異世界召喚された俺は、チャットアプリを求めた
スレ10 無限級の魔法派生
訓練場
翌日も、俺は一人で隅の方での練習に励んでいた。
魔法が使えるようになったってだけで、それは俺に才能が生えたってことになるんだ。
新しく生えたそれも、成長する見込みは無いかも知れない。
――だけど、技の種類ぐらいなら増やせると信じている。
「無、無し、無制限、消費0、弾丸連発……イケる! ――"虚無限弾"」
指を銃口として放たれたビー玉ぐらいの大きさの弾は、そのまま壁へと向かっていったあと――。
「……うん、できた。――"原点回帰"」
音を立てること無く壁に穴を開けた。
それを元に戻してから、再び考察へ入る。
「なんで『無』じゃなくて『虚無』が多いんだろうな。別に使用に影響があるワケじゃ無いから別に良いけど。……それより、どれもこれもMPの消費が多くないか? 偶に0なってるんだけど。頭痛も慣れた所為か感じなくなったし、0になっても魔法は発動するから別に構わないんだけどさ。もう新しい魔法って感じのネタは浮かばないし……そうだ! 今までのヤツに工夫を足そうっと」
ブツブツと口に出して考えていると、良いことを思い浮かべられた。
……うん、イイアイデアだよな。
「それじゃあ、まずは弾丸からやるか」
新魔法の方が、今浮かんだイメージをそのまま改変できるし……よしっ、やるか。
「弾丸、貫く、突き刺す、槍……"槍弾"。
弾丸、穿つ、捩じれる、螺旋……"螺旋弾"
弾丸、弾ける、飛び散る、炸裂……"炸裂弾"
弾丸、掠る、切る、剣……"剣弾"
弾丸、弾く、防ぐ、盾……"盾弾"
弾丸、弾む、曲がる、跳弾……"跳弾"」
イメージが形になる度に、指から放たれる弾丸の効果は変わっていく。
"槍弾"は壁を貫き、"螺旋弾"は壁を穿ち、"炸裂弾"は壁を破壊し、"剣弾"は壁を切り、"跳弾"は壁で跳ね返り、"盾弾"はその弾丸を弾いた。
うん、今はこれだけ使えればいいか。
なら、次は別の魔法を改変を――
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参加者:アサマサ以外
ハルカ:朝政さん、魔法の改変を大量にやってます
異常なぐらい、派生してます
フユツグ:そ、それ、どんな名前だ?
ハルカ:ゼロ・イレイズ・バニシング・コラプス・リミッド……プフゥ
アキ:あぁ、アイツもそっちに逝ったのか
これじゃあ魔導師の奴を笑えなくなるな
ナツキ:アイツも変な名前よね
ハルカ:ですが、朝政さんのは効果がその名前にふさわしいものになっています
例えば"虚無限弾"なんて、MPがある限り、永遠に弾丸を放ちますからね
そこに派生した魔法で弾丸の効果を自在に変更できてますので、理論上は朝政さんはその魔法だけで魔王を倒せます
アキ:まぁ、確かにMP:∞の朝政が放つ弾丸は魔王も倒せる威力になるよな
フユツグ:そうなのか?
魔王ってこう……普通は倒せないとか、そういうのは無いのか?
アキ:あ? 全然ないぞ
むしろ、力さえあれば誰でも倒せる
ナツキ:アンデットの魔王なんて、弱った状態なら村人が点けた火で死ぬわよ
ハルカ:召喚された直後に、座標を特定してドカンとやれば死にますよ
フユツグ:……魔法って怖いわ
そして、魔王も不憫だな
(ミランダが参加しました)
ミランダ:ふっ、我に隠されし真なる力を用いれば、我が同胞の虚無の力など、容易く使いこなせるわ
ナツキ:うっさい、このクソ厨二
アキ:まぁまぁ、落ち着いてスルーしろよ
ミランダ、(虚無魔法)って使えるか?
ミランダ:当然のことよ
我が魔導の力を用いれば、斯様なこと、箸で豆を運ぶより容易きことよ
フユツグ:……まぁ、外国人にはキツイよな
ハルカ:ふふっ、本当にできるのでしょうか
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自室(仮)
「今日も疲れたな~。無属性の可能性に触れられた良い一日ではあったけど、この虚脱感がな~」
あの後は、もう色々とやった。
結界とか手から魔力を出して剣状にしたりとか、かめはめ◯とか……もうしばらくは魔法以外のことがやりたくなったよ。
お蔭でMPが尽きる度に一度体の力が抜ける感覚に襲われる。
……まぁ、めっちゃ試していたし、仕方ないんだけどな。
「"ステータスオープン"……ハァ、やっぱり何も変わってない」
それでも、俺の努力は実らずだ。
ステータスに更新事項は何も無かった。称号の方を確認してみても、特に何も記されていない。
「女神様、確か特典くれるって言って気がするんだけどな。俺の目に見えない所で機能しているものなのか?」
創作物では、死んでからその特典に気付く……なんてこともよくあったしな。
女神様の特典がそれに該当するなら、俺がこうして探していても見つからないだろう。
でも、もしそれが死んで戻るループ的なヤツだったら、俺は無知無能で無力無謀な彼よりも、先に進めないまま死に戻りを繰り返しそうな気がするよ。
「明日もまた、魔法の練習か。派生はだいぶやり尽くしたし……次は何をしようかな?」
それでも、できるだけ頑張らないとな。
俺はそう決意して、重い瞼を閉じた。
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