『ザ・ウォリアー』 ~この世界を浸蝕するデスゲーム系の近未来SF&ラブコメディ~

チョーカー

大学エアロビクス

 
 橙色の太陽が教室を染めていく。

 逢魔が時―――
 伽藍洞と化した非日常が恐怖を孕む時間帯だ。

 不思議だ。
 職員室には、まだ教員が残っているはず。
 部活動に燃える生徒たちの声も微少ながら耳に届いている。
 それなのに、どうしてこうも恐怖が加速していくのだろう?

 夕方でも、この通り。
 ならば、夜の学校ではどうなってしまうのか?

 いや、青春の学び舎で更けた夜を迎える経験は少ないにしても0ではあるまい。

 さて―――それは、置いといて―――

 同じ学び舎にも関わらず、
 夜にも人気が在り、
 爛々とした灯が燈り、
 活気がある空間。

 それが大学だ。

 多くが成人、あるいは成人を目前した学徒であり、
 学び舎でありながらも、その本質は研究機関。

 なぜか、俺たちは、大学のグランドでアトラクションに挑んでいる。

 「ぬおぉぉぉぉ!」

 俺の背後からは巨大岩が転がってくる。
 まるで冒険映画インディジョーンズの1シーンだ。
 左右に回避スペースはない。ただ、直線を疾走する強制有酸素運動エアロビクス
 心肺機能限界ギリギリまで搾り取られた瞬間、人が隠れる安全地帯セーフティゾーンが現れ、俺はそこに身を屈めて滑り込む。

 「カナタさん!」
 「カナタくん、油断し過ぎだよ」

 ルナさんと陽葵の声が聞こえる。
 油断?なにが?
 その直後、黒い影が飛んでくるのが見えた。

 「ベ、べトコン仕込みのスパイクボールだと!」

 限界までしならせた樹木の先端に、大量のトゲトゲががが
 寝転がった体勢の俺には回避方法など存在せずに―――

 『game over』

 「こんなのクリアできるか!」

 俺は叫んだ。 
 その相手は大学の屋上でこちらを見てる。
 屋上からは、この架空のアスレチックを出現させる装置。それにグランドを照らすカクテル光線のライト。
 それらの逆光から、アイツの姿をシルエットとして浮かんでいるだけだが、
 なぜだか、俺にはソイツが笑っているようにしか見えなかった。

 どうしてこうなったのか?

 俺は込み上げてくる怒りを抑えるために思い出した。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・


 「それでは、第1回裏ボス討伐ギルドの方針を話し合う会だよ!どんどんパフパフ!」

 俺とルナさんは例によって日の出前に呼び出された。
 俺は慣れているが、陽葵の信奉者であるルナさんは困惑気味だった。

 「質問してもいいですか?」
 「はい、ルナちゃん。どうぞ」
 「裏ボス討伐ギルドが正式な名前で決まったのですか?」
 「……」 「……」 「……」

 3人に、微妙な沈黙が流れた。

 「では、最初にギルド名を、正式名を決定したいと思います!」

 陽葵はホワイトボードを具現化させた。

 「ではカナタくんから、お願いします」
 「え?いきなり……って言うか。1ついいか?」
 「意見があるなら挙手をお願いします」
 「……」

 俺は無言で手を上げた。

 「はい、ではカナタくん」
 「名前を決めるのはギルメンを増やしてからが良いのでは?」

 現状、裏ボス討伐ギルド(仮)は陽葵を除くと2人しかいない。
 ここで変に名前を決めるより、ある程度の勧誘を募ってから決めた方がいいのでは?そういう俺の主張に陽葵は……

 「じゃ、ここ当面の方針目標は、新メンバーの加入だね!」

 ……なんだか、アイドルオーディション番組みたいなノリになってきた。
 

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