ああ、赤ずきんちゃん。
第3話「赤ずきんちゃんと黄金のリンゴ」
一方その頃、とあるお城では白雪姫を追い出したお后様が、魔法の手鏡に尋ねていました。曰く、この国で1番美しいのは誰なのか、と。
お后「ああ、鏡よ鏡。この国で1番美しいのは誰だい?」
手鏡『まあ少なくともアンタじゃないなゲフォッ!?』
魔法の手鏡はお后にぶん投げられました。
お后「なんて生意気な手鏡だい! 減らず口を叩くなら、今すぐハンマーで割っちゃうからね!!」
手鏡『ハイハイ。でもお后様、確かにアンタはお美しいが、白雪姫が生きている以上この国で1番美しいのは白雪姫グハァッ!?』
魔法の手鏡はお后に叩き付けられました。
手鏡『ちゃんと原作に倣ったのに!?』
お后「そういう問題じゃないよ! 私が、私こそが国で1番の美女でないといけないんだ!!」
手鏡『じゃあ殺します? 猟師の野郎はへましたみたいだし、お后自らの手でザクッと』
お后「そうだねぇ……。よし、白雪姫の居場所を映すんだ!」
お后が命じると魔法の手鏡は、森のリンゴ園でお手伝いをしている白雪姫の姿を映し出しました。
お爺ちゃん『本当に助かるよ白雪姫。この歳じゃリンゴの手入れをするのも一苦労での〜』
白雪姫『いえいえ、これくらい当然のことですよ』
白雪姫はにっこりお爺ちゃんに微笑みます。その笑顔はまるで、白銀色に輝く一輪の白い花のようでした。
手鏡『めっちゃ可愛いですね白雪姫。でもお后が若かった頃もこれぐらい美しかったフベェッ!?』
魔法の手鏡はお后に机の角をぶつけられました。
手鏡『ちゃんとフォローしたじゃないですか!?』
お后「喧しいわ小道具風情がっ! 私は今だって若くて美しいよ!!」
手鏡『あー面倒臭いなこのご主人様』
魔法の手鏡が溜息をつくと、お后は鏡に映し出されていたリンゴ園の様子に目が行きました。
白雪姫『そういえばお爺さん。このきらきらと輝くリンゴは何ですか?』
お爺ちゃん『おー白雪姫はお目が高いねぇ。このリンゴはね、「黄金のリンゴ」って言う大層な代物だよ。このリンゴを口にした者は忽ち若返り、永遠の命を手に入れられるってんで、儂らのご先祖様はこの秘宝を守り、現代まで長〜く受け継いでいるのさ』
白雪姫『そ、そんなに凄いリンゴなんですね!』
という2人の会話が、鏡を通してお后の耳に入りました。
お后「ほう、黄金のリンゴか……」
手鏡『事実ならとんでもないお宝っすね。どうします、盗っちゃいますか?』
魔法の手鏡がお后を唆かします。リンゴ園での会話はまだ続いているようです。
白雪姫『でも、そんなに凄いリンゴならお爺さん達もお食べすれば良いのでは?』
お爺ちゃん『ん、もちろん食っとるぞ? おかげでこの歳になっても、毎日リンゴ園の世話をしてられるのさ』
白雪姫『え? しかし先程、この歳では手入れをするのも一苦労だと……』
お爺ちゃん『こ、こら! 滅多なこと言うもんじゃない!! 儂が本当は元気だって知ったら、赤ずきんがリンゴ園の手伝いをしに来なくなる可能性が……』
赤ずきん『お爺ちゃん達何話してるの〜?』
お爺ちゃん『あ、赤ずきん!? いやいや、何でもないんじゃぞ? なあ白雪姫!』
白雪姫『あ、はい! 何でもありませんよ赤ずきんさん!』
白雪姫は話を合わせることにしたようだ。
お后「うーーん……」
手鏡『どうやら、黄金のリンゴの効果は嘘じゃないようですね』
お后「……そうだね。よし、早速あのリンゴ園に行って、黄金のリンゴを私の物にしようじゃないか!!」
そう言ってお后は、口元をにやつかせます。その笑顔はまるで、闇の畔に咲く一輪の黒い薔薇のようでした。
   ***
さて、リンゴ園の前にやって来たお后は手鏡を掲げ、魔法を唱えます。
