公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

暗躍する海賊の末裔(4)

「えーと、これは……」

 私は港の倉庫を見て思わず呟いてしまう。
 私が見てる前で妖精さんは、仲間が空間転送してきた小麦の成れの果てと言ったらあれだけど……粉々になった全粒粉状態の小麦などを袋に入れてせっせと積み重ねている。

 私は、妖精さんが必死に仕事をしてる場面を見ながら数を数える。
 1匹、2匹……100匹……。
 たくさんいた。
 見渡す限りブラウニーさんだらけ。
 どれだけ妖精さんは白色魔宝石が好物なのかと思ってしまうくらいたくさん働いている。

「なんというか……ブラック企業な職場ですよね?」
「お前が何を指して何を言っているのか俺には分からないが、あまりいい意味合いの言葉ではないんだろう?」
「あははっ」

 私は苦笑いをすることしかできない。
 ちなみに、倉庫を管理している人の数は20人少しと、ブラウニーさんに指示を出して仕事をさせている感じ。
 なんというか……。
 手のひらサイズのブラウニーさんを少し酷使しすぎじゃないかな? とか思ったり。

「まぁ、お前が直接使うよりはマシだからいいと思うがな」
「ええ? どういうことですか?」

 レイルさんの言い方だと、私の方が妖精さんの扱いが酷いように聞こえてしまいます。

「お前、自覚がないのか――」
「自覚といいますと?」
「はぁ……。本当、お前は良く分からないやつだな。それよりも孤児院の子ども達に会いに行かなくていいのか?」
「――それは……」

 孤児院の子ども達が、きちんと生活しているかとっても気になる。
 気になるけど……。
 もう、立場的に私が関わっていい事じゃない。
 だって、私を狙ってくる人がいたら必ず戦う力が無い人を狙ってくる。
 だから……。

「いいんです」
「そうか……。子ども達はお前に会いたがっていると聞いたけどな?」
「……そうですか――」

 レイルさんの言葉に私は、そう答えるしか出来ない。
 誰が、どこで聞いているのか分からないから。
 だから、子ども達の住んでいる場所は、商工会議で借り入れてミトンの町に居た孤児も入れるように手配したし建物には建築ギルドへ手配をかけて増築と回収を行い子供がいる女性を雇って孤児院で働いてもらっている。

 夜中に一度だけ見に行った事があるけど、建物は綺麗になっていた。
 私が干渉できるのは、そこまで。
 それ以上は駄目。

「頑固というか融通がきかないというか、聞いていたとおりだな」
「え?」

 私は思わずレイルさんのほうへ顔を向ける。
 ただ、彼は私と視線が合うとすぐに目線を逸らしてしまう。
 今、彼は何て……?
 もしかして、もう一人の私から話を? でも、その可能性は低いはず……。
 なら、誰から私のことを?

「レイルさん、一つお聞きしたいことが……「レイル隊長! 総督府スメラギの兵隊達が東門に近づいてきています!」――え?」
「なんだと?」

 レイルさんに問いただそうとしたところで、一人の兵士が走って近づくと考えを中断させるかのように大声で報告をしてきた。
 息が荒い。
 きっと、私達を探して町中を探しまわっていたのかも知れない。

「カル、敵の数は?」
「敵の数は4000ほど――。少し前に伝令があり……」
「時間がないな。ティア、どうする?」
「どうするも何も……」

 相手側が葱を背中に背負ってきてくれたのですから――。

「きちんと稼がせてもらう方向でいきましょう!」
「戦うの前提なんだな?」
「戦う? そんなことはしません! 鎧とか武器とか兵糧を進呈してもらうだけです!」
「……そ、そうか――」

 さあ、お仕事の時間です!



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