ああ、赤ずきんちゃん。

極大級マイソン

第1話「赤ずきんちゃんと双子の兄妹」

 昔々のある森に、『赤ずきん』というそれはそれは可愛らしい少女が住んでたそうな。今日は鬱蒼とした森の中でも強い陽射しが地面に降り注ぐ、とても気持ちのいい天気だったので、赤ずきんは友達のオオカミと白雪姫と共に、森で木ノ実やきのこ等を探していました。
 この森は食材がとても豊富で、ある程度森の食材の採り方さえ知っていれば子供でも食べ物を見つけて手に入れることが出来ます。
 今までずっとお城暮らしだった白雪姫でも、赤ずきんの教え通りに森を漁れば、木ノ実もきのこも簡単に探し出すことが出来ました。

 白雪姫「たくさん見つかりましたね、赤ずきんさん!」
 赤ずきん「うん! 結構見つかったね。これだけあれば、今晩は豪華な食事になりそうだわ!」

 赤ずきんはカゴにたくさん入った食材を眺めてにっこり。白雪姫もそれを見て微笑みます。
 今回、赤ずきん達は今日の晩御飯を探していました。理由としては、赤ずきんが気まぐれで料理を作りたくなったからというのが一つ。森の生活に慣れていない白雪姫のために狩りのやり方を教えてあげるためというのが一つ。
 おそらく危険は無いだろうと赤ずきんは思っていましたが、心配性のオオカミが2人の付き添いになって、今日は3人での森探検でした。

 オオカミ「おおいっ! 獲物を捕まえてきたよぉ〜!」
 赤ずきん「オオカミさん。お肉の調達を任せていたけど、無事に探してくれたみたいね」
 白雪姫「って、何ですかこの大きな動物!?」
 オオカミ「ああ、熊だよ熊。1人でのんびり昼寝してるようだったから、狙い目だと思ってね」
 赤ずきん「それは良かったわね。あっ、白雪姫って熊食べれる?」
 白雪姫「は、はい。初めて食べますが、好き嫌いはないので……」
 オオカミ「なら良かった。こいつは家に持って帰ってぼくが解体するよ」
 赤ずきん「私も手伝うわ」
 白雪姫「解体……」

 白雪姫は、この大きな熊がバラバラになるのか、と思いました。

 赤ずきん「白雪姫は見なくていいよ」
 オオカミ「そうそう。慣れてない人に血抜きは辛いからね」
 白雪姫「あ、ありがとうございます」

 さて、3人が食材集めを終えた帰り道。そこに赤ずきんが見知った顔が現れました。それは、片方が腕白そうな少年。もう片方が目つきの鋭い少女でした。

 ヘンゼル「お、何だ赤ずきんじゃねえか」
 グレーテル「こんな時間に会うなんて珍しいな。まだ寝てるのかと思ったよ」
 赤ずきん「さすがにこの時間は起きてるわよ。家から出なかっただけで」
 グレーテル「一緒みたいなもんだ」
 白雪姫「あの、赤ずきんさん。この方達は……」
 グレーテル「ん? そう言えば知らない奴がいるなヘンゼル」
 ヘンゼル「そうだなグレーテル。ならば、名乗らなければならないな!」