お后・手鏡『ラスカルラスカルルルルルル〜!』
そうするとあ〜ら不思議! お后は、リンゴ売りの老婆へと変身したのでした。
手鏡『……この呪文も、いい加減キツくなってきましたね。年代的に』
お后「それは私も思った。……さて、中に入ろうかね」
リンゴ売りに化けたお后は、リンゴ園の門を叩きます。すると、リンゴ園の責任者であるお爺ちゃんが出て来ました。
お后「突然の訪問すみませんお爺さん。私はしがないリンゴ売り、このリンゴ園の噂を聞きつけてやって来ました。何でも、ここのリンゴは大層素晴らしいとの事で。長年リンゴと携わって来た自分としては、是非その素晴らしいリンゴ達をお目に掛かりたいと思い……」
お爺ちゃん「それはわざわざご苦労な事で。どうぞ中へお入りください。リンゴと老いぼれと、可愛い孫しかいない所ですが……」
お爺ちゃんはそう言って、リンゴ売りに化けたお后を割とあっさりと中へ入れました。お后は内心ほくそ笑んでいます。
お爺ちゃんはお后をベンチに座らせ、「今お茶を持ってきます」と言ってその場を離れました。
お后「……さてと、黄金のリンゴはどこにあるかね」
手鏡『さっき映した光景を見た限り、屋外のどこかなのは間違いないですね。手当たり次第漁ってみますか?』
お后「漁ってみるかね。なぁに時間はたっぷりあるんだ。今日見つからなくても時間を掛ければ、いずれ隠し場所が見つかるさぁ」
そう言って、お后はベンチから腰を上げました。何せ永遠の命が手に入る秘宝、そう簡単に見つからないことは、お后も覚悟の上でした。
お后「これは、長丁場になるかもね〜」
お后はそう呟いて、黄金のリンゴをしらみ潰しに探し出します。
リンゴ園に隠されし秘宝、黄金のリンゴ。果たして、お后はその秘宝を見つけ出すことが出来るのか!?
次回、第4話「赤ずきんちゃんと古い小屋」。ご期待ください。
お后「ああ、鏡よ鏡。この国で1番美しいのは誰だい?」
手鏡『まあ少なくともアンタじゃないなゲフォッ!?』
魔法の手鏡はお后にぶん投げられました。
お后「なんて生意気な手鏡だい! 減らず口を叩くなら、今すぐハンマーで割っちゃうからね!!」
手鏡『ハイハイ。でもお后様、確かにアンタはお美しいが、白雪姫が生きている以上この国で1番美しいのは白雪姫グハァッ!?』
魔法の手鏡はお后に叩き付けられました。
手鏡『ちゃんと原作に倣ったのに!?』
お后「そういう問題じゃないよ! 私が、私こそが国で1番の美女でないといけないんだ!!」
手鏡『じゃあ殺します? 猟師の野郎はへましたみたいだし、お后自らの手でザクッと』
お后「そうだねぇ……。よし、白雪姫の居場所を映すんだ!」
お后が命じると魔法の手鏡は、森のリンゴ園でお手伝いをしている白雪姫の姿を映し出しました。
お爺ちゃん『本当に助かるよ白雪姫。この歳じゃリンゴの手入れをするのも一苦労での〜』
白雪姫『いえいえ、これくらい当然のことですよ』
白雪姫はにっこりお爺ちゃんに微笑みます。その笑顔はまるで、白銀色に輝く一輪の白い花のようでした。
手鏡『めっちゃ可愛いですね白雪姫。でもお后が若かった頃もこれぐらい美しかったフベェッ!?』
魔法の手鏡はお后に机の角をぶつけられました。
手鏡『ちゃんとフォローしたじゃないですか!?』
お后「喧しいわ小道具風情がっ! 私は今だって若くて美しいよ!!」
手鏡『あー面倒臭いなこのご主人様』
魔法の手鏡が溜息をつくと、お后は鏡に映し出されていたリンゴ園の様子に目が行きました。
白雪姫『そういえばお爺さん。このきらきらと輝くリンゴは何ですか?』
