ああ、赤ずきんちゃん。
第1話「赤ずきんちゃんと白雪姫」
昔々のある森に、それはそれは可愛らしい少女が歩いてたそうな。しかしその少女は『赤ずきん』などという金髪碧眼あざとい系ロリではありません。
彼女は、肌は雪のように白く、唇は血のように赤く、髪は黒壇のように黒い、清楚で可憐なそれはそれは美しい少女でした。名は『白雪姫』と言います。
あまりに美しかった白雪姫は、お后の怒りに触れ城を追い出されてしまいます。猟師の温情で何とか命だけは奪われずに済んだ白雪姫ですが、これからはこの森で、1人で生きていかなければなりません。
白雪姫はそう思うと急に悲しくなってしまい、目元から大粒の涙を流し始めました。
狩人「ギャッハハハハ!! 安心しろよ白雪姫。そういう事ならこの俺が、君の面倒を一生見てやるからさぁ〜!!」
白雪姫「きゃあっ!」
そこへ突然、空気も読まずに現れたのは狩人でした。王国最強の騎士団の元メンバーでありながら、強制わいせつ罪で国を追われ、狩人へと転職したこの男。彼は森に迷い込んだ美しい少女を発見して、舌舐めずりをしています。
白雪姫「な、何なんですか貴方! 近づかないでくださいっ!」
狩人「ゲッヘッヘ! その怯えた表情が唆るねぇ〜」
突如目の前に現れた変質者に怯え、白雪姫はその場を一歩二歩後ずさります。しかしすぐに追い詰められ、狩人との距離はどんどん狭まっていきます。
もう駄目だ。そう思った白雪姫は、恐怖から目をそらすように、ぎゅっとまぶたを閉じました。
……すると、
狩人「グアァッ!!」
白雪姫「……え?」
その瞬間、白雪姫の耳に狩人の悲鳴が聞こえてきたかと思うと、その後バタリッと何かが倒れる音が響いてきました。
白雪姫は、恐る恐る目を開けて見ます。そこには、赤い頭巾を被った可愛らしい少女が立っていました。
赤ずきん「まったくこのおじさんは、女の子と見ればすーぐ襲っちゃうんだから。ねえ貴女、怪我はないかしら?」
白雪姫「え、ええ」
白雪姫は何が起きたのか分からず、呆気にとられています。只、この少女が自分を助けてくれた、という事は分かりました。
赤ずきん「ほっ、どうやら無事みたいね。森を散歩してたら突然暴漢に襲われている女の子を見つけて、私もビックリしちゃたわ」
白雪姫「……」
赤ずきん「あ、私は赤ずきん。チャームポイントは、リンゴみたいに真っ赤なお気に入りの頭巾! 貴女は、何てお名前なの?」
白雪姫「し、白雪姫と、言います……」
赤ずきん「チャームポイントは、その雪のように白い肌かしら? それとも、黒檀のように黒いその髪かしら?」
白雪姫「そ、そういうのは特に……」
赤ずきん「いや〜でもすっごく可愛い女の子だなぁ〜! 可愛いな〜可愛いな〜!」
白雪姫「あっ、ちょっと!」
赤ずきんは、白雪姫をぬいぐるみを抱きしめるかのようにハグしました。白雪姫はそれに驚き、目を丸くしています。
そうやってしばらく2人が触れ合っていると、赤ずきんは白雪姫を見つめ出します。
赤ずきん「……そういえば白雪姫。貴女どこから来たの?」
白雪姫「あ、私はその、家を追い出されて……」
赤ずきん「ああなるほど、迷子になっちゃったのね」
白雪姫「いや、迷子ではなくて……」
赤ずきん「でも帰る場所がないんでしょ?」
赤ずきんがそう尋ねると、白雪姫は少し俯いてコクリと頷きました。
赤ずきんはにっこり笑って言います。
赤ずきん「それなら、私のおうちに来なさい。もし住む家もないのなら、私がママに頼んでしばらく住まわせてあげるから」
白雪姫「ほ、本当ですか!?」
赤ずきん「赤ずきん、嘘つかない!」
赤ずきんが朗らかに笑います。白雪姫は、ほっと安堵しました。
白雪姫「良かった。住む場所も無くて本当に困っていたんです。……貴女は、とても良い人なんですね」
赤ずきん「そんなぁ、大した事じゃないよ〜♪」
赤ずきんは謙遜しますが、照れたような顔で満面の笑顔を浮かべています。
