公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

ヒロインに喧嘩を売られた!

 柱の陰に隠れながら前世で鍛えたボッチスキルであるステルスモードを発動しているとクラウス様とアンネローゼが二人だけの桃色空間を作ったあとに離れた。
 そして周囲を見渡した後、注目された事に気付いたのか、アンネローゼは顔を真っ赤にして教室に戻っていってしまった。

 対してクラウス様と言えば、そのまま廊下を歩いて高等学年の学び舎へ向かっていった。
 私は、クラウス様の後ろ姿を見ながら、ため息をついた後にステルスモードを解除して柱の陰から出る。

 とたんに周囲から視線が向けられてくる。
 とくに同年代からの男の子からの視線が多い。
 前世の時は、気が付かなかったけど女性になると良く分かってしまう。

 私は周囲に微笑んだあと、背筋を伸ばしながら歩き教室に入る。
 すでに教室の中には、クラスメイト30人中のほとんどが着席してたこともあり注目されてしまった。

 私は、気にせず自分の机の椅子を引きながら着席すると鞄の中から、朝、購入したばかりの貴族学院指定の本や羽根ペン、紙を取りだす。
 授業の用意をしていたところ。

「はじめして。わたくし、アンネローゼ・フォン・メイヤーと言いますの。公爵令嬢のユウティーシア様へ挨拶に伺いましたの。よろしくお願いいたしますわ」
 突然、アンネローゼに話しかけられた。
 挨拶をされた以上、こちらも挨拶をしなければならない。
 椅子に座ったまま、アンネローゼを見上げ

「わたくしは、……「あの体に問題のあるシュトロハイム家の御令嬢ユウティーシア様ですわよね? 貴族のくせに魔力もまともに使えずウラヌス卿の所へ幼い頃から通いつめても碌な魔法一つ使えない落ちこぼれ貴族ですわよね?」……」
 と私をなじってくる。
 ……ふむ。

 こ、これはまさか……話に聞く苛めか?
 前世では、苛めに遭う前に殴り飛ばしてきたからよく知らないけれど、これはこれで新鮮ですね。
 アンネローゼは、腰の後ろに左手を当て右手は口元に持っていき体を反ってからホホホホホと勝ち誇った声を上げている。
 なんというか男爵令嬢の分際で公爵令嬢に喧嘩売るとか、こいつ正気か? と思ってしまうけど、どうしましょうか……。

「アンネローゼさん? 他人を貶める行為は、自分を貶める事にも繋がりますわよ?」
 あまり荒事になっても困るので、私はやさしく諭す事にする。
 するとアンネローゼは口元を釣り上げた。
 そこには先ほどまでの、甘い声と潤んだ瞳でクラウス様に接していた女の子の姿は存在していなかった。

「何を言っているのか、わかりませんわ。大した魔力も持たない出来そこないの貴族で、両親との中もよろしくない。社交界デビューにも連れていってもらえない。そんな方に何かを言われても困りますわ」
 アンネローゼは、赤いロングヘアーを右手で弄りながら私に語ってくる。
 私は、アンネローゼの言葉を聞き流しながら授業の用意をしていく。
 そして私の筆記用具を見たアンネローゼが、眉元を顰めた。

「――え? ……あれ? シュトロハイム家の公爵令嬢ですわよね?」
 私は、アンネローゼの言葉に頷く。
 私は、表情に出さず心の内でため息をついた。

「たしかにわたくしは、貴女の言うように魔法は苦手ですし、あまり勉強も得意ではありませんそれに家族仲も良好とは言えないでしょう。ですから、わたくしにあまり関わらないで頂けますか?」
 ただでさえ、魔法の練習や諸外国との関係に一般市民の生活を含めた勉強もしなければいけないのに……いずれ出る国の方々と接点を持つ意味はあまりない。

 とりあえず、あと6年で国の経営を安定させ私がいらない状況を作りだす事が最重要課題。
 アンネローゼの登場によりクラウス様の目は、私よりも彼女に向かってる事から上手くすれば婚約破棄をしてくれる可能性はあると思うけど、その状況を確実にするためにはきちんと下準備をした方がいいと思う。

 ウラヌス公爵には言っていないが、私は生まれたこの国が衰退していくのは見たくはないけど……男性と結婚する気もない。

 もし、クラウス様と結婚する気がないと知れたら陛下やお父様が何か言ってくる可能性がある。
 とりあえず、あまり目立ちたくないから関わってほしくない方向で話をもっていきましょう。

「……ユウティーシア嬢、貴女が何を仰ってらっしゃるか分かりませんわ」
 うん、分からないだろうね……。

「私の事はいない者として扱ってくださいね」




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