お爺ちゃん『おー白雪姫はお目が高いねぇ。このリンゴはね、「黄金のリンゴ」って言う大層な代物だよ。このリンゴを口にした者は忽ち若返り、永遠の命を手に入れられるってんで、儂らのご先祖様はこの秘宝を守り、現代まで長〜く受け継いでいるのさ』
白雪姫『そ、そんなに凄いリンゴなんですね!』
という2人の会話が、鏡を通してお后の耳に入りました。
お后「ほう、黄金のリンゴか……」
手鏡『事実ならとんでもないお宝っすね。どうします、盗っちゃいますか?』
魔法の手鏡がお后を唆かします。リンゴ園での会話はまだ続いているようです。
白雪姫『でも、そんなに凄いリンゴならお爺さん達もお食べすれば良いのでは?』
お爺ちゃん『ん、もちろん食っとるぞ? おかげでこの歳になっても、毎日リンゴ園の世話をしてられるのさ』
白雪姫『え? しかし先程、この歳では手入れをするのも一苦労だと……』
お爺ちゃん『こ、こら! 滅多なこと言うもんじゃない!! 儂が本当は元気だって知ったら、赤ずきんがリンゴ園の手伝いをしに来なくなる可能性が……』
赤ずきん『お爺ちゃん達何話してるの〜?』
お爺ちゃん『あ、赤ずきん!? いやいや、何でもないんじゃぞ? なあ白雪姫!』
白雪姫『あ、はい! 何でもありませんよ赤ずきんさん!』
白雪姫は話を合わせることにしたようだ。
お后「うーーん……」
手鏡『どうやら、黄金のリンゴの効果は嘘じゃないようですね』
お后「……そうだね。よし、早速あのリンゴ園に行って、黄金のリンゴを私の物にしようじゃないか!!」
そう言ってお后は、口元をにやつかせます。その笑顔はまるで、闇の畔に咲く一輪の黒い薔薇のようでした。
   ***
さて、リンゴ園の前にやって来たお后は手鏡を掲げ、魔法を唱えます。
お后・手鏡『ラスカルラスカルルルルルル〜!』
そうするとあ〜ら不思議! お后は、リンゴ売りの老婆へと変身したのでした。
手鏡『……この呪文も、いい加減キツくなってきましたね。年代的に』
お后「それは私も思った。……さて、中に入ろうかね」
リンゴ売りに化けたお后は、リンゴ園の門を叩きます。すると、リンゴ園の責任者であるお爺ちゃんが出て来ました。
お后「突然の訪問すみませんお爺さん。私はしがないリンゴ売り、このリンゴ園の噂を聞きつけてやって来ました。何でも、ここのリンゴは大層素晴らしいとの事で。長年リンゴと携わって来た自分としては、是非その素晴らしいリンゴ達をお目に掛かりたいと思い……」
お爺ちゃん「それはわざわざご苦労な事で。どうぞ中へお入りください。リンゴと老いぼれと、可愛い孫しかいない所ですが……」
お爺ちゃんはそう言って、リンゴ売りに化けたお后を割とあっさりと中へ入れました。お后は内心ほくそ笑んでいます。
お爺ちゃんはお后をベンチに座らせ、「今お茶を持ってきます」と言ってその場を離れました。
お后「……さてと、黄金のリンゴはどこにあるかね」
手鏡『さっき映した光景を見た限り、屋外のどこかなのは間違いないですね。手当たり次第漁ってみますか?』
お后「漁ってみるかね。なぁに時間はたっぷりあるんだ。今日見つからなくても時間を掛ければ、いずれ隠し場所が見つかるさぁ」
そう言って、お后はベンチから腰を上げました。何せ永遠の命が手に入る秘宝、そう簡単に見つからないことは、お后も覚悟の上でした。
お后「これは、長丁場になるかもね〜」
お后はそう呟いて、黄金のリンゴをしらみ潰しに探し出します。
リンゴ園に隠されし秘宝、黄金のリンゴ。果たして、お后はその秘宝を見つけ出すことが出来るのか!?
次回、第4話「赤ずきんちゃんと古い小屋」。ご期待ください。
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