『ザ・ウォリアー』 ~この世界を浸蝕するデスゲーム系の近未来SF&ラブコメディ~
パーシのデータ元
その動きは―――
まるで誘導弾のような動き!
パーシは既に目前に来て、剣を振るうモーションにはいっている。
一瞬、ゲームオーバーの文字が脳裏に浮かぶ。
しかし、パーシの剣は俺に届かなかった。
パーシの剣が俺に届く直前―――
彼の背後に追いついたルナさんが盾を振るっていた。
パーシはダメージを受けて吹き飛ばされた。
「助かった」と目で合図をすると伝わったらしく、ルナさんは軽く頷く。
パーシは立ち上がると攻撃対象をルナさんへ変えていた。
「うおぉおおおおおおおおおお!?」
攻撃モーションに入ったパーシが裂帛の気合を上げた。
本当に―――人間みたいだ。
それをルナさんが盾で防ぐ。
だが続けてパーシの2撃目。それに変化が起きる。
ルナさんに向かっていくパーシの動きが左右にぶれる。
そしてルナさんの横へ大きくサイドステップ。そして突きの構え。
ルナさんは反応できてない。いや、見失っている。
「ルナさん、右だ!」
俺の声に反応して、ルナさんは右に盾を振り回し、間一髪で攻撃を弾いた。
そのまま、距離を取る。
「カナタさん、今のは一体……私にはパーシが消えて見えたのですが?」
「消えて見えた……俺の位置からは、彼が一瞬ブレて横に移動したがわかったが……いや、俺が前衛へ行く。ルナさんは相手の動きの観察を頼みます」
ルナさんが頷くのを確認して前衛へ飛び出した。
パーシが俺をターゲットと認識する。それと同時に叫んだ。
「次はお前が相手か!」
言葉にビリビリとした威圧感が乗っている。
おそらく、一定条件で発せられる仕様なのだろうが……
まるで自分の意志を持っているかのように錯覚すらしてしまう。
パーシの剣が振りあげられる。
それを双剣で受けようとする。だが―――
(フ、フェイントだと!)
パーシはそのまま後ろに下がると突きの構え。
放たれた突きを躱す。しかし、それが横薙ぎの一振りへ変化した。
HIT
俺のHPが大幅に削れる。
さらなる追い打ちを狙うパーシを前蹴りで蹴り剥がす。
パーシはバランスを崩し、片腕を地面に着き―――
俺を睨みつけてくる。
それを見て―――
(あぁ、なるほど)
納得した。
俺は振り向き、背後にいるルナさんにパーシの正体を―――
パーシが行っている戦闘術のトリックを伝えようとした。
しかし、できなかった。
「カナタさん、前です!」
ルナさんの声で前方を確認する。
敵は―――パーシは既に距離を縮めている。
本来なら、対処可能な距離。しかし―――
一瞬、パーシの体が左右にブレて見れる。
無意識にパーシの動きに視線が吸い寄せられる。
そして―――
「やはり……消えたか!」
パーシは俺の視界から消えた。
―――否。消えたように見えた。
そして、俺のHPはレッドゾーンを越えて0と表示された。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ドリンクバーの無料チケットありますよ。使いますか?」
「じゃ、お言葉に甘えて」
俺はルナさんに差し出されたチケットを受け取る。
夕飯は帰宅して食べるので、スイーツ系で行こうと考えていたが止めておこう。
スイーツ+ドリンクバーのお得感より、ドリンクバーオンリーの方が代金的には―――
ルナさんはイチゴパフェを注文した。
結局、俺とルナさんは仲良くゲームオーバーとなった。
死亡ペルティでゲームは強制的に停止。再スタート可能になるまで1時間必要になる。
1時間後になれば日は暮れる。今日中に再びパーシとの対戦は無理だと判断して作戦会議。
近所のファミレスに入る事にした。
「パーシの動き、あれは人間技だね」
「人間技ですか?」とルナさんは不思議そうな表情。
