公爵令嬢は結婚したくない!
揺れる気持ち(2)
「本当に、私はどうしたらいいの? スペンサーは、私をどう思っているの?」
彼が、私を大事にしてくれているのか最近、分からなくなってきた。
どうして、きちんと言ってくれないのかな……。
――コンコン
「――ん?」
何時の間にか寝てしまっていたのか、部屋の扉を叩く音で私は目を開ける。
最近は、寝ても寝ても寝足りない。
「はい」
「エリンです。王宮の主治医をお連れしました」
「そう。わかったわ」
扉が開き入ってきたのは、60歳くらいの白いサンタクロースのような白髭を生やした男性。
「エリン。王宮の主治医様なんて、私の為に連れてきて大丈夫なの?」
街の人を診る医者でもよかったのに、よく王宮が許可したものだと思ってしまうけど……。
「スペンサー様には、すでに報告してありますので」
「スペンサーに?」
「はい。ここ2週間ほどユウティーシア様の体調がそぐわない事は報告してあります。心配しておられましたので大公フィンデル様の意向もあり王宮からは、かなり前から許可が下りていました」
「そう……」
そういえば、以前から何度か医者に診てもらってはどうですか? と、エリンさんに言われていた気がする。
――でも、私の体は基本的に、この世界の人間とは構成は違ったはずだから、そこまで気にすることは無かった。
今日は、偶々(たまたま)、診てもらう事になってしまったけど……。
「ユウティーシア様。お初にお目にかかります。アルドーラ公国王宮筆頭主治医をしておりますエルアルドと申します」
「ユウティーシア・フォン・シュトロハイムです。よろしくお願いします」
「それでは診察をさせて頂きます」
聴診器などを取り出し作業を開始する医者を見ながら私は一貫性の物だと思いつつ内心ため息をついた。
それから、幾つかの診察を行い――。
小一時間後……。
「どうでしょうか?」
「ふむ……、それで最近は――」
「はい」
ここ最近、殆どきていない。
精神的な物だと思っていたけれど……、難しそうな医者の表情から見るにそうでもない気がする。
「その――、なんですかな……」
「何でしょうか?」
何か不味い病気にでも掛かっているのだろうか?
「ご懐妊されております」
「――え?」
私は、首を傾げる。
言われた言葉の意味が一瞬、理解できなかったから……。
「おめでとうございます。お子様を授かられております」
その言葉に、一瞬――、ルガードの顔が思い浮かぶ。
けれど、すぐに主治医であるエルアルドさんは、「それと――、体内の魔力の反応からして間違いなくアルドーラ王家の血筋を引かれている御子です」と、ルガードの事を否定してきた。
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