアを詠唱した。男を中心に小さな、しかし人一人を倒すには十分な爆発が起こる。

一瞬、静寂が訪れる。その後に響いたのは──

「レロ・メア」

あの男のレロ魔法の詠唱だった。


先程よりふた周り大きな爆発にレトが飛ばされる。

「さあ、あと一人になってしまいましたぁ。お前、何で死にたい?」

男がコータローに微笑んだ。

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