二面性男子の鏡

山本慎之介

仲良し姉弟(?)

「婆ちゃん、また迷える子羊でも拾ってきたのかい?」
店内にいた二人(と一匹)のうち、女──それもなかなかに過激的な格好の女がいた。顔立ちは整っており、美人ではあるのだろうが、それをサングラスと金髪で帳消しにし、服装はボディラインをこれでもかと強調したタンクトップにホットパンツとかなり攻撃的だ。
「しょうがないじゃないですか、キク婆はこれが趣味のようなものですし、そのおかげで僕らも生活できてるんですから。」
そう言いつつ呆れ顔なのはマッシュルーム頭にかの有名な魔法使いを連想させる丸眼鏡の小学生くらいの少年。こちらは少しブカブカなローブを着ている。
「婆さん、この人たちは誰なんだ?」
するとキク、
「あれ、言っとらんかったかい?」
────言ってねぇよ。
「お前さんの先輩じゃよ。」
「そういうことで、アタシはテスラ、よろしくな、後輩」
そう言って女──テスラが手を差し出してくる。この距離になると分かるのだか、テスラはなかなかの高身長だ。クラスの男子でも真ん中やや大きめだったコータローとほとんど目線が変わらない。
「僕はレトです。どうぞよろしくお願いします。」
逆に少年──レトはかなり低く、7・8歳くらいのような雰囲気を出している。
「ちなみに僕は11歳ですからね。」
聞いてもいないのにこの反応、どうやらかなりのコンプレックスのようだ。
「あ、そうだ。俺がまだでしたね。
俺の名前はキノヤ・コータロー、18になります。」
「そーかい、コータローとは珍しい名前だね。ま、アタシも人に言えたことじゃないんだけどね。」
テスラは珍しいのか、確かに他の人はどこか和名っぽいしな。
そんな風にこれからを共にする先輩方との自己紹介をしていたとき、



ドォォォン……



───イベントは突然やってきた。

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