『ザ・ウォリアー』 ~この世界を浸蝕するデスゲーム系の近未来SF&ラブコメディ~
魔眼の効果
それは地獄を見せられているかのようだった。
……慟哭。
ルナさんは錯乱したかのように暴れまくり、駆けだした。
そして空に向かい雄たけびをあげる。
「ル、ルナさん、一体、何がどうなってるんだ?」
混乱する俺は、ルナさんの元に駆け寄る事すら躊躇してしまった。
「まさか、インターセプト!ジャックされてる?」
「陽葵、わかるのか?何が起きてやがる?ルナさんに!」
陽葵は「たぶん」と前置きをして―――
「魔眼によって、ルナさんは視界をジャックされている」
「視界をジャック?どういう事だ?」
「いいかい?私たちが使うARというシステム。結局、それは網膜にレーザーを当てる事で追加されている映像なのは知ってると思うけど……」
「まさか、それじゃ……ルナさんは?」
「地獄のような映像を強制的に見せられている」
「―――ッッッ!?」
そこまでやるのか!
マグマのような熱が体を這い上がっていく。
助ける手段はシンプルで簡単だ。携帯端末を外すだけ。
しかし、ルナさんの絶叫に引き寄せられるようにメデューサが攻撃を開始している。
当然、ルナさんには回避も防御の手段もない。それどころか、攻撃を受けてることに気がついてないかもしれない。見る見るうちにルナさんのHPが減少していく。
いや、おかしい。 裏ボス戦はデスゲーム。参加資格として携帯端末『サラブレッド』には外付けで拡張パックを取り付けておかなければならない。そして、この拡張パックがプレイヤーのHPが0になると同時に有毒をまき散らす事になるのだが……
これだけではない。裏ボス戦ではダメージを受けると、携帯端末からの電流によって痛みが再現されるはずだが、ルナさんには、その様子はない。
システム的に、あるいは魔眼の仕様として痛みがキャンセルされているのか?
だが、魔眼の効果が痛みすら無視せざる得ない拷問だとしたら……
「この野郎が!」
俺は、装備しているキャノン砲をメデューサに向ける。
そして―――引き金を絞る。
「ダメえええええええええええええええええええ!」
制止の絶叫。誰の? それは陽葵の声だった。なぜ?
疑問に思う瞬間も刹那。
すでに放たれた弾丸はメデューサの頭部を捉えていた。
大きく、仰け反ったメデューサは、ルナさんへの猛撃を止めた。
その代わりに、ギロリと視線を俺に向けて睨み付ける。
俺は自分の悪手に気がついた。しかし、もう遅い。
メデューサはターゲットをルナさんから俺に変更する。
「しまった。チクショウが」
俺は悪態をつく。
俺たちのPTは2人組だ。物理的な理由で陽葵は除く。
これが3人だったなら問題はない。
しかし、メデューサのヘイトが俺に移った今、誰が狂乱しているルナさんの携帯端末を外されるというのか?
メデューサは下半身が蛇のくせに素早く俺に向かって距離を縮めた。
俺は、メデューサをやり過ごし、ルナさんの元に行かなくてはならない。
しかし―――状況は、まるでバスケットボールの1ON1だ。
今はメデューサの体が巨大な壁のように見えてしまう。
しかし、迷っている暇はない。 俺はメデューサの体を迂回するように駆け出す。
簡単にメデューサを越えれない。
襲い掛かってくるのは連続攻撃。
髪の蛇。左右の爪。さらに俺の動きを邪魔するかのように、進行方向から向かって来る尻尾の攻撃。
それだけではない。事前に攻撃を知らせる予備動作なのだろう。メデューサの眼が赤く光る。
(魔眼か!)
慌てて、目を閉じてやり過ごすが、その間、他の攻撃を避けきれずHPが削れる。
「―――痛っ!」
たまらず、俺は1歩、2歩と後ろに下がった。
(どうする?どうやる?)
メデューサの背後から聞こえてくるルナさんの声で焦りが強くなっていく。
(落ちつけ。落ちついて考えるんだ。俺に何ができて、何ができないのか……)
「だが―――できない事くらいやってやる!」
俺は前へ踏み込む。そのまま、大きく体を沈め込む。
そして、右へ―――
メデューサはそれに反応して爪の突きを放った。
その爪は宙を切る。
なぜなら、俺はサイドステップで左へ飛んでいたからだ。
何度も目前で見せられたサイドステップ。
世界トップクラスのアスリートのテクニック。
それを再現したパーシの体術をさらに再現してみせたのだ。
100%の再現度とはとても言えない。けど、情報に過ぎないメデューサ相手なら、それで十分だ。
すれ違いざまに、メデューサの腹部に短剣を切りつける。
そのまま―――
「コイツは、オマケだ」
メデューサの後頭部にキャノン砲を突きつけて―――
「……ファイア」と呟いた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
Weakpointbonus
back attack
その二文字を背後に浮かべならが、俺はルナさんの元へ到達した。
……慟哭。
ルナさんは錯乱したかのように暴れまくり、駆けだした。
そして空に向かい雄たけびをあげる。
「ル、ルナさん、一体、何がどうなってるんだ?」
混乱する俺は、ルナさんの元に駆け寄る事すら躊躇してしまった。
「まさか、インターセプト!ジャックされてる?」
「陽葵、わかるのか?何が起きてやがる?ルナさんに!」
陽葵は「たぶん」と前置きをして―――
「魔眼によって、ルナさんは視界をジャックされている」
「視界をジャック?どういう事だ?」
「いいかい?私たちが使うARというシステム。結局、それは網膜にレーザーを当てる事で追加されている映像なのは知ってると思うけど……」
「まさか、それじゃ……ルナさんは?」
「地獄のような映像を強制的に見せられている」
「―――ッッッ!?」
そこまでやるのか!
