公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

ヒロイン現る!それでは悪役令嬢は私の役目ですわね?

 私は廊下の柱の陰にサッと隠れる。
 それも周りに、私の奇異な行動が不審に思われないようになるべく自然に具合が悪いから柱に寄り添ったんですよというアピールをするために、額に手を当てたりする。
 そして私は前方を見ながら聞き耳を立てた。

「どうして、こんな新入生のクラスに3年も年上のクラウス殿下が来られているんだ?」
「さあ? だけど噂によると婚約者がこのクラスにいるとかなんとか」
「それってシュトロハイム家の? やっぱり公爵家だよな」

 ふむふむ。
 噂もなかなか侮れないです。
 どうやら王様達は婚約者の案件を隠したいと考えていたのに、とっくに情報は貴族学院にまで流出しているようですよ?

 これはますます、この国からオサラバする必要性が出てきます。
 まぁクラウス様が待っているなら出ていくしかないですね。
 そして新入生の教室にはあまりこないようにと注意しなければいけません。

 クラウス王子のような有名人が来られたら勉学に差し障りが出るかも知れませんからね。
 柱の陰から出ようとしたところで。

「クラウス殿下!」
 とても女の子らしい甘えた声でクラウス様に抱き着いた女性がいた。
 ふむ。やつは一体何者なんだろう?
 ぶっころ……って私は何を思っていたんでしょう。
 おちつくのよ、ユウティーシア。素数を数えて落ち着くの。1、2、4って違う!?
 って。あの女だれなのよ?

ジッと柱の陰から見ていると、また噂話が聞こえてくる。

「あれって最近、魔石取引で財を築き上げたメイヤー家の男爵令嬢だろう?」
 なるほど。
 聞いたこと……ありますね。
 メイヤー家は、隣国のダンジョンから産出された魔石を買い付けてリースノット王国で高値で販売することでかなりの利益を得ていた家柄だったはず。

 魔石と言うのは1等級から10等級まで区切られていて、魔石は魔力の回復にも使われる事から7等級以上の魔石の流通には制限をかけていてどこの国も対外輸出はしていない。

 そのため、リースノット王国で出回る魔石の品質はとてもひどく、初級魔法師の魔力を10%回復できる程度の品質だ。

 だけど、白色魔宝石を大量に作り、工業ラインに乗せるようになってからは、その品質の悪い魔石であってもウラヌス商会は、ある程度の高値で購入している。
 何故なら全てが私の力で白色魔宝石に代わるからだ。
 だからどんな屑魔石、魔力の残滓が残ってない魔石でも購入している。

 そして貴族間のバランスを考えた上で、ウラヌス商会との専属販売契約内容を守る限り、全て一括で買い取りをしている。

 そういうこともあり、魔石をもともと取り扱っていた貴族家は、最近ではかなり裕福な暮らしができるようになったのだ。

「アンネローゼ、今日も君は可憐だよ?」
 クラウス様の言葉に、アンネローゼが頬を赤らめる。
 私はアンネローゼを見る。
 10歳とは思えない程、成長している胸。
 対して上から下まで引っかかるところがない私の体。
 私より10センチ高い身長。
 そして髪色は金髪で瞳の色は青。
 少し垂れ目なのがチャームポイントでしょう。
 少々吊り眼な私とは対照的にやわらかい印象を与えています。

「……そんなクラウス様。私、去年の夜会の時に貴方とお会いしたときに気が付きましたの!」
 アンネローゼが、桜色の唇を動かしてクラウス様を誘惑しているというか……クラウス様は、アンネローゼに陥落している?

「ああ、俺も君を愛しているよ」

 どうやら去年の夜会の時に、アンネローゼ嬢と出会った時からお付き合いしている?
 あれ? これって私とか、国でなくてもいいフラグじゃ?

「クラウス様。そういえば、私のクラスにシュトロハイム家のご令嬢がいらっしゃるの。とてもかわいらしい方なのですよ?」
 アンネローゼが突然、私の名前を出してきた。
 私の名前なんて出さなくていいから!
 二人の世界に浸っておいてください!

 でも、それにしてもヒロインがアンネローゼさんかぁ。
 たしかヒロインって公爵令嬢が主役の場合多いよね?
 そして私は、婚約者であり公爵家令嬢と……。
 どうも、悪役令嬢役を私がするようになってるようですね




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