話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

停導士の引き籠もり譚

山田 武

エネルギーについて考察しよう



王城 自室


「……と、いうことがありました」

「そうか……下がって良いぞ」

「……はい」

 面倒なことをしているな~。
 お偉い方の話し合いを聞いた感想はそれである。
 やっぱり和弓女子は勇者のパーティー候補に入ってるし、ヒ……ヒカル君はストレス発散用に使われそうだったし……面倒な国だよな~全く。
 俺はその情報をメイドのミルから聞いて、うんざりする。
 情報自体は、催眠でミルに話すように洗脳した偉い人の一人から又聞きしたものなんだが、虚偽を認めないように洗脳したから正しいものだろう。

 導きは、メイドとリュウハン君が魅了していた鑑定士以外にはしていない。
 導きの能力補正は好ましいが、必要以上にやって他に導士が居た時は面倒だからな。
 リュウハン君の(魅了)を上書きした時、誰がそれを使ったが判明したんだから警戒しておかないと。

「(付与魔法)で(催眠魔法)を簡易的にした物の作成をするかな? いや、やっぱりここはアレを使うべきだし……」

 今日も今日でスキルをコピーしたが、未だに(龍躯強化)は反映されない。
 効果が優秀だから、早くコピーしたいんだけどなー。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


訓練場


 は、別サイドの話?
 いやいや、現実において俺以外の視点を俺が話せるワケ無いだろ。

 そもそも誰の話をするんだ?
 迷宮の地下に落ちた、苛められっ子の話?
 クラス最強の力を手に入れた【勇者】様の話?
 それとも、裏で暗躍するこの世界の人々の話?
 ……あ、俺が引き籠る為に面倒事をやっていく話より、なんだか面白そうだな。

「あれで視点の切り替えもできるなら、試してみるのも一興かも」

 今はまだ試せないが、スキルを集めればいつかはできるかもな。

「ま、今は手数を増やすか」

 (元素魔法)で土壁を創り、そこに(付与魔法)で(催眠魔法)を掛けていく。
 それにより、他の奴らに俺の居場所は分からなくなる。
 壁を見た者は、元々やっていたことをやりたくなるように意識を書き換えるように設定してあるぞ。
 青年兵士には俺の存在を関わらない方が良い存在として書き換えてある。
 ……元々、アイツは俺のことを嫌悪してたけどな。

 唯一の問題は和弓女子であるが、(催眠魔法)でどうにか誤魔化せるだろう。

「まずは……(身体強化)と(龍躯強化)の違いからだな。(身体強化)……体が軽いな」

 ステータスを展開しながら(身体強化)を発動する……少しずつMPが減ってるな。
 MP消費型のアクティブスキルでもある(身体強化)には、MPを籠めることで能力値を1.2倍にしてくれる効果を持つ(通常時は1.1倍になる)。

「次は一旦解除して……(龍躯強化)だ」

 すると、MPの代わりにAPが消費され、体が先程より軽くなる感覚を掴める。

 一度説明をしたが、(龍躯強化)は通常時は1.2倍、AP消費時は3倍も能力を補正してくれるスキルだ。
 だがその分消費も激しく、俺のAPがかなりの速さで減少するのが、画面で見て取れる。

「違いはスキルの価値ってこともあるが……やっぱり、消費するものだよな」

 (身体強化)はMPを、(龍躯強化)はAPを消費して機能を向上させる。
 一度、そこら辺を調べてみるのも良いかもな知れない。

 MPとは世界に散らばる魔素、それを一度に扱える限界のことだ。
 まぁ、量が多くても使い過ぎれば問題になるとかならないとか……どうでも良いから聞いてなかった。

 APとは体の中で溜め込まれたエネルギー、地球で言う氣みたいな存在だ。
 ファンタジーな種族にはそれぞれ特別な氣が存在し、種族固有の技を使う為に消費するらしい。
 他にも武技と呼ばれる技や、身体系のスキルの燃料にも使われるぞ。

「……あ、龍固有のスキルか」

 (龍躯強化)が龍だけのスキル――まぁ、種族スキルならばガテンが付く。
 APの消費が激しいのは、龍で無い身でそのスキルを行使しようとするから、多分龍用の氣に変換する段階を必要とするのだろう。

「もう一度――(龍躯強化)」

 意識をして(龍躯強化)を発動する。
 ……うん、体の中で変なものが動いてる気がする。
 魔力を感じた時と似たようなものだな。

 これをチョチョイと動かすのは……ちょっと難しいな。
 (魔力操作)と似た要領でやればどうにかなるが、氣の力――氣力は元々体の中にあった筈なのに全然動かないや。

 おまけに龍の氣――龍氣の方は未だに掴めない。
 龍の氣を操れない限り、俺が(龍躯強化)をコピーするのはほぼ不可能だろう。

「そういえば、重ね掛けはやってなかったよな――(身体強化)と(龍躯強化)」

 体は凄く軽くなった……けど、軽すぎてヤバいぞ。
 こう、動いただけで体がミシミシ逝っちゃう気がする。
 喋るのもヤバそうだし、さっさと解除しておくか。

「……ふぅ。ステータスは……げっ! 一気に減ってるじゃん。やっぱり何でも重ねるとリスクは存在するもんだな」

 こういう場合、足し算ではなく掛け算が使われる……覚えておこうか。
 今まで確認してなかったから気付かなかったな。

「フワ~。今のだいぶ疲れるな。……少し休むとするか」

 (回眠)と(意識遮断)を発動して、俺は暫しの休息を取ったのであった。


「停導士の引き籠もり譚」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く