公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

何とかしないと!

「お姉ちゃんが怪我を直している人なの?」

 女の子が首を傾げながら私に尋ねてくる。
 私は――。

「うーんと、私は通りすがっただけの魔法師かな?」

 たぶん、私の演説を女の子や病気をしていたのなら、そのお姉ちゃんも見てないはず。
 なら正体を無理に明かす必要は……って!? 名前教えちゃてるよ!
 だ、大丈夫……。
 ちょっと回復魔法で直して戻るだけだし。

「魔法師さんって魔法が使える人?」
「そうね」
「お金は取らない? お金ないよ?」
「大丈夫よ。お金は取らないから……だから案内してくれるかな?」

 私の言葉を聞いた女の子は周囲にいる同じくらいの年齢の子供達と見た後に頷いて「うん! それじゃついてきて!」と、言って来た。
 子供達の後を私はついていく。
 夜の帳の中では、分からなかったけど光の魔法である明かりでおぼろげながらも子供達の手足を見て、子供達の話しを聞いて大体の事を理解した。

 子供達について行って到つした建物は、とても人が住んでいるような建物には見えない。

「ここだからついてきて!」 

 私は、頷くと子供達が入っていった建物に足を踏み入れる。
 すると嗅いだ事の無い匂いが建物内には充満していた。
 空間上の魔法陣を描き、詠唱を行い外の大気と建物内の大気を循環させる事で私は建物内の匂いを薄める。

 この匂いは……間違いない。

 私は、子供達が入っていった部屋に足を踏み入れる。
 そこには下は3歳、上は9歳までの女の子が10人ほど床の上に直接、寝かされていた。
 その中でも一番、年長だと思われる20歳近くの女性の傍に子供達は集まっている。
 私は女性のそばに近づき、傍らに座る。
 そして光の魔法を強くして室内を照らして息を呑んだ。

「お姉ちゃん、助かるよね?」

 子供に問われて私は何と答えていいか迷ってしまう。
 目の前の女性はすでに――。

「ごめんなさい、もう彼女はすでに死んでいるわ……」

 すると私の裾を、案内してきた子供が掴んできた。
 そして私を見上げると「どうして? 魔法師は何でも出来るんだよね? お願い」と、泣きじゃくりながら私に懇願してきたけど、魔法は万能ではない。
 死んだ人間を生き返らせる事なんて出来ない。

 女性を助ける事は出来なかったけど、他の子供達を全員、助けることは出来た。
 死んでいた人の傍で生活をしていたから、子供達は病気にかかっており女性の体を土に埋めた後に私は建物内の清掃をしてから一日に一回来る事を伝え宿に戻った。



「昨日はよく眠れたのか?」

 部屋に入ってきたレイルさんが私に話しかけてきた。
 私は部屋の外を見ながら。

「レイルさん、町の有力者が居なくなったと仰っていられましたが、そのポストには必ず後釜として誰かが着いていますよね?」
「その者と交渉を?」

 私は振りむいてレイルさんの顔を見る。

「はい、レイルさんはこの町の方なんですよね?」
「そうだが……何か企んでいるなら手伝いはしないぞ?」 
「分かっています。町の治安や経済、衛生面を保つことは私がこの町に居る事で必要な事だと思いますが? 身を寄せる場所の安全が保たれるのは何も兵士に私の護衛をしてもらう事に限りませんから」
「何を言っている?」
「簡単に言えば、私が逗留している間は町の運営を私が行おうと考えております。経済が発展し雇用が安定すれば犯罪発生率は下がりますから。ですから、後釜についた方を連れてきて頂けますか? コレはお願いではなく命令です。あくまでも私の安全を保つためだけですから」

 毎日、あの子達の元に行っても20人近い子供を私一人で見ることなんて不可能。
 なら町のトップに立って孤児院を作った方がいい。
 でも、本来は守らないといけない子供達があんな境遇に立たされていると言う事は、海洋国家ルグニカには、その余裕が――大人達には余裕がないのかもしれない。
 エイリカ村では、感じた事は無かったけど。
 ある程度、大きな町や都市に貧しい農村部は普通なのかもしれない。
 だから、誰も気に止めてないのかも。

 そんな状態で子供達だけを助けたら絶対に不平不満を言い出す人がいる。
 だから経済発展と共に雇用の促進と共にやらないといけない。

「分かった……」

 私が追加で何も言わないことを確認するとレイルさんは部屋から出ていく。
 レイルさんが部屋から出ていくのを確認した後、私は引き出しを開ける。
 そこには、私が作る事が出来る白色魔宝石がいくつも入っており、私はそのうち1個を取り出すと、瞼を閉じる。

 今の情勢だと、白色魔宝石を売ってお金に変えて食料を輸入した方がいいと思う。
 そう考えると隣国のアルドーラ公国のスペンサーに頼むのがいい。




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