公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

天才児じゃないです……ただの社会人です。

 私が乗った馬車は緩やかに減速をしていき停車した。

 お父様は、私が座っていた場所と逆方向のドアを開けて馬車の外に出た。
私も後を追って、馬車の外へ身を乗り出したけど、思ったより馬車が高くて落下しそうなところをお父様が支えてくれた。
 お父様は私を一瞥すると

「気を付けなさい」
 とだけ言い私の手を握り締めて歩き出した。 
 お父様と歩幅が違うせいでどうしても早歩きになってしまう。
 息を切らせながら精いっぱい歩いていると、お父様が立ち止まった。

 顔を上げると、お父様と視線を合わせてしまう。
 お父様は眉間に皺を寄せながら、ため息をつくと私の歩幅に合わせるように歩き出した。
 しばらく歩いていると、普段は、部屋からほとんど出してもらえない事と長時間歩いてない影響からなのか足が痛くなってくる。
 ただ、弱みを見せるわけにもいかないので必死についていくと、お父様は足を止めた。
 顔を上げると二人の鎧を着た男性が立っている。

 するとお父様は「グルガードに会いにきた。バルザックが来たと伝えてくれ」と、告げる。すると、騎士の方が「しばらくお待ちください」と、お父様の言葉に答えて、城内を走っていき2分程で戻ってきた。

 男性の騎士は、お父様と私を見てから「グルガード国王陛下がお待ちです。すぐに案内致します」と言ってきた。

「必要ない。執務室でいいな?」と、お父様は騎士に断りと入れると私の手を握ったまま歩き出した。
 少し休んだとは言えヒールを履いたままだったので足の痛みがまったく取れない。

 早くどこかに座って休みたい……。

 しばらく歩くと、また騎士が立っている部屋があった。
 どうやらそこが目的に執務室らしい。
 お父様と、部屋を警護していた騎士達は言葉をかわすと、私の手を引いてお父様は扉を開けて部屋の中に入った。
 部屋の中は王城の執務室とは思えないほど簡素な物で3人の男が俺達を待っていた。
 一人は私の婚約者を決めた陛下。
 一人は私と取引をしたウラヌス卿。
 もう一人は、見た事がない。
 私はもう一人の男性に視線を向けていると、陛下がお父様に声をかけていた。

「シュトロハイム卿、待っていたぞ! それが、ユウティーシアか? ずいぶんと大きくなったものだな」
 陛下のお言葉にお父様は私の方へ視線を向けてくる。
 私はお父様の意を汲み取りカーテシーをしながら

「国王陛下様、皆様。初めまして、私の名前は、ユウティーシア・フォン・シュトロハイムと申します。ふつつか者でございますが、ご指導ご鞭撻を賜わりますようお願い申し上げます」
 と挨拶をする。

「――これは、ずいぶんと礼儀を仕込んでいるな」
 陛下は私に驚きながらもお父様に向けて言葉をかけた。
 内容はどうやら政情内容のようだ。
 話が一段落ついたのか。

「それにしてもウラヌス卿とハデス卿まで来ているとは」
 とお父様は声のトーンを下げて話を始めた。
 お父様の話に反応したのは陛下だった。

「白色魔宝石を作れる子供なのだ。国防上、魔法のウラヌス家と軍部のハデス家の協力は必要であろう?」

「……そうですが……」
 お父様としては、あまり好まない展開なのだろう。
 もしかしたら私が作りだした白色魔宝石をウラヌス卿が上手い事使ってくれたのかも知れない。
 煮え切らないお父様の反応に陛下が口を挟む。

「心配するな。これは王家と3公爵家のみの秘密と言う事にする」
 さすがの陛下の言葉には、お父様も黙るしかなく頷き了承していた。
 そこで話は終わると私は思っていたけど……。

「それにしてもこれで5歳か? 本当なのか?」
 ハデス卿が驚いているけど、実際の中身は50歳を超えていますとは言えない。
 ただ、お父様が

「5歳なのは本当だ。ステータスは少しおかしいが」
 と私のステータスについては話をしている。

「なるほどずいぶんと知力が高いな」
 とハデス卿はお父様の説明を聞いて頷いている。
 そして陛下と言えば……

「分かったであろう? この娘は将来、国の中枢を担う可能性を持つ天才児だ。完璧な貴族の作法を5歳で出来たとしても不思議ではない」
 と褒めているがハードルが上がるからやめてほしい。
 それより私は、この国の中枢を担う気なんてありませんから! この国から出ていきますから。

「公爵令嬢は結婚したくない!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く