「『ザ・ウォリアー』のテーマは都会で野生の闘争を再現する事だけど、パーシのモーションは人間の動きを完璧に再現していた」
「再現ですか?私には、とても人間技とは思えなかったのですが……」
「う~ん、これは都市伝説的な噂話なんだけど……」と俺は前置きをした。
「『ザ・ウォリアー』の開発でモンスター……敵としての情報を実際の猛獣を研究して、モーションを再現しているのは有名な話だけど……そのテストプレイヤーとして有名なアスリートやプロの格闘家を雇ったらしい」
「それは、割とある話では?他のARでも、同じ事をしてると思うのですか?」
「いや、それが……参加アスリートのリストがネットで流出した事が合って……
「まぁ、見てよ」と俺は保存していたファイルをルナさんの携帯端末に送る。
それを目で追っているルナさんの表情は、見る見る内に険しい顔になっていく。
「これは、流石にデマでしょね。スポーツに興味がない私でも知っている有名人が100人以上が載ってますが……年収数十億の現役選手ばかりじゃないですか。これが事実なら、隠す意味がありません。むしろ、大々的に発表した方が宣伝効果は凄い事になるかと……」
「参加アスリートの全モーションを記憶されているとしたら、その価値は?」
「そんな、まさか……ゲーム内という条件のみなら、全員の動きが忠実に再現できるということですか!」
ルナが絶叫のような声を上げるのも当然の事だ。
一流アスリートのモーションデータが1つの会社に独占されているとしたら、その価値は……
天文学的数字になるだろう。しかし、それでも世界中の金持ち連中は手に入れたがるほどの価値だ。
「参加アスリートも運営も、その事に気がついたのは後々の事だったんだろう。どんな契約内容だったのかはわからないけど……まぁ、運営もビビって情報公開しなかったんだろう」
あくまで噂話だから、それが事実なのかは不明だけど……
「つまり『クエスト』が隠し要素なのは、情報を大々的に公開できないから?それに……いえ、逆だから……隠し要素だからこそ、一流アスリートの情報をゲーム内にフィードバックされている。そういう事ですか?」
俺は頷いた。
まるで誘導弾のような動き!
パーシは既に目前に来て、剣を振るうモーションにはいっている。
一瞬、ゲームオーバーの文字が脳裏に浮かぶ。
しかし、パーシの剣は俺に届かなかった。
パーシの剣が俺に届く直前―――
彼の背後に追いついたルナさんが盾を振るっていた。
パーシはダメージを受けて吹き飛ばされた。
「助かった」と目で合図をすると伝わったらしく、ルナさんは軽く頷く。
パーシは立ち上がると攻撃対象をルナさんへ変えていた。
「うおぉおおおおおおおおおお!?」
攻撃モーションに入ったパーシが裂帛の気合を上げた。
本当に―――人間みたいだ。
それをルナさんが盾で防ぐ。
だが続けてパーシの2撃目。それに変化が起きる。
ルナさんに向かっていくパーシの動きが左右にぶれる。
そしてルナさんの横へ大きくサイドステップ。そして突きの構え。
ルナさんは反応できてない。いや、見失っている。
「ルナさん、右だ!」
俺の声に反応して、ルナさんは右に盾を振り回し、間一髪で攻撃を弾いた。
そのまま、距離を取る。
「カナタさん、今のは一体……私にはパーシが消えて見えたのですが?」
「消えて見えた……俺の位置からは、彼が一瞬ブレて横に移動したがわかったが……いや、俺が前衛へ行く。ルナさんは相手の動きの観察を頼みます」
ルナさんが頷くのを確認して前衛へ飛び出した。
パーシが俺をターゲットと認識する。それと同時に叫んだ。
「次はお前が相手か!」
言葉にビリビリとした威圧感が乗っている。
おそらく、一定条件で発せられる仕様なのだろうが……
まるで自分の意志を持っているかのように錯覚すらしてしまう。
パーシの剣が振りあげられる。
それを双剣で受けようとする。だが―――
(フ、フェイントだと!)