マグマのような熱が体を這い上がっていく。
助ける手段はシンプルで簡単だ。携帯端末を外すだけ。
しかし、ルナさんの絶叫に引き寄せられるようにメデューサが攻撃を開始している。
当然、ルナさんには回避も防御の手段もない。それどころか、攻撃を受けてることに気がついてないかもしれない。見る見るうちにルナさんのHPが減少していく。
いや、おかしい。 裏ボス戦はデスゲーム。参加資格として携帯端末『サラブレッド』には外付けで拡張パックを取り付けておかなければならない。そして、この拡張パックがプレイヤーのHPが0になると同時に有毒をまき散らす事になるのだが……
これだけではない。裏ボス戦ではダメージを受けると、携帯端末からの電流によって痛みが再現されるはずだが、ルナさんには、その様子はない。
システム的に、あるいは魔眼の仕様として痛みがキャンセルされているのか?
だが、魔眼の効果が痛みすら無視せざる得ない拷問だとしたら……
「この野郎が!」
俺は、装備しているキャノン砲をメデューサに向ける。
そして―――引き金を絞る。
「ダメえええええええええええええええええええ!」
制止の絶叫。誰の? それは陽葵の声だった。なぜ?
疑問に思う瞬間も刹那。
すでに放たれた弾丸はメデューサの頭部を捉えていた。
大きく、仰け反ったメデューサは、ルナさんへの猛撃を止めた。
その代わりに、ギロリと視線を俺に向けて睨み付ける。
俺は自分の悪手に気がついた。しかし、もう遅い。
メデューサはターゲットをルナさんから俺に変更する。
「しまった。チクショウが」
俺は悪態をつく。
俺たちのPTは2人組だ。物理的な理由で陽葵は除く。
これが3人だったなら問題はない。
しかし、メデューサのヘイトが俺に移った今、誰が狂乱しているルナさんの携帯端末を外されるというのか?
メデューサは下半身が蛇のくせに素早く俺に向かって距離を縮めた。
俺は、メデューサをやり過ごし、ルナさんの元に行かなくてはならない。
しかし―――状況は、まるでバスケットボールの1ON1だ。
今はメデューサの体が巨大な壁のように見えてしまう。
しかし、迷っている暇はない。 俺はメデューサの体を迂回するように駆け出す。
簡単にメデューサを越えれない。
襲い掛かってくるのは連続攻撃。
髪の蛇。左右の爪。さらに俺の動きを邪魔するかのように、進行方向から向かって来る尻尾の攻撃。
それだけではない。事前に攻撃を知らせる予備動作なのだろう。メデューサの眼が赤く光る。
(魔眼か!)
慌てて、目を閉じてやり過ごすが、その間、他の攻撃を避けきれずHPが削れる。
「―――痛っ!」
たまらず、俺は1歩、2歩と後ろに下がった。
(どうする?どうやる?)
メデューサの背後から聞こえてくるルナさんの声で焦りが強くなっていく。
(落ちつけ。落ちついて考えるんだ。俺に何ができて、何ができないのか……)
「だが―――できない事くらいやってやる!」
俺は前へ踏み込む。そのまま、大きく体を沈め込む。
そして、右へ―――
メデューサはそれに反応して爪の突きを放った。
その爪は宙を切る。
なぜなら、俺はサイドステップで左へ飛んでいたからだ。
何度も目前で見せられたサイドステップ。
世界トップクラスのアスリートのテクニック。
それを再現したパーシの体術をさらに再現してみせたのだ。
100%の再現度とはとても言えない。けど、情報に過ぎないメデューサ相手なら、それで十分だ。
すれ違いざまに、メデューサの腹部に短剣を切りつける。
そのまま―――
「コイツは、オマケだ」
メデューサの後頭部にキャノン砲を突きつけて―――
「……ファイア」と呟いた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
Weakpointbonus
back attack
その二文字を背後に浮かべならが、俺はルナさんの元へ到達した。
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