白雪姫は、赤ずきんのその顔が何だかおかしくて、自分もクスリと笑います。この森に来て、彼女が始めて見せた笑顔でした。
赤ずきん「あ、じゃあ。しばらく家に住むことになるだろうし、せっかくだから私達、友達にならない?」
白雪姫「友達……ですか?」
赤ずきん「うん、友達! 私、こんな森育ちだから、同い年の女友達って居ないんだぁ。だから白雪姫と友達になれたら、嬉しいなぁって思ったんだけど。……その、嫌かな?」
赤ずきんは、上目遣いで白雪姫に尋ねました。
白雪姫は、そんな愛らしい少女に微笑んで答えます。
白雪姫「私も、貴女とお友達になりたいと思っていました。これからよろしくお願いします、赤ずきんさん」
赤ずきん「やったー! それじゃあ早速家に案内するね」
白雪姫「……それは良いのですが、あそこで倒れている男性はどうしましょう?」
狩人「」
赤ずきん「ああ、大丈夫大丈夫。そのうち勝手に目が覚めるだろうから」
白雪姫「そう、何ですか?」
赤ずきん「まあこの森じゃ珍しい事じゃないから驚くほどのものじゃないよ。さっ、行こう!」
赤ずきんは白雪姫の手を握り、彼女を連れて家に向かいます。幼い少女の手に導かれながら、白雪姫はその手をじっと見つめて、嬉しそうに頬を紅潮させました。
次回、第2話「赤ずきんちゃんの遊び方」。ご期待ください。
彼女は、肌は雪のように白く、唇は血のように赤く、髪は黒壇のように黒い、清楚で可憐なそれはそれは美しい少女でした。名は『白雪姫』と言います。
あまりに美しかった白雪姫は、お后の怒りに触れ城を追い出されてしまいます。猟師の温情で何とか命だけは奪われずに済んだ白雪姫ですが、これからはこの森で、1人で生きていかなければなりません。
白雪姫はそう思うと急に悲しくなってしまい、目元から大粒の涙を流し始めました。
狩人「ギャッハハハハ!! 安心しろよ白雪姫。そういう事ならこの俺が、君の面倒を一生見てやるからさぁ〜!!」
白雪姫「きゃあっ!」
そこへ突然、空気も読まずに現れたのは狩人でした。王国最強の騎士団の元メンバーでありながら、強制わいせつ罪で国を追われ、狩人へと転職したこの男。彼は森に迷い込んだ美しい少女を発見して、舌舐めずりをしています。
白雪姫「な、何なんですか貴方! 近づかないでくださいっ!」
狩人「ゲッヘッヘ! その怯えた表情が唆るねぇ〜」
突如目の前に現れた変質者に怯え、白雪姫はその場を一歩二歩後ずさります。しかしすぐに追い詰められ、狩人との距離はどんどん狭まっていきます。
もう駄目だ。そう思った白雪姫は、恐怖から目をそらすように、ぎゅっとまぶたを閉じました。
……すると、
狩人「グアァッ!!」
白雪姫「……え?」
その瞬間、白雪姫の耳に狩人の悲鳴が聞こえてきたかと思うと、その後バタリッと何かが倒れる音が響いてきました。
白雪姫は、恐る恐る目を開けて見ます。そこには、赤い頭巾を被った可愛らしい少女が立っていました。
赤ずきん「まったくこのおじさんは、女の子と見ればすーぐ襲っちゃうんだから。ねえ貴女、怪我はないかしら?」
白雪姫「え、ええ」
白雪姫は何が起きたのか分からず、呆気にとられています。只、この少女が自分を助けてくれた、という事は分かりました。
赤ずきん「ほっ、どうやら無事みたいね。森を散歩してたら突然暴漢に襲われている女の子を見つけて、私もビックリしちゃたわ」
白雪姫「……」
赤ずきん「あ、私は赤ずきん。チャームポイントは、リンゴみたいに真っ赤なお気に入りの頭巾! 貴女は、何てお名前なの?」
白雪姫「し、白雪姫と、言います……」
赤ずきん「チャームポイントは、その雪のように白い肌かしら? それとも、黒檀のように黒いその髪かしら?」
白雪姫「そ、そういうのは特に……」
赤ずきん「いや〜でもすっごく可愛い女の子だなぁ〜! 可愛いな〜可愛いな〜!」
白雪姫「あっ、ちょっと!」