 そう言って、双子はザッと白雪姫の前に並び、それぞれお決まりのポーズを決めます。

 ヘンゼル「俺はヘンゼル!」
 グレーテル「私はグレーテル」

 ヘンゼル&グレーテル『2人揃って、おとぎの森の剣士達です!!』

 白雪姫「…………えぇっと」

 白雪姫は唖然としてます。この森に来てから間もない彼女は、こういう時どういった反応をすれば良いのかすぐには分からなかったのです。
 一方で赤ずきんが答えます。

 赤ずきん「という訳で、この2人はヘンゼルとグレーテル。ちょっと前にこの森に住むことになって、それから偶に遭遇する人達よ」
 ヘンゼル「おい、人を新種のモンスターみたいに言うな赤ずきん」
 グレーテル「私達、森で狩りをしていただけだからな。ウサギや鹿を獲りに」
 ヘンゼル「そっちは……なんかスゲーの捕まえてるな」
 オオカミ「いや〜今日は運が良かったよ!」
 ヘンゼル「くっ、俺達も負けてられねえなグレーテル。こっちもデカい獲物しとめようぜ!」
 グレーテル「駄目だよヘンデル。今日は十分食料を手に入れたから、これ以上獲物を捕らえても無駄にするだけ」
 ヘンゼル「ああ、ここ電気も通ってないんだもんなぁ……。クソッ。冷蔵庫も無いなんてどうなってるんだよこの森はっ!!」

 ヘンゼルは地団駄を踏んでいます。この森には一部を除いて電気が通っておらず、当然冷蔵庫などの電化製品もありませんでした。

 白雪姫「お、落ち着いてくださいヘンゼルさん」
 ヘンゼル「……んっ、そう言えばお前の名前を聞いてなかったな」
 白雪姫「私、白雪姫と言います。つい先日赤ずきんさんのお家に住むことになりました。今後ともよろしくお願いします」

 そう言って白雪姫は双子にぺこりとお辞儀をしました。

 グレーテル「白雪姫? ……確か、おとぎの城に住んでいる姫がそんな名前だったような……」
 ヘンゼル「はっはっは、そんな訳ねえだろうグレーテル。お姫様がこんな森に来る訳ねえじゃねえか。こんな場所に好んで住み着くなんて、相当な"もの好き"でも無いとしねえって!!」
 グレーテル「……それだと、私達もその"もの好き"の一員ってことになるんだけどね」

 グレーテルはやれやれと頭を掻きます。双子の生まれで言えばグレーテルの方が妹なのですが、どちらかと言うと腕白なヘンゼルの方が弟のように思えます。
 赤ずきんは双子が捕らえたという獲物に目が移ります。そこには縄で縛られた白いウサギやカゴいっぱいに入った木ノ実がありました。
 赤ずきんは閃きます。

 赤ずきん「そうだ! せっかくだから2人も私達と一緒にお料理しない?」
 グレーテル「料理?」
 白雪姫「私達、これからお家に帰って採ってきた食材を料理するんです」
 赤ずきん「今貴方達は食べ物を持っているから、私達と料理出来る資格を持っているわ。その食材を使って、一緒に楽しく料理をしましょうよ」
 ヘンゼル「まあ俺達もこの採ってきた物を焼こうと思っていたけど……」
 赤ずきん「焼くだけなんだ」
 ヘンゼル「馬鹿にすんなよ!? ちゃんと食べやすい大きさに切ったりするんだからな!!」
 グレーテル「ヘンゼル、黙っていた方がいい。私達が焼く以外の料理方法を知らないことがバレるぞ」
 白雪姫「それは……」
 ヘンゼル「肉やきのこなんて、適当に焼いとけば食えるんだよ! 他に余計なことはしなくていい、自然のままの味を楽しむんだ!! …………まあ、塩くらいは欲しいなって思う時はあるけどな」
 グレーテル「あと焼肉のたれ」
 ヘンゼル「ああ、焼肉のたれかぁ……」

 そう呟くと、ヘンゼルとグレーテルのお腹の虫がグゥ〜と鳴り出します。

 グレーテル「……赤ずきん。貴女家に塩とか持ってたりする?」
 赤ずきん「調味料なら一通り揃ってるけど」
 ヘンゼル「よぉ〜し一緒に料理するぞ赤ずきん! そして久しぶりにまともな飯を食うんだ!!」
 オオカミ「まともじゃ無いっていう自覚はあったんだね……」

 こうして、ヘンゼルとグレーテルは赤ずきん達と一緒に料理をすることになったのでした。
 5人は帰り道を歩き、赤ずきんの家を目指します。
 次回、第2話「赤ずきんちゃんとお菓子の家」。ご期待ください。

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