約束〜必ずもう一度君に〜

矢崎未峻

勘弁してくれ・・・・

 朝です。あれからそれはもう爆睡しました。いや、爆睡してしまいました。
 昨日は睡魔のせいで頭が回ってなかったが、冷静になった今かなりマズい状況なことにかなりの危機感が・・・。
 100歩譲ってそれは良いとしよう。だが、これは本当にヤバイ。
 心臓に悪い。いや、俺の理性がヤバイ。
 そりゃあさ、こんな美少女2人が俺の両サイドで寝てるだけでくるものがある。
 それだけならここまで言わない。問題は、寝間着姿が可愛すぎること、その寝間着がはだけかけている事(2人とも)、俺に密着している事、この3つだ。
 特に後半2つが俺の理性を消し飛ばそうとしている。

「んぅ、寒い」ギュ

「!?!?」

 誰か声を出さなかった俺を褒めてくれ。
 ただでさえ密着しているのに抱き着かないでユーリさん!?あなたは俺の辛うじて繋ぎとめてる理性をどこに殺る気・・・間違えたどこにやる気なんですか!!
 ・・・思考がおかしくなってきてるな。もう限界なんじゃね?もう良いよな。理性手放しても、誰も怒らないよな?
 いや、いやいやいやいやいや!ダメだろ!?絶対ダメだ!!

「ねぇ、離れないで」

「え?」

 ・・・今の、アリシア?起きてんの?
 ・・・いや、寝てる。まさか、寝言!?
 何その寝言!本当にもうやめろよ!?離れないでとか何だよ〜!可愛すぎるだろ!
 あぁ、ヤベ思い出しちゃった。

 プツンッ

 理性を繋ぎとめてた最後の糸が切れた音がした。
 と、同時に2人が目を覚ましたので再び繋ぎ合わせることが出来た。



 少し時間は流れ、今は宿の食堂で朝食を食べている。が、俺は1人すでに疲れてぐったりしていた。

「ちょっと、あんた大丈夫?」

「私達より先に寝たのにどうしてそんなに疲れてるの?」

「もしかして、まだどこか痛む所でもあるの?私が治療し忘れてるとか?」

「いや、そういうのじゃないから大丈夫。ただ・・・何でもない」

「え、ちょっと何よ」

「気になるから最後まで言って?」

「いや、えっと、酷い夢を見てさ。それがなんか精神的な疲れになったんだと思う」

 そうだ。あれは夢だ。そういうことにしておこう。
 え?現実だって?ハハハ、ナニ言ッテるんダイ?ソンナわけナイだロウ!?

「どんな夢だったの?」

「元の世界の知り合いが死ぬ、いや、元の世界がなくなる夢」

「あんたのいた元の世界が崩壊する夢ってこと?」

「そんな生易しいもんじゃない。俺のいた世界の存在が消滅する夢だった」

 実は、これは嘘ではない。爆睡したわりに2人よりも早く目が覚めたのは、この夢が原因だったりする。
 ほんと、嫌な夢だ。想像したくもない。いや、夢とはいえ見ちゃったんだけど。
 っと、うわ〜。明らかに空気が重くなった。2人とも落ち込んでるな。

「えっと、そんな落ち込まれると困るんだけど?所詮夢の話なんだし」

「でも・・・」

「じゃあ、元気なさそうだし昨日寝る直前に言ったことは忘れて、部屋でゆっくりしてようか!」

「昨日、」「言ったこと?」

「「・・・あ!」」

「出掛けます!」「部屋でゆっくりなんてしないからね!」

 忘れてたみたいだから放置すれば良かったんだけど、ずっと落ち込んだままなのも気分悪いからな。
 2人が単純で良かった。おかげで扱いやすい。

「ご飯が終わったらすぐに出掛けるからね」

「ちゃんと準備しなさいよ!」 

「へいへい」

 準備って何するんだ?
 聞いてみたが、内緒だと言われた。行き先も分からない。
 とりあえず金があればいいか。
 この安易な考えを俺は後悔することになる。

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