パーシはそのまま後ろに下がると突きの構え。
放たれた突きを躱す。しかし、それが横薙ぎの一振りへ変化した。
HIT
俺のHPが大幅に削れる。
さらなる追い打ちを狙うパーシを前蹴りで蹴り剥がす。
パーシはバランスを崩し、片腕を地面に着き―――
俺を睨みつけてくる。
それを見て―――
(あぁ、なるほど)
納得した。
俺は振り向き、背後にいるルナさんにパーシの正体を―――
パーシが行っている戦闘術のトリックを伝えようとした。
しかし、できなかった。
「カナタさん、前です!」
ルナさんの声で前方を確認する。
敵は―――パーシは既に距離を縮めている。
本来なら、対処可能な距離。しかし―――
一瞬、パーシの体が左右にブレて見れる。
無意識にパーシの動きに視線が吸い寄せられる。
そして―――
「やはり……消えたか!」
パーシは俺の視界から消えた。
―――否。消えたように見えた。
そして、俺のHPはレッドゾーンを越えて0と表示された。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ドリンクバーの無料チケットありますよ。使いますか?」
「じゃ、お言葉に甘えて」
俺はルナさんに差し出されたチケットを受け取る。
夕飯は帰宅して食べるので、スイーツ系で行こうと考えていたが止めておこう。
スイーツ+ドリンクバーのお得感より、ドリンクバーオンリーの方が代金的には―――
ルナさんはイチゴパフェを注文した。
結局、俺とルナさんは仲良くゲームオーバーとなった。
死亡ペルティでゲームは強制的に停止。再スタート可能になるまで1時間必要になる。
1時間後になれば日は暮れる。今日中に再びパーシとの対戦は無理だと判断して作戦会議。
近所のファミレスに入る事にした。
「パーシの動き、あれは人間技だね」
「人間技ですか?」とルナさんは不思議そうな表情。
「『ザ・ウォリアー』のテーマは都会で野生の闘争を再現する事だけど、パーシのモーションは人間の動きを完璧に再現していた」
「再現ですか?私には、とても人間技とは思えなかったのですが……」
「う~ん、これは都市伝説的な噂話なんだけど……」と俺は前置きをした。
「『ザ・ウォリアー』の開発でモンスター……敵としての情報を実際の猛獣を研究して、モーションを再現しているのは有名な話だけど……そのテストプレイヤーとして有名なアスリートやプロの格闘家を雇ったらしい」
「それは、割とある話では?他のARでも、同じ事をしてると思うのですか?」
「いや、それが……参加アスリートのリストがネットで流出した事が合って……
「まぁ、見てよ」と俺は保存していたファイルをルナさんの携帯端末に送る。
それを目で追っているルナさんの表情は、見る見る内に険しい顔になっていく。
「これは、流石にデマでしょね。スポーツに興味がない私でも知っている有名人が100人以上が載ってますが……年収数十億の現役選手ばかりじゃないですか。これが事実なら、隠す意味がありません。むしろ、大々的に発表した方が宣伝効果は凄い事になるかと……」
「参加アスリートの全モーションを記憶されているとしたら、その価値は?」
「そんな、まさか……ゲーム内という条件のみなら、全員の動きが忠実に再現できるということですか!」
ルナが絶叫のような声を上げるのも当然の事だ。
一流アスリートのモーションデータが1つの会社に独占されているとしたら、その価値は……
天文学的数字になるだろう。しかし、それでも世界中の金持ち連中は手に入れたがるほどの価値だ。
「参加アスリートも運営も、その事に気がついたのは後々の事だったんだろう。どんな契約内容だったのかはわからないけど……まぁ、運営もビビって情報公開しなかったんだろう」
あくまで噂話だから、それが事実なのかは不明だけど……
「つまり『クエスト』が隠し要素なのは、情報を大々的に公開できないから?それに……いえ、逆だから……隠し要素だからこそ、一流アスリートの情報をゲーム内にフィードバックされている。そういう事ですか?」
俺は頷いた。
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