赤ずきんは、白雪姫をぬいぐるみを抱きしめるかのようにハグしました。白雪姫はそれに驚き、目を丸くしています。
そうやってしばらく2人が触れ合っていると、赤ずきんは白雪姫を見つめ出します。
赤ずきん「……そういえば白雪姫。貴女どこから来たの?」
白雪姫「あ、私はその、家を追い出されて……」
赤ずきん「ああなるほど、迷子になっちゃったのね」
白雪姫「いや、迷子ではなくて……」
赤ずきん「でも帰る場所がないんでしょ?」
赤ずきんがそう尋ねると、白雪姫は少し俯いてコクリと頷きました。
赤ずきんはにっこり笑って言います。
赤ずきん「それなら、私のおうちに来なさい。もし住む家もないのなら、私がママに頼んでしばらく住まわせてあげるから」
白雪姫「ほ、本当ですか!?」
赤ずきん「赤ずきん、嘘つかない!」
赤ずきんが朗らかに笑います。白雪姫は、ほっと安堵しました。
白雪姫「良かった。住む場所も無くて本当に困っていたんです。……貴女は、とても良い人なんですね」
赤ずきん「そんなぁ、大した事じゃないよ〜♪」
赤ずきんは謙遜しますが、照れたような顔で満面の笑顔を浮かべています。
白雪姫は、赤ずきんのその顔が何だかおかしくて、自分もクスリと笑います。この森に来て、彼女が始めて見せた笑顔でした。
赤ずきん「あ、じゃあ。しばらく家に住むことになるだろうし、せっかくだから私達、友達にならない?」
白雪姫「友達……ですか?」
赤ずきん「うん、友達! 私、こんな森育ちだから、同い年の女友達って居ないんだぁ。だから白雪姫と友達になれたら、嬉しいなぁって思ったんだけど。……その、嫌かな?」
赤ずきんは、上目遣いで白雪姫に尋ねました。
白雪姫は、そんな愛らしい少女に微笑んで答えます。
白雪姫「私も、貴女とお友達になりたいと思っていました。これからよろしくお願いします、赤ずきんさん」
赤ずきん「やったー! それじゃあ早速家に案内するね」
白雪姫「……それは良いのですが、あそこで倒れている男性はどうしましょう?」
狩人「」
赤ずきん「ああ、大丈夫大丈夫。そのうち勝手に目が覚めるだろうから」
白雪姫「そう、何ですか?」
赤ずきん「まあこの森じゃ珍しい事じゃないから驚くほどのものじゃないよ。さっ、行こう!」
赤ずきんは白雪姫の手を握り、彼女を連れて家に向かいます。幼い少女の手に導かれながら、白雪姫はその手をじっと見つめて、嬉しそうに頬を紅潮させました。
次回、第2話「赤ずきんちゃんの遊び方」。ご期待ください。
「ああ、赤ずきんちゃん。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
3万
-
4.9万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
164
-
253
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
614
-
221
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
614
-
1,144
-
-
1,301
-
8,782
-
-
86
-
288
-
-
14
-
8
-
-
42
-
14
-
-
62
-
89
-
-
218
-
165
-
-
220
-
516
-
-
51
-
163
-
-
23
-
3
-
-
89
-
139
-
-
1,658
-
2,771
-
-
183
-
157
-
-
1,391
-
1,159
-
-
3,548
-
5,228
-
-
408
-
439
-
-
62
-
89
-
-
42
-
52
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
7,474
-
1.5万
コメント