公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

女性の社会進出!?

 パーティが終わった後に、使用人の人達の片づけを見ながら。

「ふう……」

 私は、小さく溜息をつく。
 クラウス殿下との婚約の件は、不倫? みたいな事をしてくれたおかげで上手く破断させる事は出来たけど、エイル王太子との婚約についてはどうやって断わるべきか正当性が見つからない。
 というか、私の場合はエイル王太子の事を良く知らない。
 私と同じ15歳なら貴族学院の高等部で本来なら顔合わせをしていて、ある程度は情報を知っていてもおかしくはないんだけど……私は王城に毎月仕事にいっていて、その合間にウラヌス卿との事業計画の話し合いや、貴族学院の態勢見直しを理事長として学園長と行ってきた事もあり、殆ど同学年と話をした事がない。

 まぁ、いい大人が子供たちと勉学を共にするにも変な話だし仕方無いと割り切る事は可能なんだけど、問題はその事の弊害として若者達の機微に疎いというのが、問題かもしれない。

「さて、どうしましょうか」

 一人呟きながらも答えは出ない。
 どちらにしてもエイル王太子関連の情報収集は大事だと思う。
 それに、彼を知り己を知れば百戦殆うからずともエライ人は言っていたし、貴族学院に赴いて情報収集をした方がいいでしょうね。

 私は、未だに片付けをしてくれている使用人の人達に席を外すことを伝えるとホールから出て通路を歩いて自分の部屋に向かう。
 すると、私の部屋に前にはお母様が立っていた。
 お母様は、30歳を一昨年超えたというのに銀色に輝く髪に赤い瞳とても浮世離れしたほど美しい。

「お母様? どうかなされたのですか?」

 ここ一カ月間、お母様が忙しかったのか別館に顔を出す事が無かったのに、エイル王太子が顔を見せた日に来られると裏があるとしか思えない。
 そんな私の予想を肯定するかのようにお母様は頷いてこられた。

「ええ、ティアに話があってね」

 私は、気を引き締める。
 お母様の言動がいつもよりも硬い。
 何と言うかいつもは、ふわふわしている感じなのに声の質が低いから緊張しているのが伝わってくる。

「それは――」
「そうよ、エイル王太子の件よ」
「そうですか……」

 私はお母様の言葉に答えながら部屋の扉を開けてからお母様に入室されるように促す。
 お母様がお部屋に入られた後、私も部屋に入り扉を閉める。
 すると、私お手製の大きなクッションの上で寝転んでいたルアちゃんが近づいてくる。
 私は、ルアちゃんを抱きしめながら頭を軽く撫でていると、お母様はあまりいい顔をしてこない。
 お母様は、動物があまり好きじゃないとお父様が言っていた事を思いだす。
 もしかしたら、あまり別館に来ないのもルアちゃんのせい?
 そんな事を思っているとお母様はお部屋の中のルームチェアに座ると私を見てきた。
 お母様はいつもドレスをきていて、今日は白いドレスということもありお母様の容姿と相まってとても神秘的に見える。

「ティアも座りなさい」
「はい」

 私はお母様の言葉に頷き、椅子に座ってから膝の上にルアちゃんを乗せて撫でながらお母様を見る。
 お母様は、まっすぐ私を見ながら溜息をついていた。
 一体、どうしたのか? 不思議でならない。

「ティア、貴女――もしかしてクラウス殿下の事を本当は好きなの?」
「いえ、それは……浮気する男性はちょっと――」

 あぶない、あぶない。
 思わず、「男と結婚はちょっとないですよね!」とか言いそうになってしまった。

「そう……それなら、いいのよ? その獣はクラウスさんからのプレゼントでしょう?  そんなに大事にしているところを見ると――邪推する方も居られるのよ?」

 大事って……クラウス殿下と動物はあまり関係ないのに、それを邪推するとか――。
 あれ? もしかして私ってば……外から見ると昔の異性に貰ったものを大事にしている未練たらたらな人間に見られている?

「お母様、さすがに物と動物を同列に見られるのはどうかと思われます」
「そうは言ってもね……ユウティーシア」

 お母様が私の名前をフルネームで呼んでくる。
 私の名前をフルネームで呼んでくると言う事は、ここからは真面目な話という事になる。

「今日の夜会にエイル王太子を呼んだのは、私なのよ? 貴族の子女として生まれたからには、必ず結婚をする事が大前提。貴女も数カ月で貴族学院を卒業すると言う事は、結婚する事を考えないといけないの。それは分かるわよね?」
「……分かっています――ですが……」
「ユウティーシア、一カ月前にリースノット城で何が起きたのか事の顛末は聞いているわ。ユウティーシアは浮気をする男性が嫌いなのよね?」

 仕方無く私は頷く。
 「いえ! 男の人と結婚するのが嫌なんです!」とか言えたらどれだけ楽か。
 そもそも私としては、子供は煩いというイメージがあって好きではないし。
 でも、それを言うと貴族制度を真っ向から批判する事になりかねない。
 いろいろと面倒ですね。

「それでね、貴女のために決めたのよ?」
「決めた?」

 私の言葉に、お母様が頷いてくる。
 その瞳には確固たる力が備わっているように見える。

「ええ、エイル王太子は生まれつき体が弱く貴族学院には通う事は出来なかったの。でもその代わり浮気も無いから貴女も安心して嫁ぐ事が出来るわよ? それにエイル王太子は、お身体が病弱だからこそ、貴女なら支えられるでしょう?」
「……えっと……つまり私にも国政に関わるようにと……言うことでしょうか?」
「そうなるわね。ウラヌス卿から、貴女が今まで国のために起こしてきた事業内容が、ここ一カ月の間に元老院と法衣貴族の間に周知されているから、貴女は今までの王妃と違って政務にも携わる始めての女性となるのよ?」

 お母様が力説してくるけど、それって日本でいう政治に女性が関わる感じ?
 うあーめんどくさそう。
 それよりも、結婚前提なこの世界どうにかなりませんか?
 あと問題なのが貴族学院に通って居ないと言う事は……情報が貴族学院内に無いという事になる。
 卒業まであと数カ月なのに困りものです。
 そういえば来週から課外授業ですね。
 さて、どうしましょうか。



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