公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

真心を込めて交渉をしましょう

「ブラウニーさん、貴方には重要なお仕事をあげますね」

 私は下で起きている騒動を聞きながらブラウニーさんに話しかける。

「分かったでち……」

 基本的にブラウニーさんは、お家内の以外の仕事はしたくない傾向にあり、お家以外の仕事を頼むと断ったりやる気をなくしてボイコットしたりする。
 それはお家の妖精と言われているからだと私は思っていたけど、ある日が気がついた。
 それは、ちんとした対価を払わないからだと!
 昔、日本でも主婦の年収は1000万円と言ってる人達がいた。
 なら年収1000万貰ったらプロ並みの仕事をするんですか? と私は動画サイトで突っ込んだら、それは無理だと言われたことがあった。
 つまり何が言いたいかと言うと良く分かりませんね。 

 さて! 気を取り直して私は、ブラウニーさんを手の平の上に乗せたまま、自分の部屋に入る。
 そして完成していた手紙を机の中から取り出す。

 取り出した手紙の封蝋を剥がしてから手紙に「ブラウニーさんが持っていくので、よろしくお願いします。信じなかったら町がきちゃうぞ!」と追記してから手紙を封筒の中に入れて蝋で封をしてから、ブラウニーさんの方へ視線を向ける。
 するとブラウニーさんが背中の羽根を動かしながら逃げようとしていた。
 私はすかさず、ブラウニーさんの頭を掴んで少しだけ力を入れる。

 すると、手足をバタバタするとクタッと力が抜けて泡を吹いて気絶してしまった。

「あらあら……」

 私は一人呟きながら空中に魔法陣を描いていき詠唱と2段構えで魔力を制御し、ブラウニーさんが渡してくれた木のコップの中に水を注ぐ。

 そして気絶しているブラウニーさんの両足を持って逆さまにすると顔から水につけた。
 ぷくぷくとしばらく息を吐いたと思うと「死ぬでち! 死ぬでち!」と、意識を回復させて騒いでいる。
 私はそれを見て「うん。これだけ元気なら大丈夫かな?」と微笑みかけると、体を震わせながら「離してほしいでち!」と、言って来たので離してあげる。

「ブラウニーさん、よく聞いてくださいね! 約束を途中で破るとペナルティで木のカップの水を頭から飲む刑を執行しないといけません。ですけど、隣国のアルドーラ公国のスペンサー王子に、手紙を届けてくれるのでしたら、これをあげましょう」

 私は、引き出しから白色魔宝石を取り出して、ブラウニーさんに見せる。
 するとブラウニーさんは光に寄ってきた虫のように白色魔宝石に抱き着いて頬ずりを始めてしまう。
 ふふっ――。

「ブラウニーさん、きちんとお手紙を届けてくれれば、この白色魔宝石が一個まるごと妖精さんの物になるんです、どうですか? お手紙を持っていきますか?」

 私の巧みな交渉により、手紙を持っていくのはメンドクサイけど、白色魔宝石はほしいというジレンマにブラウニーさんは陥っている模様。

 顔を左右に動かして、どうしよう、どうしようという感じが伝わってくる。
 ふふっふ。
 ここは駄目押し行きますか?
 私は、白色魔宝石を少しだけ削り――。

「ブラウニーさん、アーンしてくださいね」
「でち?」

 首を傾げてきたブラウニーさんの小さなお口に人さし指を突っ込む。
 反射的に私の人差し指についた白色魔宝石の粉を舐めてしまったブラウニーさんは、「ほにゃらあらら」と言いながら腰が砕けたように座り込んで水を流している。

「どうですか? 少し舐めただけでもいい感じですよね? やりますよね? やってくれますよね? 届けてくれますよね?」
「もう少しだけくださいでち! もうすこし! 少しだけ! さきっちょだけでいいでち!」

 私は手を伸ばしてきたブラウに―さんの手を払いのける。

「この白色魔宝石が欲しいのでしたら、手紙を届けてください。届けてくれるなら――」
「するでち! 届けるでち! 死んでも届けるでち!」

 私はブラウニーさんの首に手紙を入れたお手製のきんちゃく袋を結ぶ。

「それじゃお仕事が終わったら上げますから、スペンサー王子からきちんと返事をもらってきてくださいね」

「わかったでち!」

 私の誠心誠意の説得に感激したのか眼の色を変えて仕事に従順になってしまったブラウニーさんは、お手紙を首にかけたままアルドーラ公国へ向かってしまった。

「うーん。少しやりすぎた感がありますね。戻ってきたら解毒薬を調合は……無理なのでゆっくりと静養してもらう事にしましょう」

 さて、それでは1階の喧騒を何とかするとしましょうか。





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