二面性男子の鏡

山本慎之介

吉の本

 イキカ王国のカツテミカ、そんな名前からは想像ができないような未来的な街並み、低空飛行する車らしきものや立体映像が流れる広場、それらを破壊し尽くす集団がいた。
「お前らぁ!さっさと進めぇ!」
リーダーらしき男が叫ぶと、雄叫びがこれでもかといわんばかりに返ってくる。
進撃を続ける彼らが目指す所はただ一つ、

──あの店へ。


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「おいおいなんだぁ!?」
突然の爆発音にコータローは軽くパニックだ。一方、
「またアイツらかい?ほんとに懲りないねえ。」
「そう言って、テスラは嬉しいんですよね?」
「まあ二人ともやりすぎないようにな。」
テスラ、レト、キクの三人は全く動ずることもなく、むしろ呆れたようすだ(テスラは確かに少し嬉しそうだが)。

「ちょっと待ってくれよ、『また』ってなんだ!『アイツら』って誰だよ!?」
一人だけ訳のわからず少し怒り気味のコータローにレトが答える。

「彼らは『キューショー団』という組織の下っ端ですよ。表向きは健全な企業なんですが裏で世界征服を企んでるとかいう頭のおかしい奴らで、キク婆さんにしつこく土地をうるように言ってくるんですよ、きっと今の破壊活動も脅しの一環なんでしょうね。壊しても意味無いのに。」
壊しても意味無い、というのに少し引っかかったがそこは今はいいだろう。
「『キューショー団』ってネーミングセンスはともかく、今の話を聞く限り狙いはこの店ってことだよな!?」

焦るコータローに何を今更と言いたげなテスラが言う。
「その時はアタシら二人で追い払うだけさ。」
「あんたら戦えるのか!?」
ただの店員だと思っていたのだが腰の装備は護身用だけではないようだ。
「テスラ、来ましたよ。」
レトがそういったきっかり三秒後、

バァァン…!

「おい!店主のババアはどこだ?」

見た所リーダーであろう男が店内へ、
直後、

「ッシ!」
「メア」
男は唸る豪腕と火の玉によって吹き飛ばされていた。

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