『ザ・ウォリアー』 ~この世界を浸蝕するデスゲーム系の近未来SF&ラブコメディ~

チョーカー

ルナさん救出

 俺はルナさんの携帯端末ディバイス『サラブレッド』に伸ばす手を止める。
 不意に浮かぶ疑問―――

 『もし、デスゲーム中に携帯端末を外したらどうなるのか?』

 文字通りのデスペナルティが仕掛けられているのではないか?
 まさか……
 死の直前に携帯端末を外す。それだけの事でデスゲームを避けられるはずがない。
 そんな方法、誰もが最初に思いつく事だ。なんらかの対処が仕掛けられててもおかしくない。
 いや、しかし……通常時ならならどうなる?プレイ中に携帯端末は外すと?
 たしか、ゲームのシステム的に携帯端末を外したら、プレイ中断と判定される。

 (どうする?いや、でも……)

 混乱。
 背後には気配を感じる。
 Weakpointウィークポイントbonusボーナスと backバック attackアタックの高ダメージを受けて、停止していたメデューサが再動。背後から近づいてい来る。
 大量の汗が流れ落ちる。

 このまま、動きを止め続ければ、避けられない死が訪れる。

 『しかし――― 』 『でも――― 』

 そんな言葉が頭を浮かんでも続きが―――

 「大丈夫だから、外して」

 背後から陽葵の声。
 その言葉に後押しされたように、俺はルナさんの携帯端末ディバイスを外した。
 俺はそのまま、ルナさんの携帯端末を投げ捨てた。
 もしかしたら、拡張パックから広範囲で毒が噴き出たり―――
 爆発の可能性するありえるからだ。

 幸いにして、爆発は起きず、毒ガスも噴出されなかった。
 だが、安堵するのは早い。
 ルナさんの様子は―――

 「ルナさん!ルナさん!聞こえているか!」

 俺は彼女の体を抱き寄せ、軽く揺さぶり様子をうかがう。
 医学的に、揺さぶる行為が正しいのか、間違っているのかはわからないが……
 ルナさんは俺の方を向く。
 大量の涙と汗。充血した瞳が赤く染まっている。
 呼吸は大きく乱れ、過呼吸気味。

 「ここまで……ここまでやるかよ!」

 俺は振り向きざま、至近距離でメデューサの頭部をキャノン砲で打ち抜く。

 ノックバック。

 縮まっていた間合いは再び広がる。

 「ルナさん……安心して休んでください。アイツは……もう、あなたに近寄らせません」

 俺は、可能な限り優しい声をルナさんへ―――
 そのまま、彼女の体を横にして休ませる。
 そして―――

 俺はメデューサを対峙する。

 さっきの一撃でメデューサのHPは残り1ゲージとなった。
 新しい攻撃パターンが来る?今までの傾向では、そうだった。
 裏ボスは1ゲージ分のHPが削られる毎、急激に難易度が跳ね上がっていく。

 「陽葵、何か作戦はあるか?」

 俺は陽葵に聞く。彼女は呆れ交じりに―――

 「あんなカッコよく啖呵を切っといて、ノープランだったの」
 「うん、ちなみに『啖呵を切る』ってのは、言葉で相手をやりこめるとか、まくしたてるって意味だから誤用だぞ」
 「……チッ」
 「舌打ちした!この子!」

 良い感じだ。
 散々、掻き乱された心が陽葵との会話で平常へ戻っていく。
 ルナさんは陽葵を救うために戦ってくれていた。 そうして前に進もうとしていた。
 だが―――

 もうルナさんは再起できるのかわからない。

 体よりも心が蝕まれてしまった。

 そう思うと、さっきまで落ち着いていた感情が―――ふつふつとよくない感情が―――「暗黒の意志」が再び湧き出てくる。

 「―――あるよね?」
 「え?」

 一瞬、意識を持っていかれかけたが、陽葵の声で正気に戻る。

 「何が、あるって?」

 誤魔化すように、返事を返した俺に陽葵は―――

 「一気に勝負を終わらせるアイテム。『チートアイテム』をカナタくん、持ってきてるよね?」

  

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