『ザ・ウォリアー』 ~この世界を浸蝕するデスゲーム系の近未来SF&ラブコメディ~

チョーカー

フレンド登録

 
 ―――翌日―――

 「え?本当に倒したのですか?ソロで?」

 学校の昼休みに抜け出し、神社に来てみるとルナさんがいた。
 そのまま、流れで不死鳥を倒した事を告げると―――
 そのまま、前のめりに膝から崩れ落ちて行った。

 「ちょ!大丈夫ですか?」
 「だ、大丈夫ですよ、ただ……」
 「ただ?」
 「先日、威勢の良い事を言った手前、恥ずかしさと情けなさが同時に込み上げてきてしまって……」

 ルナさんの顔は真っ赤に染まっていた。

 「先日と言うと……いえいえ、陽葵を救って見せるって気持ちだけでありがたい事ですので」

 俺は気を使って言ったつもりだったが、本人は―――
 ゴフッと何か吐き出してはいけないものを口から飛ばしていた。

 「こ、このままではダメだ!」

 叫び声と共に立ち上がったルナさんは鬼の形相だった。
 元が整った顔だっただけに、その憤怒の殺意は表情にクッキリと浮かび上がっていて―――
 「ひぃ~」と俺の悲鳴すら聞こえないのか、そのまま迫ってくると俺の両手を掴んできた。
 万力のような力強さで、振りほどけない。その恐怖は尋常ではない。

 「ひぃ!殺される!」

 二度目の悲鳴は、今度こそルナさんの耳に届いたらしい。

 「こ、殺しませんよ!」

 自分の振る舞いに気づいたらしく、彼女の顔は再び赤く染まっていた。
 もちろん、恥ずかしさで赤くなっているのである。間違っても返り血で赤く染まっているわけではない。

 ルナさんは「オッホン」と咳を1つ。
 どうやら、先ほどの失態を誤魔化して、話の流れを変えるつもりらしい。

 「えっと、貴方の名前は?」
 「カナタです。プレイヤーネームですが、本名も同じ阿澄彷徨です」
 「あすみ……カナタさん……とッ」

 ルナさんは、なにやら携帯端末ディバイスを操作し始めた。
 僅かなタイムラグがあって俺の携帯端末に着信音が鳴る。

 『ルナさんからフレンド申請が送られました』

  「はぁい?」

 空中には『YES/NO』の選択肢が浮かんで見える。

 「うん、君に手伝ってもらいたい事があるんだ。取りあえずフレンド登録してくれないかい?」

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 「ルナさん、何を計画してるんだろうね」

 陽葵は楽しげに言う。
 ビクビクしている俺の内心を理解して言っているのだから、コイツはコイツでたちが悪い。
 あの後、俺たちは昼休みに学校を抜け出したため、時間的な問題もあって、詳しい説明は放課後、この神社で待ち合わせを……という事になった。
 陽葵はルナさんを新設したギルド『裏ボス狩』だったけ?それに勧誘したいみたいだが……
 俺は気が進まない。 
 彼女自身に問題があるとか、個人的に彼女が怖いとか、そういう理由ではない。
 ……うん、そういう理由ではない。
 俺が気にかけているのは、ソロ狩りで不死鳥と戦っている理由だ。
 彼女と不死鳥との戦い方を見ればわかる。
 彼女が不死鳥相手に不覚を取ったのは決して彼女が弱いからではなく、パーティプレイを前提にした前衛特化装備であり、プレイスタイルもソレが染み込んでいるからだ。
 つまり、彼女には長い間、共に戦ってきた仲間がいる。ギルドがあるはずなんだ。
 それなのに、どうして彼女は1人で、デスゲームに挑もうとしているのか?
 ……いや、逆なのか。
 デスゲームに挑もうとしているから意図的に1人でいるのか。

 そんな大切な仲間がいる人をギルドに誘うのは……やはり、気が進まない。

 「カナタくん?」
 「え?」
 「カナタくんは、考えすぎだよ。国語の『作者の考えを答えなさい』って問題を、現実リアルの人間に当てはめて読み解こうとしてるけど、別にカナタくんは解答者じゃないんだよ」

 「なるほど」と俺は陽葵の言葉を噛みしめて―――

 「ん~ その例えは分かり難いかな?」

 と答えた。
 

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