『ザ・ウォリアー』 ~この世界を浸蝕するデスゲーム系の近未来SF&ラブコメディ~

チョーカー

メデューサの魔眼

 メドゥーサの落下攻撃。

 その動きはランダム性が高い。
 しかし、よく観察してみれば、全くのランダム攻撃ではなく法則性がある事に気づくだろう。

 例えば―――
 妙に俺やルナさんへ向かって、ピンポイントで落下してくる。
 そうかと思えば、全くの的外れ。検討外れの場所へ落下する。
 では、この2つの大きな違いはなにか?
 たぶん、これは―――俺たちみたいに2人PTを想定していないからだ……と思う。
 本来、メドゥーサ戦はそれなりの人数で挑む事を想定してるのだろう。
 一度舞い上がると、近くのプレイヤーに狙いを微調整して落下攻撃。
 だから、参加人数が極端に少ないと的外れな場所へ攻撃するのに違いない。

 「だから、前衛を捨てるんです」

 俺は作戦をルナさんへ伝えた。

 この考察と作戦は俺が考えてものではない。
 陽葵が考えたものだ。

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 「来る!」

 舞い上がったメデューサが俺を目掛けて落下攻撃を仕掛けてくる。
 俺に向かって一直線に落下。まるで隕石。
 だが、既に俺を庇うようにルナさんが前に出ている。
 距離を取った前衛と遊撃のフォーメーションは捨てた。
 互いに距離を詰め、すぐにフォローできる密着型に切り替える。
 そしてルナさんは、最初にメデューサの落下攻撃を対処した時と同様、盾をメデューサに向けて―――

 接触音

 メデューサの体とルナさんの盾がぶつかり合う。
 その攻撃を耐え凌ぐとルナさんはメデューサの巨体を弾き飛ばした。
 接近した間合いを、再び離す。これによってメデューサの近距離攻撃を防いだ。

 俺とルナさんは密着するような陣形を取った。その理由は――――

 「このタイミングだ!」

 俺の装備は双剣からキャノン砲へ―――
 落下中が無敵なら、狙うは上昇中だ。
 発射された弾丸は空中でメデューサを捉え、HITの文字を浮かべさせた。
 対空撃墜が成功。
 そのまま、煙に包まれたメデューサの巨体は地面に叩き付けられた。
 むくりと体を起こすメデューサに向けて、もう1発。弾丸を叩き込む。
 つるべ打ち。連続で弾丸を叩き付ける。
 もう飛び立たせる事すら許さない。

 「気をつけて、そろそろ1本目のゲージがなくなるよ」

 陽葵のアドバイス。
 確かにメデューサの1本目のゲージ―――HPが1つ削れる。
 裏ボスの特徴は他の敵―――アノテーションと違ってHPが表示される。
 メデューサの場合は3本のHPゲージが表示されている。
 裏ボスのHPゲージは合図だ。 1つ消滅することに特殊な攻撃が行われ、まるで別の存在に変化する。

 「さて、何が来ると思う」と陽葵に意見を求める。彼女は―――

 「そりゃ魔眼でしょ」
 「はぁ、随分と簡単に言ってくれるぜ」

 俺はため息交じり言った。少し脱力できた。
 砂埃が舞い上がるエフェクトがメデューサの姿を消している。
 だが、光が見える。 赤い光だ。

 アレが魔眼の光か。

 俺は警戒を強める。何かが広がっていく感覚。
 焦りが襲って来る。 

 (落ちつけ、落ちつけ)

 あれはボスが行う『威圧の咆哮』と同じもの。
 ただ……

 魔眼という以上、その効果は……

 ヤバいとしか想像ができない。

 「カナタくん、目を閉じて!」

 陽葵の声。

 (目を?このタイミングで?)

 一瞬の迷い。それを振り払い。

 「えぇい、ままよ!」

 陽葵の言葉に従った。
 ……違和感? 瞳を開ける。何も変わらないようだが……
 それは俺だけだった。
 砂埃が消え去り、メデューサが立ち上がっている。
 その瞳は禍々しい赤が宿している。
 それだけの変化? いや違う。変化が起きているのは、俺でもメデューサでもなく―――

 ルナさんだった。

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