二面性男子の鏡

山本慎之介

記憶喪失(?)

 紀谷浩太郎はそこそこ平凡な高校生であったと、自分の中では思っている。
─多少テストの成績がよかったり、人より運動がてきたり、先生の評価がよかったりはしたが、まあ1校に1人はいるような高校生だったはずだ。

  それが、なんで──
「目の前で魔法見れたりするんだろうなぁ。」

レトが放った火の玉、あれを魔法と呼ばずしてなんと呼ぶ。
 やっぱりこの世界では魔法は標準装備なのだろうか。しかしさっきの男、まあ驚いていたような気がする。

「レト……今のって魔法だよな?」

「あ〜やっぱりコータローも見るのは初めてですか?まあ、昨年発見されたばかりですし、当然ですけどね。」
…………!?
「去年!?そんな最近かよ!?」

「知らないんですか?昨年はほとんどそのニュースでもちきりだったじゃないですか!どれだけ非常……時代おく……世間知……詳しくないんですか?」

「言葉選ばなくていいよ!?」
初対面でどれだけ気を遣われるのだろうか。

「しかしコータロー、ほんとに知らないのかい?流石に魔法の発見を知らないのはどうかと思うぞ、幼稚園生も知ってることだしな。」

テスラまで心配している。

マジかよどんだけ世間知らずなんだよ俺……

流石にこれは記憶喪失設定にした方がいいのか、コータローはそう考えていた。

「いやぁ実は1週間前より前の記憶がないんだ。どっかで頭打ったみたいで。」

「記憶喪失か!?しかし、儂とあったとき『俺はヤマトンチュだ』と言っていたではないか?」

そう尋ねるキクにコータローは
「あー衣食住に困っちゃって嘘いいました。ヤマトンチュってなんですか?」

と苦笑いしながら答えるしかなかった。

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