公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

暗躍する海賊の末裔(9)

 私はそっと扉を閉めたあと、木の階段に座っているレイルさんのところへと走って近づき「レイルえもーん!」と言いながら近づいた。

「なんだ? その、レイルえもーんって。うまくエメラス王女とは話が出来たのか?」

 私はレイルさんの言葉に頭を振る。

「なんだ? うまく話せなかったのか?」

 レイルさんの言葉に、私はコクリと頷く。

「で、何か問題でもあったのか?」
「実は……決闘になりました!」
「お前は、馬鹿なのか?」
「……あふっ――」

 私は、レイルさんの「馬鹿なのか?」という言葉にその場に跪く。

「だって……だって……仕方ないじゃないですか……。私に、誰かを納得させるような、そんな交渉な話を期待されても困るんですけど……」

 だって、今は女の体だけど、元は日本でサラリーマンをしていた男性であって、女性同士の話の仕方とか駆け引きとか良く分からないし……一応、貴族の時代に帝王学とか習ったけど、結婚したくなかったから、まずは国を富みさせることを主軸に動いていたこともあり殆ど覚えてなかったりする。

 あれ? もしかして……。
 私、貴族だったのに貴族としての知識がまったく身についてなかったり?
 ……ま、まぁ……この際、それは横においておくとしましょう。

「はぁー……。どうするんだ? さすがに海洋国家ルグニカの王族に怪我をさせたら問題だろう?」
「……そうなんですよね」

 ただでさえ、孤立無縁状態なのに王族に怪我をさせたら、また文句を言われそうというか、確実にそれを口実に海洋国家ルグニカが攻めてきそう。
 そうなると……相手も国としてのプライドとか意地とか体裁があるわけで全力で昼夜問わず大軍で攻めて――!?

「レイルさん、私! 思ったんですけど!」
「何かいい案でも浮かんだのか?」
「はい!」 

 とってもいい案が浮かんでしまった。
 中途半端に纏まってるからいけないのだ!
 つまり! 全力全開で総督府スメラギを落とせば、もしくは王族に手を出せば国が威信を掛けて兵隊を差し向けてくる可能性が非常に高い!
 それはつまり! 補給物資や報償などを持っている可能性があるわけで……。

「エメラス王女と決闘して、ボコボコにしたら国の威信を掛けて攻めてきますよね! そこを――」
「いや、駄目だろう? お前がその兵士を殲滅したら、帝政国の海軍が首都ルグニカを攻めてくるだろう。そしたら内乱に突入だぞ?」
「……いい案だと思ったんですけど……」

 私の言葉にレイルさんは、深く溜息をつくと。

「とりあえずだ。決闘は、何とかうまく対応しろ。そうしないと大変なことになるぞ?」
「――あ、はい……」
「それとだ、どうしても何とかしたいなら……」
「どうしても、何とかしたいなら?」
「王位簒奪レースで優勝するのが手っ取り早い」
「王位簒奪レース……」

 レイルさんの言葉を復唱しながら、どこかで聞いたことがある言葉だなーと思っていると、ふと思い出す。
 たしか、リースノット王国の女子寮にいた時に「王位簒奪レースが近いよね!」という話を聞いた気がする。
 でも内容までは聞いてないから覚えてないけど……。

「それで、その王位簒奪レースというのは、どう言ったものなんですか?」
「ああ、王位簒奪レースってのは、金さえ払って船が用意できるなら誰でも参加できる国を上げての行事だが、基本は8つ存在する海賊を祖に持つ総督の人間しか出てない」
「え? お金を払えば誰でも出られるんですよね?」
「そのお金と船が用意できないんだよ。他の総督府の人間は軍艦を持ち出してくるんだぞ? しかもレース中は妨害してもいい事になっているんだ。つまり……」
「撃墜しても良いということですか?」

 レイルさんの話を引き継ぐように話した私の言葉に彼は頷く。
 つまり、それは……実質的な出来レースに近い。

「なんか、色々と問題がありそうですね……。それに、最近思っていたのですけど、スメラギってかなり権力を持っていますよね?」
「ああ、海洋国家ルグニカは、昔から中央からの指示は受けない形になっているからな」
「そうですか……」

 つまり、海洋国家ルグニカは地方の独立採算制の運営をしていて中央集権政治をとっていないことになる。
 つまり国王になっても、それは国の顔であり地方には干渉は限られており影響力が限りなく低く抑えられてるということ。
 それって、本当に総督府だけの人間だけで国王の持ち回りを繰り返しているだけの物に過ぎないんじゃ……。

「少し、考える必要がありますね」



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