公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

ドナドナされていく気分です

 さて、目の前のリースノット王国の軍隊をどうしましょうか。
 私はチラッとアルドーラ公国の騎士団の方々を見る。

 アルドーラ公国の騎士団の方々とスペンサーが、どうしたらいいか考えてるように見える。
 さて、私もどうしましょうか。

 2000人もの国境騎士団に、拘束されてない状態で見られたのが痛い。

 これでは、私が亡命を狙って動いているみたい見られてしまい実家のシュトロハイム家に迷惑がかかる。
 そうすると妹にも迷惑が、かかってしまう。

 私が如何したらいいか考えていると、騎士団の中から一人の男性が進み出てきた。
 年齢は30代後半に見える。
 髭を生やしており眉も太くいかにも男性の人という感じ。

「国境を不正に越えようとしている者に告ぐ。私は国境警備を任されている警備騎士団団長バースだ。

貴様らがユウティーシア・フォン・シュトロハイム嬢を連れているのは、魔法探査でわかっている。

ユウティーシア・フォン・シュトロハイムは、この国にとって重要な人物である。

国王陛下により貴様らが抵抗するならば、殺しても構わないと勅命を受けている。降伏をするか戦うかを選ぶがいい」
 バースの言葉にアルドーラ公国の騎士団がどうしたらいいかスペンサーを見ている。
 そしてスペンサーは、私を見たあとに目を逸らし。

「降ふ……もがもが」
 ギリギリのタイミングで私は、スペンサーが降伏という言葉を吐こうとしたのを止める事ができた。
 私はスペンサーと騎士団のメンツに聞こえる小さな声で話す事にする。

「スペンサーさん。分かっているのですか? 貴方が降伏したら私が貴方の国にいけなくなるじゃないですか? それは約束と違います。」
 私の言葉にスペンサーは――。

「いや、だって君にきてほしくな……くもないかな……」
 彼の言葉の途中で、思わず馬車の扉を手刀でぶち抜いてしまった。
 それを見た彼は、快く発言を撤回してくれた。

 私は溜息をつく。
 さて、どうしましょうか。
 これだけの騎士団の数、スペンサーと騎士達では倒して突破は無理でしょうし。
 そうなると……仕方ありませんね。

「スペンサーさん、後は私に任せてください!」
 私は、馬車から離れる。
 そして、リースノット王国国境騎士団2000人の前に立つ。

「くくくくっ」
 突然、笑いだした私に、リースノット王国国境騎士団の方々は戸惑いの表情を浮かべた。

「よく聞け! この娘の体は、アルドーラ公国の守護神たる我が貰い受けた! もはやこの娘の体は我の体。我の行く道を邪魔するならば、貴様らはここで屍を築くことになるだろう!」
 私は、左手を腰に当てながら無い胸を張り右手を前方に突き出して宣言する。
 すると……。

「バ、ばかな……アルドーラ公国の手の者が……」

「き、貴様ら! 戦争も辞さないと国王陛下は言っている。すぐにユウティーシア嬢より守護神を取り出せ!」

「なんだって? 神の器に……?」

「あんな小さな少女を……これはもう戦争だ!」

「くそ、これでは手だしが……」

 次々と聞こえてくる戸惑いの声。
 これは、上手くいきそうですね。

「仕方ない……。全員、ユウティーシア嬢だけでも死守せよ!」
 2000人の騎士団が素手で私に向かってくる。
 これは予想外。
 でも、そっちがくるなら相手をしてやりましょう。

 全力全開の生活魔法《飲み水》の魔法を発動。
 20メートルを超える津波が300人近い騎士団を押し流していく。

 そして突破口が開いた部分を、私を置いてアルドーラ公国の方々が抜けていく。
 ええ? 私、ここにいるんですけど? そんな話聞いてないんですけど?

 私が疑問に思っていると、馬車から顔を出したスペンサーが大声で叫んだ。

「ユウティーシア・フォン・シュトロハイムの体に入れた、アルドーラ公国の守護神は今解除した。後ほど、正式に謝罪をする事をアルドーラ公国第二王子スペンサーの名においてここに宣言しよう!」
 それだけ言うと馬車に乗ったスペンサーと、騎乗していたアルドーラ騎士団が走り去ってしまった。

 それを見ていた私は……。

「あ……あの……私はどうすれば……」
 一人でポツーンと、リースノット王国国境騎士団1000人以上に囲まれている私は一体どうすれば……。

「ユウティーシア・フォン・シュトロハイム様、正気に戻られましたか?」
 先ほど、バースと名乗った男が私に話しかけてくる。

「……え、ええ。助かりましたわ……」
 信じられない。
 私を置いて彼らはアルドーラ公国へ逃げてしまった。
 せっかく国から出られると思ったのに。

 突然の華麗なまでの掌返しに茫然とするしかない。

「ユウティーシア嬢は、疲れているようだ! すぐに王城へ、お連れしろ!」
 バースが私に笑顔を向けてくるけど、私は苦笑いしか出来なかった。
 こんなの、絶対おかしい。

 そして、急遽用意された馬車に私は大人しく乗せられた。
 もちろん両脇を騎士の方々がしっかりと護衛するという名目で固められており逃亡もできない。

 作戦は完ぺきだったはずなのに、どうしてこうなった?



「公爵令嬢は結婚したくない!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く